昨今の会計事務所の増加・求人ニーズ増加に伴い、資格の有無にかかわらず税務スタッフ・会計事務所経験者が活躍できるフィールドは広がっています。一方で、会計事務所は離職率が高い業界でもあります。本記事では、選択肢が多く、差がわかりにくい会計事務所の転職において、転職希望者が抑えるべき5つのポイントをチェックしていきます。
会計事務所の離職率は高いと言われますが、本当なのでしょうか?厚生労働省のデータによると、一般企業の離職率は14.6%です。士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロに転職相談に来られる方の中にも、一年未満の短期離職を繰り返してしまっている方もいらっしゃり、会計事務所の離職率は一般企業の離職率よりも高いと予測されています。それでは、会計事務所の離職率はなぜ高いのでしょうか?
会計事務所は、クライアント企業の毎月の決算申告業務や月次業務のほか、年末調整や年次税務申告などを行います。事業会社の決算月は一般的に3月・9月とすることが多いため、必然的にクライアントの決算月近辺の時期は繁忙期となります。そのため、繁忙期の厳しい残業が理由で、離職を決意される方が多くいらっしゃいます。
《参考記事》
会計事務所は仕事内容がそこまで大きくは変わらない一方で、仕事への取り組み方やクライアントへのサービス提供の方針などは事務所ごとで大きく異なる傾向にあります。特に日本の会計事務所の90%以上を占めると言われている個人事務所では、所長の意向が色濃く反映されることがあります。そのため、自身の方向性や所長との相性が合わず、離職を決意される場合も多いです。
《参考記事》
ここまで会計事務所の離職率が高い理由についてお伝えしてきましたが、以下の5つの項目を抑えることで、長く勤められる最適な転職先を見つけることができます。
会計事務所の平均勤続年数は10年程度と言われていますが、売り手市場であることもあり、その年数はさらに短くなってきています。そのような中で採用しても従業員が離職するという状況が続いている事務所に関しては、規模は変わらないものの離職率は高いという特徴があります。そのような職場環境は、長く同じ職場で働きたい方にとってミスマッチな可能性が高いので、避けた方がよいでしょう。
ただし、あまりに転職組がいない職場だと馴染みにくい可能性もありますので、転職組の割合についても把握できていると尚良いでしょう。
ただし、このようなデータは誰でも閲覧できるWebサイトなどに掲載されていることはあまりありません。むしろ、離職率の高い事務所がわざわざその数字を公開するということはほとんどないでしょう。
ですのでリアルな企業の情報をご提供できる転職エージェントを活用することで、確認してみてください。
その事務所の年齢構成についても、応募する前にきちんと確認しましょう。
数年前は、そもそも Web サイトがない、もしくはあっても最低限の情報しかない会計事務所が多く、情報収集するにもできない状況でしたが、近年はきちんと Web サイトがあり、事務所メンバー一人一人の写真や全体での集合写真がサイト上に記載されている会計事務所が増えてきました。
また、採用情報をサイト内に掲載する事務所も増えてきており、スタッフの男女比や年齢構成が掲載されているケースもあります。
よって、年齢構成などについてはまず事務所のHPを確認し、記載がない場合は転職エージェント経由で確認するとよいでしょう。
経験者になればなるほど、若手が中心の会計事務所は敬遠しがちです。しかし、35歳ぐらいまでの若手スタッフがいない場合は注意した方がいいでしょう。
若手スタッフを採用している会計事務所は、若手を育て長く続く会計事務所をつくっていきたいという意思表示であり、今以上に活躍してもらえるスタッフに経験・育成を積ませる環境があるという点で、健全な事務所であることが多いです。
もちろん、一定以上経験を積んだ税理士や税務会計スタッフのみで構成される、少数精鋭のプロフェッショナル会計事務所もあるので、全てにおいて当てはまるわけではありませんが、若手層の割合については確認すべき一つのポイントになるかと思います。
クラウド会計ソフトの浸透による業務効率化や、働き方改革が進んできているものの、会計事務所全体としてまだまだ労働集約の側面が強く、残業時間も確認しておきたいポイントの一つになります。
会計事務所の場合、繁忙期(確定申告期・決算期)が明確であり、残業時間もそれに応じて、繁忙期とそれ以外では大きく差があります。
したがって、一般企業で開示されることの多い「月平均残業時間」はもちろんですが、「繁忙期残業時間」についても別途確認してください。
繁忙期は、ある程度残業が多くなってしまっても仕方がないと考え、非繁忙期にどれぐらい残業があるのか・きちんと有給や振替休日が取れるのかを気にされる方も多いです。いずれにせよ、働き方のイメージが持ちやすくなるため「月平均残業時間」と「繁忙期残業時間」は気にしてみましょう。
業務内容もきちんと確認しておきましょう。
一般的な求人に記載されているものはもちろんですが、次のような点に着目いただくと、会計事務所ごとの業務内容の実情が見えてくるかと思います。
法人クライアントを対象にしている会計事務所の場合、法人の規模や業種によって目の前の業務はもちろん、将来のキャリアプランも変わってきます。
例えば、大手税理士法人へのキャリアアップであれば、大企業を担当できる会計事務所の方がキャリアを積みやすく、将来独立して会計事務所を開業することを志すのであれば小規模な法人を対象にした方が役に立ちます。
また、ベンチャー企業が顧客の場合、営業経験がある方が適性が高く、医療法人が顧客の場合、温和でマイペースな方が適しやすいといったように、顧客ごとの相性も存在します。
クラウドサービス・RPAの発展で記帳代行・税務申告等の単純業務は徐々に代替されていく中で、より付加価値の高いコンサルティング業務に携わりたいという転職者の方が増えてきています。
コンサルティング業務の割合をはかる指標の一つに「自経化率」があります。
つまり、自経化率が高い事務所のほうが、経理代行業務が少なく、コンサルティング業務に携わりやすいということです。
正確な数字を出している会計事務所は少ないですが、目安を教えてもらうことはできるので、確認してみてください。
こちらもどれぐらい単純作業の割合を測る一つの指標になります。
また、積極的に顧客にクラウド会計の導入を進めている会計事務所は、きちんと将来的な業務効率化にも意識があり、会計事務所内のその他のシステム導入・業務効率化にも意欲的なことが多いです。
あくまで目安の一つとなる指標になりますが、参考にしていただければと思います。
最近では、採用ニーズの増加や働き方改革に伴い、一般企業並みに福利厚生・休暇制度を充実させている会計事務所が増えています。
こちらは求人や事務所の HP に記載があることがほとんどですが、特に注目すべきポイントについてまとめてみます。
各事務所で制度として設けられている休暇制度・福利厚生がどれくらい実際に取得されているのかは気になるところではないでしょうか。
有給消化率は、実際に制度がどれくらい利用されているのかを確認する一つの指標となります。
会計事務所に限った話ではありませんが、立派な制度ができていても実際に全てが適切に運用されているかといえばそうではありません。
きちんと入社後のギャップを防ぐためにも、福利厚生や休暇制度がどの程度運用されているのかを確認しておきましょう。
税理士を目指して試験勉強と並行しながらの勤務をされる方が多い、会計事務所ならではの制度になります。
「試験前はどれくらい休暇が取れるのか?」「試験日は有給にあたるのか?」「科目合格者にはどのような手当てがあるのか?」は、各会計事務所によって違います。
また、税理士試験・科目合格者支援が整っている会計事務所ほど、所内全体で若手や税理士志望者の教育がしっかり整っている傾向にあります。
以上、会計事務所への転職の際に気をつけたい5つのポイントについてお伝えしました。これまでに記載したような、会計事務所の転職で知っておきたいポイントの中には、 HP や求人サイトでは収集できないような情報もあるため、納得感のある転職のためには転職エージェントを利用するのがオススメです。
士業・管理部門特化の転職エージェントであるヒュープロでは、データと最新の市場動向の両方の観点から会計事務所への転職希望者ひとりひとりにあった求人をご提案いたします。
ご負担のない形で、あなたの市場価値や転職プランがわかります。長く勤められる最適な転職先を見つけるために、どうぞお役立てください。
最後に、働きやすい職場環境で高い定着率を実現するオススメの転職先として、みのり税理士法人をご紹介します!
みのり税理士法人は大阪府大阪市および東京都新宿区に事務所を展開し、税務・会計顧問や税務代理などの法人向けサービス、相続・事業承継などの個人向けサービスを提供する税理士法人です。
弁護士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士などの専門家との強いネットワークを駆使し、お客様の課題をひとえに解決するワンストップサービスを提供できるという特徴があります。
みのり税理士法人が働きやすい職場環境である理由として、以下が挙げられます。
このような環境を整備することにより、入社3年目の定着率94.1%という税理士業界では非常に高い数字を実現しています。このような点から、長く働ける転職先を見つけたいという方にオススメの税理士法人といえます。
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みのり税理士法人│HP