経理・会計・財務などお金を扱うバックオフィス職はどの程度の条件で働けるのでしょうか。他の職種と同様、業界やスキル経験によってピンキリではありますが、経理・会計・財務特有の待遇や求められるスキルを解説していきます。
経理・会計・財務職はバックオフィスの中でも専門性が高いと言われます。では、その職種での相場・転職市場はどのようになっているのでしょうか。
<経験・年代・担当業務範囲別>
◆250~400万円
経験 :3年未満
想定年齢層:20代中盤 (スタッフクラス)
担当業務範囲:日常会計処理レベル、日常の経費精算、会計ソフトへの入力作業、決算補助業務
◆450~600万円
経験 :3年以上
想定年齢層:30~40代(リーダー・課長クラス)
担当業務範囲:決算のとりまとめ
◆650~800万円
経験 :5年~10年
想定年齢層:30~40代(リーダー・課長クラス)※上場企業 or IPO準備企業等
担当業務範囲:財務会計の開示業務、連結決算(より専門性の高い業務)
◆1,000万円以上
経験 :10年以上
想定年齢層:問わず(経理部長・CFPクラス)
担当業務範囲:上場企業やIPO準備企業における決算業務等の一切の責任業務、公認会計士等の専門職の担う監査や税務業務
年齢と担当業務範囲、マネジメントを担うポジションかどうかによって、年収が変わってきます。
※年齢はあおくまで参考値程度です。20代で飛びぬけたスキルを発揮し、年収700万円以上、1,000万円クラスを狙うことも可能です。
また、日系企業から外資系企業への転職の場合はスタッフクラスでも500万円以上のスタートで年収提示されることもあります。その分、国際水準での会計処理や英語力も求められます。それらのスキルを保有していることを証明する、BATIC(国際会計検定)やUSCPA(米国公認会計士)等の資格を取得しておくことも効果的でしょう。
実は・会計・財務職における職種は、本人がどんなスキルを保有しているかよりも、どこに所属するかで年収が左右されることが多いのが事実です。大手会計事務所や大手メーカー、もしくは資本的に体力のあるIPO準備企業等はバックオフィスの重要性をよく理解しています。なぜなら、標準的な会計処理ではなく、より高度な会計処理を行う必要性があるためです。おのずと中小企業の経理と比較すると、上記の企業のほうが待遇は良くなります。
以下のような資格を保有している場合、外資系や前述の企業のようにより高い条件を狙うことができます。
・簿記1級
・TOEIC730点以上
・USCPA
(あれば尚良し※ただしかなり難関)
・公認会計士
・税理士
参考としてご覧いただき、隙間時間にでも勉強しスキルを積み重ねていくと良いでしょう。
未経験での経理募集の求人は存在します。しかし、決算業務等が最初から任せることはできないので、基本的には経理事務でのスタートとなります。日常の仕訳等の会計入力業務から管理、請求書の発行等を行います。たとえ簿記の資格を保有していたとしても、たいてい未経験の場合、年収200~350万円程度になります。
しかし、簿記1級レベルや会計士等の会計資格の中でもトップレベルの資格を保有している場合は、ポテンシャルを見込んで350万円以上を狙うこともできるでしょう。なぜかというと専門的な知識を有していることを証明する資格であるため、月次決算以上の仕事を任せられる可能性が高まるためです。特に大手の会計事務所や大手企業になると行う決算処理が複雑であるため、より高度な専門知識とそれに伴った処理能力が求められます。入社当初はあまり高くない年収でも、実力を認められれば、他企業と比して高い水準の給与を狙うことも可能です。速いスピード感での昇給を望むのであれば、IPOを目指している企業へ入ることもオススメです。入社当初は経理以外の事務全般をしなければならなくなりますが、逆に幅広く業務をこなせる人材としてキャリアアップすることも可能です。
未経験でも企業規模やその企業のフェーズをみて転職を考えるといいでしょう。また、将来的なキャリアアップを行い、将来の年収を上げていきたいと考えているのであれば、以下の業務にはしっかり携わり、スキル経験を身に着けておくことをオススメします。以下は市場価値が高いとみられる、転職市場でも希少性の高い(つまりニーズのある)業務事項です。ご参照ください。
・単体決算のとりまとめ
・連結決算のとりまとめ
・税務申告(法人税・住民税・事業税、消費税、固定資産税、事業所税)
・開示業務(有価証券報告書、決算短信、招集通知等の作成)
・事業・会社買収(M&A)
・監査法人対応
・税務調査対応
・内部統制対応
・株主総会対応
・予算管理
・資金運用(債券運用、子会社資金マネジメント)
・原価管理
・各種システム導入
・海外子会社の設立