晴れて難関を突破し、補習所をも終えて、修了考査も終えた公認会計士の方に是非おすすめしたいのが英語の勉強です。
特に東京の監査法人・税理士法人・会計コンサルティング会社では、英語ができるとできないとでは仕事の幅が圧倒的に違う、といわれるほど英語と使う機会は多くあります。
実務上どんな場面で英語が使われるか、ご紹介します。
経済産業省の外資系企業動向調査によると、2016年3月末時点の外資系企業数は3410社ありました。
これらのうち、会計監査を受ける会社は限られていますが、金商法監査となると、外資系の銀行・証券会社などの金融法人から、ファンドの一部を組成するビークルであるSPCなどの小さな会社に至るまで、多くの監査現場で英語を必要としています。
また、会計基準も国際会計基準を採用する会社が増え、英文会計にも慣れないとスピーディな対応が望めません。
IFRS対応をしている・する予定のある日系の会社の時価総額を合わせると、東証上場企業の時価総額の半分を占めるほどの割合とのデータもあります。
2019年9月現在では、適用会社は204社、適用決定会社は11社、合計215社がIFRSに対応していることがJPXのホームページにも掲載されています。
公認会計士になったのちに、システム監査人の資格を取得する方もいて、監査法人に所属していますが、国際監査人の資格であればテキストが英語で書かれています。
税理士法人も、意外に思われるかもしれませんが、英語を使う頻度が非常に高いところです。
外資系のクライアントはオペレーションの小さいところでは、納税管理人の業務を大手税理士事務所に依頼します。
税理士法人と併設されることの多いアウトソーシング会社ではペイロールや記帳などの日常業務まで、丸抱えで面倒を見ていることもあるなど、外資系と大手会計事務所系の税理士法人との縁は深いものです。
さらに、移転価格課税は、以前ほどではありませんが、外資系大手の製造業・医薬品・高級消費財のクライアントが多い世界です。
会計コンサルティング会社においても、国境を越え、国際案件を取り扱うことが普通ですから、英語ができる人材は引っ張りだこで、入社早々から忙しく走り回っているのが日常です。ただし、監査法人や税理士法人が、主に外資系のインバウンドを手掛けるのに対して、会計コンサルティング会社では日系会社のアウトバウンド案件を手掛けるのが主流です。
監査法人・税理士法人は日本の管轄官庁の監督下に服する「日系」の法人ですが、日常的に英語が飛び交い、各国のネットワークファームとのやり取りや、クライアントとのやり取りは、英文のメールが普通に使われている環境なのです。
会計コンサルティング会社でも、海外事務所とのやり取りが絶えず行われており、時差も問わない商売といわれることがあります。
そんな会計事務所の日常で、英語が使えないことになると、アサインの面でも限定されてしまうことがあります。
アサインが限定されると、なかなか職階も上がっていかず、収入も順調に上がっていかないことになりかねません。
そういうことがないように、大手事務所では若手には英語研修プログラムが提供されていることや、海外ファームへの出向希望者は順番に海外で勤務することができるなど、魅力的なプログラムを持っています。
大手会計事務所の中でも、Big4の場合は、英語を使う頻度が特に多く、外資系との接点・IFRS対応・国際税務・移転価格課税・赴任者の個人所得税・アウトバウンド支援など、随所に英語を使う機会があります。
Big4ですと、契約書や、ネットワークファーム同士の合意や、所内ルールも英語でかかれていることが多く、公用語は英語といっても大げさではないくらいです。
先ほどのIFRS対応会社が215社、ということからわかるように、会計基準の国際化は確実に日本に浸透しています。
そこで、英文会計で海外出張にも対応する会計人が一般事業会社でも求められています。
商社・製造業をはじめとするアウトバウンド事業を手掛ける会社はもちろんのこと、最近ではインバウンド景気の盛り上がりもあり、潜在的な顧客を呼ぶ施策の実行にも英語が欠かせなくなってきています。
監査を受ける場合にも、海外子会社の対応を英語でする要員が配置されたり、子会社の経理の面倒を見るために派遣されたり、会計士の活躍の場も国の中だけでなく、海外にも広がっています。
最近、ERPに強いということで、情報システム部門で働く公認会計士もいますが、海外のオフショア拠点とのやり取りなどが入れば、英語を普通に使えなくては困ってしまいます。
管理会計のわかるコンサルタントの中にも公認会計士がいますが、海外のERPシステムに関する文書や、システムの仕様書などはほとんど英語で書かれています。
インバウンドの景気が非常に好調なことから、東日本大震災で一時落ち込んだ在日外国人数もすっかり回復し、会計・税務について外国人からの相談に乗ることができる個人事務所・中規模なファームが増えてきています。
特に日本に資産を持つ外国人の国際税務相談などは取り扱える事務所が限られており、っ大盛況の事務所もあるようです。
今後、子どもは減るが外国人は増える傾向にありますので、外国人を対象とする会計士のビジネスの在り方も変化することが見込まれ、個人事務所・中規模のファームでも英語使用頻度は増えるものと思われます。
公認会計士が英語を使う場面は非常に多いことがお判りいただけたと思います。
しかし、こうした職務に必要な英語力は、どれくらいのレベルといえるでしょう。
一説には、TOEICレベルで900点があれば、専門性が高く、また、ネイティブスピーカーと一緒に参加する会議にも通用するといわれます。
実際、海外赴任・留学の選抜はTOEIC900からとされるファームや事業会社も多くありますので、信ぴょう性の高いレベル感と考えられます。
TOEICのスコアをとりあえず上げるため、朝や夜の自由時間に、忙しい合間を縫って、勉強されている方も多いことでしょう。
一足飛びにTOEICスコアを900のレベルにあげるわけにもいきませんから、徐々に読み言葉・書き言葉から慣れていって、英文e-mail, 海外との電話会議で訓練をし、短期留学プログラムや出向などで徐々に実力をつけていくこととなります。
また、公認会計士には、英語を学ぶために、英文会計用語や会計用語の使い方の学習で自分の英語力をブラッシュアップした、と話す方が多くいます。
これは、仕事ですぐに使える英語であり、身につきやすいことや、学習のモーチベーションが下がらない、といった原因があると思われます。
BATICや、US CPAのテキストが英語の勉強にも使えそうです。
公認会計士が英語を使う場面は、外資系の会社が3410社あり、インバウンド景気も好調であること、また、アウトバウンドでも日系企業の大型投資案件が続いていること、IFRSの導入などで非常に多くなっています。
一般事業会社でも英語を使う場面がアウトバウンド・インバウンド事業を問わず頻繁になっており、ファームでも一般事業会社でも、キャリアアップ・年収アップを狙うには重要な材料になりそうです。
大手ファームなどでは、若手職員の育成にも短期留学プログラムを入れるなどして、積極的に英語力の向上を図っています。
ぜひ、英語学習には早めに手を付けて、英語力で差別化をはかり、キャリアの選択肢の幅を十分に確保するようにしてください。