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経理・財務担当者が心がけたい監査法人対応

HUPRO 編集部
経理・財務担当者が心がけたい監査法人対応

経理・財務担当者の方で、監査法人の対応が苦手な方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、会社によっては法律で必ず監査を受けなければならないものと定められています。どうせ対応しなくてはならないのであれば、なるべくスムーズに済ませたいですよね。本記事では監査人によって行われる公認会計士監査について、心がけたい対応のポイントとお伝えします。

監査法人が考えていること

監査法人との関係を良好にしておくことは、経理・財務担当者にとってとても大事なことです。良いコミュニケーションが取れていることで、監査対応についても質問しやすく、監査法人側も必要な数値や資料について確認しやすくなります。
監査法人側としても、担当している企業は1つではなく、特に3月決算対応では多くの企業を抱えることも珍しくありません。会社にやって来て会議室にこもり、計算書類や有価証券報告書などの会社の開示資料とにらめっこをしている時間はなるべく減らしたい、作業は効率化して早く監査を終わらせたい、というのが実情です。
もちろん、早く終わらせたいといっても、見逃しなどがあってはいけませんから、一つずつ着実に疑問点をつぶす、数字の根拠を確認するということをやっています。
会計士としても、なるべく監査を通したいのはやまやまなのですが、グレーゾーンの取引の会計処理・開示があったりすると、監査法人内での審査が通らない恐れが。監査が終了しても、審査が通過できないと、監査報告書を提出できません。つまり、自分たちの一存で監査OKとしても、審査でNGだと、場合によっては決算のやり直しとなってしまうことになるため、担当企業からの不信をかうことになってしまうのです。
特に近年は、大手監査法人が監査していたにもかかわらず不正会計となった有名企業も多いため、監査法人も審査を厳しくしています。経理・財務担当者が「審査が」というフレーズを会計士から言われるのにはこうした事情もあるのです。

監査スケジュールが決まったら

監査では、会社の数字を構成する重要な書類のチェックが行われます。従業員の部門・役職によっては公開できないものもあるでしょう。そのため、監査法人担当者を決め、質問や資料提出についてはその窓口社員を通すようにすることをおすすめします。
また、監査自体が集中力の必要な作業でもあるため、監査スケジュールが決まったら監査中は専用の個室(会議室などカギがかかる場所)を押さえておきましょう。

監査基準と監査の着眼点

公認会計士が行う全ての監査に適用される監査基準は以下の通りです。
「財務諸表監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。」

つまり、財務諸表における重要な点が適正に作成されているかどうかというのを見ていくのが監査の目的となります。
どうやって監査人が重要な点を割りだしているかというと、財務諸表をそれぞれの数字を構成する勘定科目に分解し、その中から金額やその内容的に重要な勘定科目を選定して深堀りしていくのです。
経理・財務担当者に資料などの追加請求があった場合は、どのような監査要点からその資料が必要なのかを確認してみることで、関連資料を一緒に提出すれば、何度も資料を探して提出するという無駄な作業を防ぐこともにつながります。疑問に思ったことは積極的に質問していきましょう。ケンカ腰になる必要はなく、業務の一環として質問すれば良いのです。

日ごろから心がけたいこと

監査法人対応で、経理・財務部門の社員が常日頃から心がけたいのが、証憑などの書類のファイリングです。会計ソフト内では日付ごとに並べ替えてくれるので、バラバラとまとまりなく入力していることもあるかもしれません。しかしそれだと一つの取引について、伝票番号もバラバラになってしまい、チェック時にあちこちのファイルを確認することになってしまいます。
後で紙の資料と付け合わせをするときには、一連の流れでまとまっていた方が良いのです。
地味なことかもしれませんが、担当者としても「A社との取引について資料を」と指示があった場合に、ファイリングの束を何冊も運ぶのは手間ですよね。
経理関係の書類というのは保存年限が長い上に、後から監査で必ず見返すものなので、ファイリングルールができていない場合は、ぜひこの機会に行ってみてはいかがでしょうか。
また、監査法人というのは基本的には「味方」です。いろいろ指摘されたりするので、好意を持ちづらいこともあるかもしれませんが、監査法人にとってこちらはクライアントなのです。監査の時にコミュニケーションを取り、普段から会計処理でわからないことがあれば質問できるような関係を築いておくのは大変重要です。わからないまま処理をして、次回の監査時に修正するように指示が来るのを防ぐ事にもなり、結果的に自分の業務の軽減化につながりますよ。

終わりに

監査法人対応は、時間と手間がかかるから仕方がないと思ってしまっていては、監査対応コストばかりが跳ね上がり、日常業務にも大きな影響をきたしてしまいます。
監査の目的とその対応について理解することで、双方になるべく負荷のかからない監査法人対応を目指しましょう。

当コラム内では、監査対応についてのポイントをまとめた記事を他にも公開しています。合わせてぜひご一読ください。

経理部責任者が知っておくべき&気をつけるべき監査対応業務とは?

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この記事を書いたライター

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