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永久資産とは?他の資産とはどう違うのか

公認会計士 大国光大
永久資産とは?他の資産とはどう違うのか

資産と一言で言っても様々な分類方法があります。財務諸表でいえば流動資産と固定資産のように換金可能性に応じて区分されるものもあります。また、消費される頻度に応じて、翌日無くなるものもあればどこまでも無くならないものもあります。今回は消費の頻度に着目し、永久資産について現役公認会計士が解説します。

永久資産とは?

永久資産とは、どれだけ使用したとしても価値が減らないような資産のことを言います。最も代表的な資産としては、土地が挙げられます。
反対に、使用すればするほど価値が減る資産は永久資産に分類されません。例えば建物や車両等は使用すればするほど価値が減っていくためです。

また、永久資産に、のれんを含めることがあります。これは、のれんというのは企業の超過収益力であり、どれだけ使用しても減るどころか、歴史と共に価値が増すのではないかという考えがあるからです。よく、のれん=ブランドと比喩されますが、ブランドというのは何か特別な事態が起きた時にイメージダウンで価値が下がることはありますが、通常の使い方をしていれば基本的には価値が下がらないと考えられるからです。ただし、日本の会計基準ではのれんは20年以内での償却が行われます。一方でIFRS(国際会計基準)において基本的に償却は行われません。
よって、IFRSの考え方としてはのれんも永久資産に含めているという考え方の方が馴染んでいるでしょう。

永久資産の会計処理

永久資産は使用しても価値が減らない資産ということで、他の固定資産のように減価償却費として価値を減額する会計処理は行われません。よって、基本的には取得した際の金額のまま貸借対照表に計上され、損益計算書には反映されません。
しかし、ここでのポイントは「使用しても」価値が減らない資産だからこの処理をしているということです。つまり、使用以外の価値の目減りは会計処理に反映させるべきなのです。

例えば、取得原価1億円の土地について、期末での時価が3千万円まで下落していたとします。不動産ですので使用しているかどうかは別として、近隣の市場価値に合わせて下落することもあるためです。このような場合、減損会計を適用して7千万円の減損損失とし、貸借対照表価額は3千万円まで減額されます。
また、古い制度ですが土地再評価をすることによって貸借対照表価額を時価に引き直す制度がありました。その際に、土地を時価評価するとともに簿価との差額は評価差額金を計上し、それに見合った繰延税金負債を計上します。
このように、永久資産は原則として簿価のまま据え置き、利用以外において価値が目減りした場合は時価まで引き直す会計処理が適用されることとなります。

永久資産と償却資産との違い

永久資産と対比される用語としては償却資産があります。償却資産というのは、取得後その利用に合わせて複数年にかけて費用処理される資産を言います。反対に永久資産は償却されないので、非償却資産と言われることもあります。
このように永久資産と償却資産は償却の有無において違いがあると言えます。よって、例えば土地と建物を同時に取得した場合、その取得費をどちらに入れるかによって将来の利益が異なる結果となります。

土地と建物の登記費用が発生し、これを土地に全て含めたとすると、その土地が売却されるまでは費用処理されないこととなります。一方で建物に全て含まれたとすると建物の減価償却費に合わせて費用計上されることとなります。税務上では土地にかかったものと建物にかかったものは分けて考えなければなりませんし、取得税のようなものは企業の選択適用で全額費用処理するか取得原価に含めるかを決定することができます。

永久資産を売却した際の会計処理と税金

永久資産を売却した際にはどのような会計処理や税金が計算されるのでしょうか。
まず、永久資産の代表である土地を売却した場合は、売却金額と簿価との差額が土地売却損益として特別損益に計上されます。この際売却手数料を支払っていることが多いと思いますが、その売却手数料は販売費及び一般管理費に計上するか、土地売却損益に含めてしまうことが実務上ではよく行われます。

また、法人であれば土地売却損益そのものに法人税が課されるわけではなく、その売却損益を含めた最終的な当期利益に対して法人税が課されます。これが個人であった場合には、いつ取得した土地かどうかによって、短期譲渡所得、長期譲渡所得に分けられ、給与などの税金とは別に課税がされることになります。長期譲渡所得は譲渡した年の1月1日時点において所有期間が5年を超えるものを言い、短期譲渡所得はその所有期間が5年以下のものを言います。
長期譲渡所得においては所得税と住民税合わせて20.315%となり、短期譲渡所得では39.63%となるため、長期譲渡所得では約倍の税金が課されることになります。永久資産を個人で売却する場合はその取得時期を勘案して決定する必要があると言えます。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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