簿記2級を取得できたら、次に目指すは簿記1級という人もいるでしょう。しかし、働いている職場環境や今後のキャリアアップの計画によっては、簿記1級ではなく他の資格も視野に入れた方がいいかもしれません。今回は、簿記2級を取得後の次のステップについて解説していきます。
簿記2級を取得した後のステップとして、大きく2つの選択肢が挙げられます。一つは他の資格の取得を目指す、もう一つが転職するという選択肢です。
簿記2級を取得できたら、身についた勉強習慣を活かして別の資格の勉強を始めるという方は、多くいらっしゃいます。
日商簿記2級の上位資格として日商簿記1級があるため、簿記2級の次は簿記1級に挑戦するのが一般的と思われるかもしれませんが、実はそれ以外の資格でのダブルライセンス保有者を目指す方も多いのが実際のところです。
具体的にどのような資格を目指す方が多いかや、それぞれの資格を目指すメリットについては、後ほど詳しく解説します。
転職活動に活かすために簿記2級を取得したという方も多く、実際に資格を活かせる職種へ転職するというのもよくある選択肢です。特に企業の経理職や会計事務所は簿記2級を活かしやすく、必須資格として設定されている求人も多くなっています。
そのため、なるべく早く転職したいという方は、他の資格を目指さずに転職活動を始めることもあるのです。
認知度の高い資格からマイナーな資格までさまざまある資格の中で、簿記2級の次はどんな資格を取るべきなのでしょうか?
結論から申し上げると、どのような目的でダブルライセンスを目指したいかによって、推奨する資格は変わってきます。主な目的別にオススメの資格を見ていきましょう。
経理業務に関する知識やスキルをなるべく網羅的に習得したいという方は、簿記1級を目指すのが良いでしょう。難易度は格段に高くなりますが、その分知識の専門性は高めることができるでしょう。
簿記2級では計算問題が中心ですが、原価計算および会計学が試験範囲に追加される簿記1級では理論を問われる記述問題も多く出題されます。
簿記2級の知識を前提とした試験範囲も多く、簿記2級が活かしやすい点もオススメな理由ではあるものの、普段の経理業務で触れない領域も多いため、ある程度の勉強時間は確保する必要があります。
また、転職活動でのアピール材料としての取得を目指されている方には、簿記1級とのダブルライセンスはあまり推奨できません。簿記2級と重複しない簿記1級の試験範囲については、大企業など一部の企業でしかニーズの無いスキルであることがその理由です。
もちろん、大企業へ転職する際にはアピールポイントになり得ますが、大企業はすでに税理士や公認家計士が業務を請け負っており、簿記1級のみでは太刀打ちできないことも少なくありません。
さらに、同じ簿記の資格だけでは実質的に簿記1級のみを保有していることと同義になるため、他の資格を持っていた方が幅広いスキルを持っているという評価を得やすくなります。
ダブルライセンスによる市場価値アップを効率的に実現したい方には、MOSやFPの取得をオススメします。どちらの資格についても比較的短い時間での合格が可能な一方で、評価されやすいことがその理由です。
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)は、ITシステムを使いこなすことができる証明となる資格です。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Accessのソフトウェアの使い方はもちろん、高度なマクロ作成までができるようになり、一般の人では関わることがない範囲のスキルや知識を得ることができます。
簿記2級を活かせる経理や会計業界の仕事では、会計ソフトを使うなどPCスキルが欠かせません。そのため、PCを扱うことに抵抗がないというアピールをするために、特に未経験からの転職を目指す場合には、活かしやすいといえます。
FP(ファイナンシャルプランナー)は、金融に関わる総合的なアドバイスのスキルを習得できる資格です。簿記2級が活かしやすい会計業界との親和性の高い知識をつけられるのが、オススメのポイントです。
特に会計事務所では税務に関するコンサルティングを行うことも多いので、より業務に活用しやすい資格といえるでしょう。できれば2級以上を取得しておきたいところです。
ただ転職に活かすため、もしくはスキルアップのためなら他の資格でも代替が効きますが、そのスキルを活かして独立しようと考えている人は、税理士や公認会計士を目指すのがよいでしょう。
これらは会計系の資格の中でも最難関の資格であり、基本的には3年以上の勉強が必要とされており、簿記2級よりも遥かに難易度が高いです。
そのためすぐすぐの転職に活かしたいという人にはオススメできない一方で、独占業務と呼ばれるその資格保有者しかできない仕事があることもあり、将来的に開業して経営者になりたいという人には推奨できます。
TOEICは英語力を測る試験として、認知度の高い資格でしょう。経理として働くにあたっては必要ないと思われるかもしれませんが、実は外資系企業や海外に子会社を持つ上場企業などでは英文経理のスキルが必要とされるため、評価されやすいのです。
TOEICはスコアが出る試験になりますが、800点以上を獲得していると評価されやすい傾向にあります。
簿記2級とのダブルライセンスを目指すにあたって、いくつかの注意点がありますので、ご紹介していきます。
最もお伝えしたいのが、最終ゴールを「ダブルライセンスを取得する」ことにしないでほしいということです。上述したような、ダブルライセンスによってどんな姿を目指したいのかを設定した上で、目指すようにしましょう。とりあえずなんでもいいから資格をたくさん取ろうという考えで、「資格マニア」や「資格コレクター」にならないよう、どうなりたいかから逆算して資格を選ぶようにしましょう。
上でご紹介した資格は、いずれも数日の勉強で合格できるような資格ではありません。
特に仕事をしながら勉強する場合は、平日の1日あたりに勉強できる時間は限られています。またいつでも受けられる試験もあれば1年に1回しか実施されない試験もあるので、いつの試験までにどのようなスケジュールで勉強するかを入念に立てることが重要です。
スケジュールもただ立てるだけでなく実行し、想定通りにいかなかった場合はどのようにリカバリーするのかも含めて柔軟に考えていきましょう。
ここまで、簿記2級とのダブルライセンスにオススメな資格を、取得する目的別に紹介しました。では、果たして転職のために活用するという観点では、他の資格を取るべきなのでしょうか?
結論から申し上げれば、会計事務所や経理への転職に活かすなら、基本的には簿記2級があれば十分といえます。
もちろん、他資格があればプラスアルファの評価を得やすいです。しかし、ご紹介したようにある程度の期間を勉強に費やさなければならないため、なるべく早く転職したいという方は簿記2級だけでも転職に動くのがオススメです。
転職活動においては年齢がネックになるケースもあるため、いくら苦労して資格を取っても採用されづらいことも、早めの転職をオススメする理由の一つです。
当社ヒュープロは士業・管理部門特化の転職エージェントであり、簿記2級を活かした転職のご支援実績が豊富にございます。簿記2級をどうアピールすべきなのか、どのような職場を選ぶべきかなど、専任エージェントが徹底的にサポートさせていただきます。是非ご相談から、お待ちしております。
今回は、簿記2級を取得後の次のステップを考えている人に向けて、おすすめの資格をご紹介しました。ダブルライセンスを取得することにより、1つの資格だけでは得られなかった視点が得られ、ますます仕事に資格で得た知識を活かすことができます。自分に合った次のステップを選んで、目標に向かって進んでいきましょう。
また、転職に活かすためであれば、無理してダブルライセンスを目指さずに転職活動を始めるのもよいでしょう。
ご自身のキャリアプランに合わせて適切な選択肢を選択していただけますと幸いです。