資格とは、国家資格と公的資格、そして民間資格に分類されます。それぞれ社会的な信頼性や試験の難易度が異なります。今回は、国家資格、公的資格、民間資格の概要とそれぞれの違いについて解説していきます。
国家資格とは、国または国より委任を受けた機関により実施された試験によって、一定の行為を行うことに対して法律により許可をする資格のことをいいます。国家資格は取得が難しいですが、安定性は抜群で、社会的信用性も高いといえます。そのため、国家資格には、次のような権限が与えられているのです。
特定の業務を行うには、その業務に関する資格を取得しなければいけません。例えば、医業を行うには医師の資格、刑事や民事や商事法務案件を扱う業務を行うには弁護士の資格が、官公庁に提出をする書類の作成などの業務を行うには行政書士、当期や供託に関する業務を行うには司法書士、監査業務を行うには公認会計士、のようにそれぞれ資格が必要となります。
資格を名乗り、仕事に携わる際には、その資格を取得していなければならないということが法的に定められています。ただ、有資格者でない人がその資格の呼称を使うことができないのであって、資格がなくとも有資格者と同じ業務を行うことは可能です。
例えば、保育士、気象予報士、マンション管理士、中小企業診断士、精神保健福祉士などがこれに当たります。つまり、たとえ企業の経営について知識のある人であっても「私は中小企業診断士です」と、資格を取得してもいない段階で相手に伝えてしまうのは許されないということです。
ある事業を行う際に、専門的知識をもった人を一定数は設置しなければいけないと法的に定められています。そして、その専門的知識をもっていることを証明するための資格がこれに該当します。安全衛生の観点や、一定の取引をする事業に設置が義務付けられているのです。
わかりやすく例に挙げると、一定の危険物を備え置く事業に設置が義務付けられている「危険物取扱者」や、不動産取引をする際に必要とされる「宅地建物取引士」などがあります。万が一、定められている人数よりも少なかったり、そもそも設置されていないとなれば、事業を営む物が罰則を受けなければいけません。必置資格には他にも、登録販売者、学芸員、防火管理者、管理業務主任者、貸金業務取扱主任者などがあります。
公的資格とは、商工会議所や中央職業能力開発を含んだ地方行政機関、またはこれらに準ずる機関がとりまとめている資格のことをいいます。公的資格とは、国家資格と民間資格の間の位置づけと考えていいでしょう。公的資格を取得すれば、一定の能力を有していることが認められることになり、キャリアアップに繋がる可能性があります。
なかには公的資格を取得することが国家資格の受験資格になっていたり、大学受験などで優遇されるなどのメリットがある資格も存在します。そのため、公的資格は知名度が高く、受験者数も多いです。
例えば、日本商工会議所簿記検定、消費生活アドバイザー、介護支援専門員(ケアマネージャー)、福祉住環境コーディネーター検定試験、ビジネス実務法務検定試験、食品衛生責任者などです。近年は、ビジネス実務法務検定の需要が高まっているといわれています。
また、日本商工会議所簿記検定は分類としては公的資格となりますが、日商簿記1級については非常に難易度が高く、税理士試験や会計士試験を目指す人も受けるため、世間での評価は国家資格並みといってもいいでしょう。
民間資格とは、団体や協会、企業などによって独自の審査基準が設けられている資格のことをいいます。独立やキャリアアップに役立つ資格だけではなく、生活の役に立つものや、趣味の幅を広げるような資格もあります。民間資格は、実地している団体や資格の知名度により、信頼性が変わることが特徴です。
キャリアアップを目指すのであれば、秘書検定、TOEICテスト、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)、証券アナリスト(CMA)、ファイナンシャルプランナー(AFP/CFP)などがあります。
そして趣味の幅を広めたいのであれば、アロマテラピー検定、漢字能力検定(漢検)、アロマテラピー検定、世界遺産検定、食生活アドバイザーなどが挙げられます。
国が認定している国家資格、各省庁などが認定している公的資格、民間の団体や企業が認定している民間資格と、資格は3つに分類され、それぞれ違いがあります。そして、各難易度や資格取得の優位性など、自身のキャリアパスを考えながら、取得を目指すかどうか決めることが重要となります。