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一人経理で大丈夫?メリット・デメリットを徹底解説!

HUPRO 編集部
一人経理で大丈夫?メリット・デメリットを徹底解説!

少数精鋭の中小企業であったり、スタートアップで経理人材に人手を割けられない等、「一人経理」を選択する企業も一定数います。しかし、その「一人経理」で本当に大丈夫なのでしょうか?本記事では「一人経理」のメリットデメリットを解説していきます。メリットデメリットを理解してリスク回避の対策を打てるようにしましょう。

一人経理のメリット

一人経理とは会社における経理業務全般を一人で行なっている人のことです。大企業などでは経理業務は様々な業務ごとに担当が割り振られていることが多いのですが、中小企業やスタートアップ企業では人手が足りず、一人経理になったりします。中には経理だけでなく、労務や総務なども兼任して担当するケースもあり、その場合の負担はさらに増してしまいます。

まずはメリットについて解説していきます。「一人経理」のメリットは経営者側と担当する経理担当者側でそれぞれ異なります。

経営者側のメリット

・人件費が抑えられる
・一人に聞けば全てを把握することができる
経営者側にとって何より人件費が抑えられることがメリットとなり得ます。その上、お金の流れを把握しているのが一人と限られているため、その人に聞けば時間的コストも省略して全て把握することができます。

担当する経理担当者側のメリット

・幅広い分野のスキルと経験が得られる
・仕事の進め方を自身の裁量で行える

「一人経理」を行う人自身のメリットは、一人でこなさなければならないために、必然的に自身での経理業務処理能力が向上することです。また幅広い業務を経験することができるため、バックオフィス全体の仕事のスキルアップが期待できます。

「一人経理」の場合、経営者等に近い立場で仕事することも多くあるため、そのような環境のもとでキャリアを積めば、単なる経理に留まらず、経営管理や経営戦略、マーケティング等にも触れる機会が増え、自身のスキル経験はかなり貴重なものとなります。
加えて、税理士等の専門家と関わるチャンスも豊富になるため、かなりの経験値を積むことができ、コミュニケーション能力も向上するでしょう。

「一人経理」のデメリット

では一方、「一人経理」のデメリットは何でしょうか。こちらもメリットのときと同様、経営者側と担当する経理担当者側で異なるため、それぞれ記載します。

経営者側

・Wチェック体制を組めないので大きなミスを見落とすリスクが高い
・事業が機能不全を起こすリスクが生じる
・担当者が休んだり辞めてしまうと「お金にまつわる全ての流れ」がストップする

「一人経理」の何よりものデメリットは一人にお金の循環・管理を任せきってしまい、業務が属人化してしまうことです。その人がいなくなってしまったり、ミス等が起きてしまった場合には、簡単に企業の営利活動は機能不全を起こしてしまいます。

担当する経理担当者側

・ミスに気づきにくい
・経理業務について相談できる相手がおらず孤独
・代わりがきかず休みにくい
・繁忙期は激務

一人で経理を担っているため、誰かに頼るということができないことが、「一人経理」の担当者の何よりもの負担です。何か相談したいことや分からない事があっても基本一人で解決しなければならないので、孤独感が生まれます。

また自身でミスを起こしてしまったとき、それが例えば専門性の高いものであったり、細かくて通常はWチェックが必要なものであったりする等の場合、その担当者が背負う責任は計り知れないものとなります。代わりの担当者がいないため、休みも取りづらく、仕事が終わらない時は残業時間が長くなってしまいます。

中小企業経理と大企業経理の違い

経理では多くの場合、会社の規模によって求められる能力が変わってきます。さらにいうと規模が一緒でも、会社によって求められる能力が変わってくる事もあります。
特に、中小企業経理と大企業経理では求められる能力が全く違います。
中小企業経理では、経理担当者が1人もしくは少数である場合が多く、バックオフィスの人数自体があまり多くありません。そのため、経理や財務の知識に加え、総務・労務・法務等を兼任するオールラウンダータイプの能力が求められます。 

一方で、大企業経理の場合は、経理部というものが存在していることが多く、経理部員の人数も一定数います。そのため、ある分野に特化して知識を深めたスペシャリストタイプが多く存在します。
会社によっては勘定科目ごとに担当者がおり、その勘定科目に関しては会計士よりも知識があるというようなこともあるようです。
 
つまり、中小企業と大企業では求められる能力が全く変わってくるということです。

リスクのほうが高い「一人経理」、対策はどうするか

メリットとデメリットを前述しましたが、経理という業務が企業のお金の流れ・管理という特性を持つ以上、メリット以上にデメリットのほうが大きいのが事実です。会計ルールを意図せずとも外れてしまった場合、しかもそれが「一人経理」の場合だと発生しやすくなるリスクは高くなります。

その場合、事業を継続することはおろか、中断、最悪廃業まで至ってしまうリスクもあります。そんな事態を防ぐためにも、多少人件費を割いてでも、「一人経理」は避けて、しっかりとした経理業務体制を組むことが、長い目で見たときにも企業が健全に成長していく上で欠かせないものとなります。

でも、採用が決まるまではしばらくは一人体制は避けられないという企業もいることでしょう。そのような時、少しでも「一人経理」のリスクを回避するために、以下のような対策を講じておくことを、経営者の方々へはオススメします。

【対策例】
・専門機関を活用し、複雑な会計処理で大きなミスがないようにする。
決算処理や税務手続き等、企業が経済活動を行う上で行政手続きは欠かせないものです。そのような手続きを行う際、大きなミスが発生しないよう、専門機関として、国税庁や税務署、日本税務研究センターに相談することも一つの手です。

・外部リソースやITツール等を活用する
税理士や公認会計士等の外部の専門家へ相談したり、最近では多く登場し活用の事例も多い会計ITツールを導入する等も効果的な手です。複雑な経理業務を効率化するために、かつミスを防げるように操作も簡易的なものが増えていますので、担当者としてもかなり役立つ存在であるといえます。また、その外部リソースに相談し問題解決に繋げることも可能ですので、効果も高いといえます。

まとめ

「一人経理」はデメリットのほうが大きいため、できる限り経営者は避けるべきです。しかし、やむをえない事情等でそのような体制となってしまった時、少しでもその経営的リスクを回避できるように対策を講じておくこともまた、経営者として必須のものです。上述した対策例等を知識として頭に入れた上で、より企業が健全な経営活動ができるよう、経理体制が組まれればと思います。

この記事を書いたライター

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カテゴリ:コラム・学び

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