士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

簿記3級の合格率はどのくらい?試験概要から合格率の推移まで詳しく解説!

HUPRO 編集部
簿記3級の合格率はどのくらい?試験概要から合格率の推移まで詳しく解説!

簿記3級は、経理・財務に携わる人だけではなく、すべてのビジネスマンにとって有用な資格です。なぜなら、簿記3級の取得することで業種を問わず「社会における仕事」に関する基礎的な知識が身につくからです。

そこで、この記事では簿記3級の合格率や難易度、勉強法そしてキャリアへの効率的な活用方法などについて幅広く説明します。今では、多くの企業が簿記3級の取得を推奨しています。近い将来ご自身が受験するときのために、ぜひお役立てください。

簿記3級の試験概要について

まずは、簿記3級の試験概要について説明します。

簿記3級の試験内容

簿記3級の試験範囲は商業簿記のみです。簿記の基礎である商業簿記について、以下のポイントから簿記能力が問われます。

・仕訳(取引を勘定科目で分類)
・総勘定元帳の作成
・財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の作成

簿記3級の試験方式

日本商工会議所が実施する簿記3級の試験内容は次の通りです。

簿記3級で問われる内容とは?

商業簿記のみ(5題以内)から出題され、試験時間は120分合格基準は70%以上の得点です。受験者の分布によって合格基準点が変わるのではなく、常に合格基準点が一定な点に特徴があります。つまり、上位を目指す勉強が必要なのではなく、商業簿記に対する理解を深めることを意識しさえすれば自ずと合格に近付くことができるのが日商簿記3級の特徴なのです。

簿記3級が人気の理由

現在、簿記3級は非常に人気の高い資格です。その理由は、簿記3級が経理の基礎を学べる資格であり、就職・転職の際に役に立つ資格だからです。

そもそも簿記3級の試験範囲である商業簿記とは、購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算する技能で、企業を取り巻く関係者に対し、適切かつ正確な報告を行うためのものです。つまり、この資格を取得していることは、ビジネスマンとして最低限備えているべき社会の構造を理解していることの証明となります。

・財務や経理の基本スキル
・営業職にとって必須の事業分析能力
・ロジカルシンキング

簿記3級を取得しているだけで、これだけのスキルを外部的に証明できることから、多くの企業において重要視されていると考えられます。

簿記3級の合格率の推移

では、このように人気の高い簿記3級の合格率はどのように推移しているのでしょうか?以下の表をご覧ください。

近年の簿記3級の合格率

出典:3級受験者データ|日本商工会議所HP

実施時期によって合格率は異なりますが、おおよそ40~50%の合格率で推移していることが分かります。なお、簿記2級の合格率は20~30%程度なので、簿記3級が合格しやすい資格であることは明らかでしょう。

簿記3級の実質合格率とは?

どのような資格試験についても当てはまることですが、統計値として算出される合格率と、実質合格率との間には差があります。そして、特に簿記3級においては、両者における差は大きいと言われています。実際のところ、簿記3級の実質合格率は70%を超えるとまで言われているのです。

簿記3級の実質合格率がこれほどまでに高いとされる理由は、次の2点です。

簿記3級は記念受験組が多い
簿記3級は勉強不足のまま受験する人が多い

それぞれについて、詳しく解説します。

簿記3級は記念受験組が多い

簿記3級は、TOEICや英検などと並ぶほどのメジャーな資格です。このようなメジャーな資格については、取得しておけば今後何かの役に立つだろうというような考えからとりあえず受験する人がとても多いのが実情です。

つまり、本気で勉強して資格取得に挑むのではなく、とりあえず願書を提出して受験に挑むという人が、全体の約10%を占めるとも言われています。例えば、商業高校の学生、会社から受験を強制された会社員などがこれに当たります。

税理士や公認会計士などの専門性の高い資格と比較すれば分かり易いでしょう。これらの専門職の資格を受験するのに、「記念受験でとりあえず受けてみる」という人はほとんどいないはずです。ほとんどの受験生が、合格を目指して本気で勉強しているはずです。他方、これらと比較するとハードルの低い簿記3級はこの限りではありません。

簿記3級は勉強不足のまま受験する人が多い

実は、簿記3級の受験者の中には、試験範囲を充分に勉強せずに受験しているという人も少なくありません。例えば、実際に試験問題を目の当たりにしてまったく理解できないために途中で退出してしまうという人が頻出します。

つまり、人気の資格、合格すれば何かの役に立ちそうだからという理由で出願したものの、実際にはほとんど勉強していないために試験を途中で諦めるという人が多いのです。

このように勉強不足のまま簿記3級を受験してしまう人が多いというのが現状です。その理由としては、会社や学校で無理やり受験させられた人が一定数いるということが挙げられます。冒頭でもお話した通り、簿記3級はとてもメジャーな資格であり、そのうえ簿記3級を取得できるほどの知識を得ることができれば決算書を読めるようになります。

そのため、あまりやる気のない学生や経理部でもない社員に対しても、学校や会社は簿記3級の取得を促すことがあります。当然、無理やり簿記3級を受験させられるわけですので、勉強に対するモチベーションも低い状態で受験当日を迎えます。このような勉強不足の人たちも、全体の10%ほどは存在していると考えられています。

では、簿記3級の実質合格率が70%ほどであるというのをお伝えしましたが、それでもしっかりと対策は必要です。次は簿記3級の勉強時間について見ていきます。

実質合格率から分かることとは?

以上のように、簿記3級という資格には、そもそも合格しようのない人が簿記3級を受験しているという実情があるのです。会社や学校で無理矢理受験させられたり、適当な気持ちで願書だけは出したというパターンは少なくありません。

ただ、冒頭で説明した40~50%の合格率を算出するにあたっては、このような人たちも計算の基礎数値に加味されます。つまり、簿記3級とは、そもそも合格するはずのない人たちを含めたとしても、40~50%の人が合格することができる試験なのです。

以上を総合的に考慮すると、実施時期ごとのバラつきはあるとしても、本気で簿記3級の合格を目指して勉強すれば、約70%の人が合格できるということが導かれます。正しく、コツコツと努力をすれば、決して合格は難しくないとご理解いただけるでしょう。

簿記3級の合格のために必要な勉強時間やスケジュール管理、注意点について

ここからは、簿記3級の合格に必要な勉強時間やスケジュール管理について説明します。最短合格を目指す方は、ぜひご参考ください。

簿記3級に合格するために必要な総勉強時間は?

一般的に簿記3級に合格するためには、次のような勉強時間が必要と言われています。もちろん個人差はあるのでご注意ください。

・総勉強時間:50~100時間程度
・勉強期間:1~3ヶ月程度

例えば、短期集中型で合格を目指す場合であれば、1日3時間、1ヶ月勉強すれば合格水準に達することができるでしょう。他方、社会人の方など毎日数時間の勉強時間を継続的に確保するのが難しい場合であれば、休日などにしっかり勉強しつつ3ヶ月程度のスパンで合格を目指すのがおすすめです。ご自身の採りやすいタイムスケジュールの中で合格を目指してください。

もちろん、この勉強時間・勉強期間は初学者にとっての一つの目安でしかありません。例えば学生時代に経済学部に所属していたり、仕事をする中で財務諸表などに触れている人からすれば、簿記3級の知識をあらかじめ備えている場合もあるでしょう。このような方にとっては、ある程度勉強のノウハウさえ定着してしまえば、より簡単に合格水準に達することも可能です。

《関連記事》

簿記の全体像を把握する(10時間)

まず、簿記の勉強を開始するにあたって大切なのは、全体像を把握することです。参考書や問題集を準備したら、細かい点に気を配り過ぎるのではなく、3割程度の理解度で読み進め、全体像を把握するようにしてください。

例えば、簿記とは
「何をするための学問なのか?」
「お金の動きを帳簿に表すとどのように動くのか?」
「貸借対照表」と「損益計算書」の役割
など根本的な理解に努め、目的意識を持って読み進めていくこと大切です。このような簿記の全体像を掴むことができれば、勉強途中の躓きも格段に減少します。

ひたすら過去問を解く(40時間)

参考書を読み、簡単に全体像を把握することができたら、次はひたすら問題を解いていきます。簿記3級は、出題範囲が広くはありません。したがって、同じ問題をしっかりと繰り返すことによって、充分合格水準を目指せるからです。

例えば、過去問です。何度も解けば、出題の傾向も理解できますし、基礎から応用に至るまでの問題パターンを知ることもできます。繰り返し解くことによって記憶が持続的なものになるので、知識の定着も進むでしょう。

過去問から分析(50時間)

過去問を繰り返す中で、しっかりと分析をしましょう。もちろん、最初は誰でも間違えます。大切なのは、「なぜ間違えたのか」を理解することです。自分が躓いた箇所の原因を知ることによって、次には正解に辿り着くことができるでしょう。

問題集の解説やGoogleの検索機能を活用することで理解は更に深まります。類似問題にも出会えるので、ぜひ積極的に挑戦して実力を養ってください。

勉強を継続することが重要

簿記3級の勉強において最も重要なことが勉強を継続することです。

そもそも、簿記は私生活には馴染みが薄い分野です。したがって、毎日積極的に勉強しなければ触れることがありません。これでは、すぐに知識が頭から抜け落ちてしまうでしょう。

これを防ぐためには、毎日コツコツ勉強するしかありません。毎日の積み重ねが知識の定着を生み出し、合格ライン到達の力となります。効率良く勉強することも大切ですが、それ以上に継続の力を無視してはいけません。

コツコツ継続することが大事

簿記3級は独学でも大丈夫

簿記3級レベルであれば、独学でも充分に合格できるでしょう。実際、簿記3級合格者のうち約8割が独学というデータもあります。

もちろん、独学に不安がある方であれば、資格スクールに通っても問題ありません。ただ、費用面の節約を考えるのであれば、独学がおすすめです。

簿記3級合格のための勉強法とスケジュール

今までの職種経験や簿記の勉強をしたことがある・なしで勉強法とスケジュールは変わってきますが、一般的にどんな受験生でも役立つおすすめの勉強法とスケジュール管理方法をご紹介します。

1.簿記の全体像を把握する(10時間)

簿記の勉強を始めるにあたって参考書と問題集を準備します。まずは参考書にざっと目を通し、3割程度の理解度で読み進めていきましょう。

簿記とは
・「何をするための学問なのか?」
・「お金の動きを帳簿に表すとどのように動くのか?」
・「貸借対照表」と「損益計算書」の役割
など根本的な理解に努め、目的意識を持って読み進めていくこと大切です。簿記の全体像を掴むことで、勉強途中の躓きも格段に減少します。

2.ひたすら過去問を解く(40時間)

参考書を読み、簡単に全体像を把握することができたら、次はひたすら過去問を解いていきます。例え参考書を読み理解したとしても、持続的な記憶には繋がらず、応用問題にも対応できません。ここでは過去問を通じ、簿記試験の傾向を把握するとともに、基礎から応用とあらゆる問題パターンに対応できるように努めます。過去問は何周も繰り返し解くようにしましょう。

3.過去問から分析(50時間)

初めは10点、20点でも問題ありません。過去問を解き、間違った問題を調べる作業が最も理解度に繋がります。間違えた箇所は参考書やGoogleを使い調べるのがおすすめです。特に、最近は検索情報が豊富になり、あらゆる情報がヒットします。簿記でも同様で、自分では解けない問題もGoogle検索にかけると、似たような記事にヒットし、解く手助けになること間違いありません。

資格試験を通じ、自分にあった勉強方法にどんどん改善を加えていきましょう。上記の勉強法とスケジュールはあくまでも一例であり、簿記3級の合格を目指す方に役立てれば幸いです。

コツコツ継続することも大事

簿記はあまり私生活には関係しない分野です。だからこそ、毎日勉強し、簿記3級の知識を繰り返し頭に入れておかないと、すぐに忘れてしまいます。独学であっても、多少効率の悪い勉強法をしていたとしても、毎日簿記3級の知識に触れてさえいれば、合格には近づきます。日々コツコツと、これが簿記3級取得に向けての近道です。

コツコツ継続することが大事

独学で大丈夫?

簿記3級の勉強をするにあたり、独学で行うか資格スクールに通うか悩まれる方もいると思います。結論はどちらでも大丈夫ですが、簿記3級レベルですと、独学で取得する方が大半を占めます。おおよそ8割が独学と言われています。また、独学の場合、合格までの必要勉強時間がおおよそ70〜100時間と言われています。もちろん、個人差はありますが、平日1日あたり2時間の勉強で約2ヶ月〜2ヶ月半で合格レベルまで達します。

しかし、いざ勉強を始めてみたけどさっぱりわからないという方は、時間も限られていると思いますので、効率性を考えて資格スクールも検討してください。独学で始めたけど、よくわからないからと挫折してしまうのが一番もったいないです。

簿記3級のおすすめ参考書

前述の通り簿記3級は独学で学ぶ人が多いので参考書も充実しています。ここではメジャーな参考書を2つ紹介します。

スッキリわかる 日商簿記3級 [テキスト&問題集]/滝澤 ななみ (著)
合格テキスト 日商簿記3級/TAC簿記検定講座 (著)

簿記3級の勉強に関して、何から始めたらいいの?という方は、こちらの記事をご覧ください。

《関連記事》

簿記3級を取得した後は?

最後に、簿記3級取得後のキャリア、簿記2級を目指すべきかどうかについて説明します。

簿記3級は就職・転職に役立つ

簿記3級は、就職や転職の際に役に立ちます。簿記の取得を採用条件に挙げている企業もありますし、そうでなくとも、最低限の簿記知識を備えている証明はキャリアップにとって無駄にはなりません。

ただし、より積極的に簿記の力を就職などの場面で役立てたいのであれば、ぜひ簿記2級への挑戦を検討してください。簿記3級は、あくまでも簿記の入門です。取得していて損はありませんが、他の志願者を出し抜くほどの力は期待できません。

特に経理や財務の職を目指すのであれば、より専門性が高い簿記2級を取得すれば強みになるでしょう。

《関連記事》

簿記2級への挑戦を!

せっかく簿記3級に合格したのであれば、ぜひ簿記2級にも挑戦してください。簿記2級まで取得していると、就職や転職の際の選択肢が格段に広がるからです。実際、簿記2級までの知識がなければ経理として一人前の仕事をこなすのは難しいとも言われています。積極的なキャリアップを目指すのであれば、簿記3級に合格した流れでそのままチャレンジしましょう。

加えて、簿記3級の知識が定着しているうちに簿記2級に挑戦した方が勉強がスムーズというメリットもあります。簿記3級の知識だけでは、実際経理の仕事を充分にこなすことは難しいでしょう。少し簿記実務から離れてしまうだけで、せっかく3級レベルにまで達した実力が失われかねません。簿記3級に合格したらすぐに簿記2級へ

簿記3級の次は簿記2級

簿記3級を取得した次のステップとして、簿記2級に挑戦するべきか悩まれるかと思いますが、結論から言うと、ぜひ簿記2級にチャレンジしましょう。先ほども述べた通り、簿記3級というのはあくまでも基礎知識の習得にすぎません。経理として現場で必要となってくる知識を得ようと思うと、やはり簿記2級まで勉強する必要があります。

さらに、こちらも前述の通り、簿記2級を必須としている経理職の求人が多いです。経理職や会計職というのは、スキルに応じてできる業務範囲が決まってきますし、一定の知識を前提とする業務も多々あります。そのため、常に勉強が必要な職種でもあります。せっかく簿記3級を取得できた際にはぜひ簿記2級まで挑戦してみてください。

まとめ

以上が簿記3級の合格率とキャリアアップへの活かし方です。簿記3級の実質合格率を考慮すると、取得の難易度はそう高くない資格であるとご理解いただけたはずです。毎日コツコツ勉強して、ぜひご自身のキャリアに活かしてください。

最速転職HUPRO(ヒュープロ)では、士業・管理部門に特化して簿記3級取得者に向けた求人情報を多数扱っております。簿記3級の資格取得を目指そうかどうか、あるいは取得後にどう転職活動で活かしていけるのかお悩みの方は、ぜひ下記ページよりご相談ください。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:資格試験

おすすめの記事