企業活動にどのようなコストがどの程度かかっているのかを把握するための手がかりとして、販管費比率という概念があります。販管費比率を計算することで、売上高のうち販売費などにどの程度のコストがかかっているかを知ることができます。今回は販売比率の概要や計算方法、注意点などをご紹介します。
販管費比率とは、売上高に対して販売費及び一般管理費がどれだけの割合を占めているかを示すものです。販売管理費率、営業経費率、売上高販管費率とも呼ばれます。
販管費比率に関連する用語のうち、売上高とは、企業の目的である商品や製品などを販売またはサービスすることで得た代金のことです。
販売費は販売活動を行うために直接必要となった費用のことで、例として販売手数料や販売促進費などがあります。
一般管理費とは、モノやサービスを創出するために直接必要となった費用ではないものの、企業を運営するために必要となる費用のことです。一般管理費の例としては人事や経理などの間接部門の人件費、企業の福利厚生費などがあります。
販売費及び一般管理費は、大きく分けて3種類あります。
以上の3種類です。
一般的な企業の場合、販売費及び一般管理費として発生する費用の多くは固定費になります。販売費及び一般管理費は、略して販管費とも呼ばれます。販管費比率は企業の売上に対して費用がどれだけ発生したかを示す概念であり、比率が少ないほどコストについての効率が良くなっています。
一般管理費について詳しく述べた記事が以下になります。
一般的に販管費に含まれる科目は以下の通りです。
販管費比率は売上高における販売費及び一般管理費の割合を示すものであり、計算方法は以下の通りです。
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販管費を効率的に振り分けているかどうかは、販管費比率の数値によって示されます。販売費及び一般管理費は端的に言えば出費なので、これらを効率よく抑えることができれば利益は大きくなります。言い換えれば、売上高が一定であっても、販管費比率を低く抑えることができれば、営業利益を大きくすることにつながるということです。
販管費比率を低く抑えることは営業利益の増加につながりますが、注意点として、販管費比率がどのような数字になるかは事業の内容や業種によって異なってきます。
販管費比率の数値が高くなりがちな業界としては、まず医薬業界や精密機器業界などがあります。その理由は、これらの業界は薬品や機器の研究や開発のために多額の費用をかける必要が多いからです。
次に、販売員の人件費、広告宣伝費、商品運搬費などの費用が多く発生する企業の場合も販管費比率は高くなりがちです。典型例として小売業界があります。営業担当の人材を多く抱える必要がある営業メインの事業の場合も、販管費比率の数値は高くなる傾向があります。
逆に、販管費比率の数値が低くなりやすい業界は、建設や造船などの製造業です。製造業は販売ルートが限定されることが多いため、営業に関する費用をあまり支出する必要がないのが一般的です。
次に、製造業の顧客は消費者ではなく、不動産の開発会社やメーカーなどの法人が中心の場合も少なくありません。その場合は大々的な広告キャンペーンなども必要ないので、販管費を低く抑えやすくなっています。
販管費比率の数値は業務内容によって高くなりがちな場合と低く抑えやすい場合があります。そのため、販管費比率の数値を他の企業と比較する場合でも、単に販管費比率の数値が低い企業と比べるのではなく、同じような業務内容や業種の企業と比べることが重要です。
また、他の企業と比べるだけでなく、企業自身の過去の販管費比率の数値と比較するのも効果的です。それによって経費削減のための手がかりになるだけでなく、企業がどのような動きをしてきたのかも把握しやすくなります。
たくさん費用をかけているからこそ、売上を上げているともいえ、一方で売上を
たくさんあげているからこそ、費用を多くかけられるとも言います。
そのため、販管費比率と売上総利益率は比例している傾向にあります。
しかし、販管費はそもそも費用ですので、高ければ悪く低ければ低いほどよいという前提があります。前述したとおり、販管費を多くかけるべき業種やそうでない業種もありますので、その業界の特徴に合わせて指標を見ていく必要があります。
売上総利益率についてまとめた記事も公開しております。
販管費比率とは売上高に関して販売費・一般管理費がどれくらいの割合をしめているかを表した指標です。基本的に販管費は費用ですので、少なければ少ないほど良いとされますが、業種によっては販管費を高くすべきものもあります。
また、販管費と一括りにせずその中の給与や接待交際費など科目別にその割合を見極めて、かけすぎている科目は削減するなどそれぞれに見合った対処をしていくことが必要です。