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企業結合とは?会計基準に基づく3つの種類

HUPRO 編集部
企業結合とは?会計基準に基づく3つの種類

組織を会社が再編する方法としては、合併、株式移転・株式交換、事業譲受・譲渡、会社分割などがあります。このような会社の組織の再編に関しては、会計基準などが設けられており、組織を再編する方法に応じて会計処理と開示を行うようになります。今回は企業結合会計、企業結合について解説していきます。

企業結合会計とは?

企業結合会計というのは、会計実務あるいは会計学において、株式交換や合併などの組織再編についての会計処理のことです。

日本の現行の会計制度においては、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)が適用される以外に、「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)と深い関係があります。

企業結合とは?

企業結合にあたるM&Aにおいては、厳格に手続きが設けられています。企業結合についての知識は、規模が小さいM&Aを行うときも持っておく方がいいでしょう。では、企業結合とはどのようなものでしょうか?

企業結合について、「企業結合会計基準」において「ある会社あるいはある会社を構成するビジネスと別の会社あるいは別の会社を構成するビジネスが1つの報告単位に統合されること」と定義されています。簡単に言うと、「一つに会社同士を統合すること」が企業結合になります。

企業結合としては、「共同支配企業の形成」「他会社の支配」「共通支配下の取引」が含まれます。基本的に企業結合は日本会計基準におけるものであり、IFRSの国際会計基準においては意味合いが違います。国際会計基準では、企業結合として「共通の支配下にある企業同士の企業結合」が規定されていません。一言で企業結合といっても、定義が日本会計基準と国際会計基準では違っているため注意しましょう。ここでは、企業結合を日本会計基準に基づいてご紹介します。

企業結合におけるビジネスの定義とは?

「企業活動を行うために組織化された、有機的一体として機能する経営資源」が、企業結合におけるビジネスの定義になっています。つまり、企業結合のビジネスとしては、ビジネスを移転する負債や資産が構成していることが必要になります。

企業結合会計の規則は、ビジネスを取得した負債や資産が構成していると適用されますが、資産の単なる集合体であれば適用されません。ビジネスの譲渡や過半数の株式の取得であれば、企業結合にあたると考えられます。

M&Aを行うときは、取得した資産が単なる資産の集合体になるのか、それともビジネスになるかを見極める必要があります。会計処理の方法が、資産の集合体とビジネスでは違うためです。

企業結合の種類とは?

ここでは、企業結合の種類についてご紹介します。一言で企業結合といっても、種類としてはいろいろなものがあります。「企業結合に関する会計基準」によって、企業結合は共同支配企業の形成、取得、共同支配下の取引に分類されます。

共同支配企業の形成

共同支配企業の形成というのは、独立したいくつかの会社が共同支配企業を契約などに基づいて形成するものです。共同支配企業というのは、共同でいくつかの会社が支配するものを意味しており、合弁会社がイメージとしては近いものです。

取得

取得というのは、ある会社が別の会社あるいは会社を構成しているビジネスを支配する権利を獲得することです。企業結合である共同支配企業の形成や共同支配下の取引にあたらないものは、全て取得になります。取得としてはいろいろな意味合いがありますが、一般的にはビジネスの買収が知られています。

取得にあたる企業結合においては、会社のいずれかが取得する会社になります。
取得する会社を決定するときは、「支配力基準」という「連結財務諸表に関する会計基準」で規定されたものを使います。「支配力基準」を使っても取得する会社がはっきりしないときは、議決権比率や対価の授受、会社の規模などを基準にして見極めます。このように、厳格な決まりが企業結合にはありますが、基本的に取得する会社は買い手側になります。

共通支配下の取引

共通支配下の取引というのは、企業結合の前後で結合する当事会社の全てが同じ株主によって支配され、しかも一時的な支配ではないものです。そのため、グループ会社の中でのM&Aが、共通支配下の取引になります。
共通支配下の取引としては、子会社と親会社の合併や子会社間の合併などがあります。

グループ会社の中の再編をするためのM&Aは、共通支配下の取引になるでしょう。
共通支配下の取引について詳細に把握してM&Aを行うときは、M&Aを専門に取り扱っているところに相談するのがおすすめです。このようなところでは、M&Aについての経験と知識が豊富にあるプロが徹底してサポートしてくれます。

企業結合の具体的会計処理について

企業結合における会計処理についてはのれんの計上など難しいイメージを持っている方が多いです。実際に公認会計士ですら、企業結合会計を完璧にこなせる人は少ないです。ほとんどの場合はそういった会計処理が必要になってから指針を確認するということになるでしょう。

それでもやはり基本だけでもおさえておくと、自分の強みとして活かせますので、ぜひ勉強してみてください。会計処理についてはこちらのコラムでも紹介しています。

この記事を書いたライター

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