公認会計士試験は、国家試験の難易度から、医師、弁護士、公認会計士と並べられ、よく三大資格として難しい試験に挙げられます。そんな公認会計士試験の倍率は約9〜10倍とも言われるような難しい試験となっています。そこで、公認会計士試験の倍率について、詳しく分析しながらご紹介していきたいと思います。
まず、公認会計士試験を受ける受験者は、一体どの位いるのでしょうか。倍率を考える場合に、受験者数の多さも公認会計士試験の場合気になります。
公認会計士試験は、一次試験の短答式試験と二次試験の論文式試験に分けて行われています。一次試験の短答式試験は、第1回12月と第2回5月に行われ、二次試験の論文式試験は、8月に実施されています。
公認会計士試験の受験者数は、最近の平成30年の願書出願者数が11,742名(前年より+710名)です。そして、その中からの一次試験合格者が2,065名、最終的な二次試験合格者数は1,305名(前年より+74名)です。11,742名の出願者数で、最終合格者1,305名ということから、出願した人数から見ると倍率は9倍あります。
受験者数だけを比べてみると、最近では平成27年が最も低く、10,180名となっていて、ここ3年は受験者数も年々増加の傾向です。公認会計士になりたいという人が増え、人気を物語っているでしょう。
次に、もっと公認会計士試験の倍率について細かく見ていくことにします。まず、公認会計士の平成30年の願書提出者は、11,742名とありますが、この中には、願書だけ出して実際に受けない人が毎年いるのが、現状です。
願書提出者だけ見るととても多く、合格できるのかがとても心配になりますが、実際にはこの中から20%ほどの人が毎年欠席して受験さえしません。
また、この願書提出者の中には、既に一次試験の短答式試験を合格して、二次試験の論文式試験だけを受ける人数も含まれています。そのため、願書提出者数だけで倍率を考えないようにすることも大切です。実際に受験をした人の中での受験倍率を考えていくのがいいでしょう。
一次試験の合格者数は、2,065名と言われ、11,742名の願書提出者数のうち20%の欠席者を考慮すると実質の受験者数は9,400名ほどで、4倍~5倍程度が一次試験の実際の受験倍率と言えるでしょう。
そして、実際に二次試験の論文式試験を受験した人数はというと、平成30年は3,678名です。一次試験を今年受かった人とそれ以前に受かっている人が受験しています。二次試験の論文試験の受験者数は、最初の願書提出数の31.3%となっています。
そして、その3,678名の二次試験受験者の中から、最終的には、1,305名が合格していますので、二次試験の受験倍率は約3倍で3人に1人が合格しています。また、実質的には、この3,678名の10%は試験を受けずに欠席していますので、実質に二次試験に合格するための倍率は、もっと低く2.5倍程度に見込めます。
また、この合格倍率を、年齢別に具体的に分析してみるとどうなるでしょうか。
まず、願書提出者の年齢が20歳以上~25歳未満の大学生や若い年齢層が4,563名と3分の1以上の割合を占めています。また、20歳以上~30歳未満が6割を占めています。
そして、最終合格者においては、20歳以上~30歳未満が8割以上と高くなっています。大きな割合で若い人が受験して合格していることがわかります。
最終合格率は、20歳以上~25歳未満が17.1%で倍率は約6倍、25歳以上~30歳未満が12.2%で、倍率は約8倍となり、平均倍率の9倍よりも低い倍率で合格できています。
試験勉強のために大量の勉強時間が必要な公認会計士試験のため、勉強時間が多く取れる大学生などが多く受験し、倍率も低く合格できていることがわかります。
また、公認会計士試験の倍率を男女で考えるとどうなるのかも気になるでしょう。
以前は、合格者の中で女性の割合は、20%ない状態が長く続いてきました。しかし、最近では20%前後にまで高くなってきています。
最近では、毎年200名強の合格者、平成30年には260名の女性の合格者が出ています。実際にこれまでの女性の合格者総数も3,000名を超え、女性の公認会計士も少しずつ増えてきている状況です。
公認会計士試験の倍率は、見た目の倍率は、願書提出者の9人~10人に1人という合格率で、9倍~10倍の倍率があります。ただ、願書提出者が全員受験するわけではないこと、欠席する人や二次試験だけを受ける人も人数に入っていることを頭に入れておくことが大切です。
ただし、既に以前に一次試験に受かっている人が二次試験に受かって合格したという人ももちろんいますので、倍率だけで難しさは計れないところもあります。
また、一発合格の倍率がどの位なのかは難しいところでしょう。実際に受験した受験倍率で考えれば、一次試験の倍率が4倍~5倍、二次試験が2.5倍~3倍です。
一発合格の倍率は、数字上の計算で行くと、4倍×2.5倍=10倍が実際の受験倍率の計算となります。
多くの勉強量を確保できる時期に受験すれば、一発合格を目指すのも可能な倍率と言えるでしょう。