勘定科目の通信費は、インターネットの通信量や電話料金をイメージしますが、切手の勘定科目も通信費です。切手の仕訳をする際に気をつけるのは、原則的な方法と例外的な方法の仕訳があること。また、消費税もの例外的な仕訳方法があるので、注意しましょう。
切手の仕訳科目は租税公課ではなく、通信費に該当しますが、これは郵便やはがきを送付する際に使用目的があるので、勘定科目が通信費となっています。
切手は、郵便料金となりますので、通信費に該当します。なので、切手が印字されたハガキの仕訳科目も通信費です。一方、切手を貼る封筒については、無地の封筒は郵送のみの目的として利用しませんので、消耗品や事務用品費の勘定科目で仕訳をします。
切手と間違われやすいのが、印紙です。印紙とは、印紙税など税金を支払うために使用するものです。主な用途としては、登録免許税の支払いや、契約書を作成する際に貼付をして利用します。一方、切手は税金ではなく、郵便を送る際の送料です。そのため、仕訳科目は租税公課ではなく通信費なのです。
切手は、購入時点と使用時点で仕訳をする必要があります。切手を購入してからすぐに利用しなかった場合には、振替仕訳をする必要があるので、注意が必要です。
切手を購入した際の仕訳科目は、貯蔵品または通信費を使います。貯蔵品とは、消耗品の在庫ストックのことをいい、切手をすぐに使用しない場合には貯蔵品として仕訳をします。ただし、切手を日常的に利用する場合には、勘定科目を通信費として仕訳することもできます。
<1,000円分の切手を現金で購入した場合の仕訳>
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
通信費 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
一度に多くの切手を購入し、切手の在庫を持つこともあります。切手を購入した際は通信費として仕訳処理できますが、決算期まで未使用の切手が残っている際には、勘定科目を貯蔵品に変更する振替仕訳をすることになります。
<1,000円分の切手が未使用で決算を迎えた場合の仕訳>
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
貯蔵品 | 1,000 | 通信費 | 1,000 |
なお、翌事業年度になれば、再度貯蔵品から通信費に振り返える仕訳が必要です。
消耗品に該当するものは、原則、決算期末に貯蔵品に振替仕訳をする必要がありますが、切手を継続的に使用する場合には、振替仕訳の必要がありません。そのため、決算期末に貯蔵品に振り替えをせず、当初の消耗品のままの仕訳でも大丈夫です。
切手代には消費税が含まれており、消費税分の仕訳も行います。切手の消費税は、使用した時点で課税対象となりますので、仕訳するタイミングに注意してください。
切手に含まれている消費税は、購入した時点では消費税は非課税で、使用した際に課税対象となります。そのため、原則的な仕訳方法としては、切手を購入した際は購入金額をそのまま貯蔵品として記載し、切手を使用した時点で消費税の仕訳をすることになります。
<840円分の切手を購入した場合の仕訳>
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
貯蔵品 | 840 | 現金 | 840 |
<840円分の切手を使用した場合の仕訳>
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
通信費 | 770 | 貯蔵品 | 840 |
仮払消費税 | 70 |
切手の消費税は使用した時点で課税されますが、切手を継続的に使用する場合には、購入した際に消費税の仕訳をしても問題ありません。購入時点で消費税の仕訳をすれば、利用した際の仕訳が不要となるため、多くの会社では切手を購入した時点で消費税の仕訳をしています。
<840円分の切手を購入した場合の仕訳>
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
通信費 | 770 | 現金 | 840 |
仮払消費税等 | 70 |
<840円分の切手を使用した場合の仕訳>
切手を購入した時点での仕訳で完了しており、使用した際の仕訳は不要です。なお、決算期末で切手の在庫がある場合には、貯蔵品に振り返る必要がありますが、こちらも継続的に切手を使用する場合は振替仕訳の必要はありません。
切手の仕訳には、原則的な仕訳と例外的な仕訳が存在しますが、基本的にはどちら方法で仕訳しても大丈夫です。仕訳の回数が多ければその分経理の仕事も増えますので、できるだけ簡潔な方法で仕訳した方が事務の負担が減少します。ただし、会社によって仕訳方法が異なりますので、前任の担当者から経理担当を引き継ぐ際には、従来の仕訳方法を確認してください。