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会計に必要な発生主義、現金主義、実現主義という考え方とは?

HUPRO 編集部
会計に必要な発生主義、現金主義、実現主義という考え方とは?

発生主義、現金主義、実現主義といえば、会計の基礎知識です。会計に携わっている人、携わりたいと考えている人は、聞いたことがありませんか。会計業務を行うには、これらの違いを正しく理解したうえで業務に携わることが非常に重要となります。今回は、発生主義、現金主義、実現主義のそれぞれの考え方について解説していきます。

会計における3つの考え方の関係とは?

はじめに現実主義、発生主義、実現主義の3つの関係から理解を深めていきましょう。まずは、現実主義と発生主義についてです。現金の動きに合わせて帳簿をつけるという考え方を「現実主義」といい、金銭の動きは関係なく取引が発生したという事実をもとに帳簿をつけるという考え方を「発生主義」といいます。

現実主義の課題

現実主義は、金銭の動きに合わせて記録をするだけなので、とてもわかりやすいものの、一定期間ごとの正しい損益を把握することができません。また、現実主義の考え方だけで会計を行えば、本当は収益があるのにも関わらず、帳簿では赤字であるという会計上のずれを生じてしまう場合もあります。そして、このような状況を補うために、発生主義での考え方に基づき、収益を把握するということが主流となりました。

実現主義が誕生した理由

しかし、発生主義にも問題点がありました。費用だけではなく、収益についても多く認識してしまうという可能性がでてきたのです。そこで、収益に関することは、実際に実現したという収益のみを確定するという「実現主義」が誕生したのです。ですから、日本の会計では、費用に関しては「発生主義」であり、収益に関しては「実現主義」で会計業務を進めることが原則とされています。

費用収益対応の原則

ただ、費用と収益で考え方が違うことになってしまいます。そこでこの違いを調整するために生み出されたのが、「費用収益対応の原則」です。これは、ある期間内で発生した費用のなかで、会計期間の収益獲得に貢献をしたものだけを費用として考え、計上するというものです。つまり、収益については、収益を生み出すために必要となった費用を関連付けて考えるべきだという原則なのです。

発生主義、現金主義、実現主義を細かく解説!

では、ここからは、1つずつの主義について詳しく見ていきましょう。

現実主義とは?

現実主義とは、現金や預金の動きがあって初めて取引が認識されるという考え方です。販売したものの代金を受け取る、購入したものの代金を支払うといったように、実際の現金の動きが終了した時点で計上することになるので、確実でわかりやすいうえ、不正会計の可能性も低くなります。

しかし、現実主義には不都合も生じます。商品またはサービスを前払いした場合、実際にその商品をまだ手にしていなくても、サービスの提供を受けるのがしばらく先であっても、費用として計上しなくてはならないのです。そして反対に、後払いができる商品やサービスについてはすでに手元に届いていたり、サービスを受けていたりしても、代金を支払うまでは費用としては計上ができないのです。

このように現実主義においては、会社の経営状況をタイムラグなしに財務諸表に正しく反映することが難しいといえます。事実上、こうした現実主義による会計は、資産や負債がなく、取引は現金で行う小規模事業者か、企業内の一部のみでの会計処理に限って行われていることが多いです。

発生主義とは?

発生主義とは、金銭の動きに関係なく、取引が発生した時を基準に費用と収益を計上するという考え方です。そのため、売上があった日や、費用の支出額が決まった時点で帳簿に計上します。掛売りや掛仕入れなどの、金銭の動きが行われていなくても取引が確定していれば、計上するのです。

この発生主義の考え方により、数ヶ月に1回の精算になるようなレンタル料、リース料、水道料金も、毎月の会計に均等に分けて計上することができ、正確な損益計算ができるようになります。高額な資産の耐用年数に関して費用を配分して考える「減価償却」の会計処理についても、この発生主義に基づくかたちで行われるのです。

企業で採用をされている会計は、ほとんどが発生主義会計による複式簿記となっています。そして、個人事業主でも青色申告特別控除を受ける場合には、発生主義に基づく複式簿記が必要とされるのです。

参考:青色申告特別控除 国税庁 No.2072

実現主義とは?

実際に代金などの収益を得る、または収益を得ることが実現した時点で計上をする考え方を実現主義といいます。実現主義によって収益を認識することは、貨幣的な裏付けのある対価を確実に受け取ったという事実に基づいているため、確実性がある収益だけを計上することができ、発生主義のマイナス点を補う考え方といえるでしょう。企業会計の原則にも、収益の計上に関しては実現主義で考えると定められています。

まとめ

ポイント
・現実主義は実際の現金の動きが終了した時点で計上する考え方
・小規模事業者か、企業内の一部のみでの会計処理限定で利用
・発生主義は金銭の取引が発生した時点で帳簿に計上する、「費用」に用いられる考え方
・実現主義は実際に代金などの収益を得る、または収益を得ることが実現した時点で計上する、「収益」に用いられる考え方

現実主義、発生主義、実現主義という3つの考え方はそれぞれ特徴があります。そこで、きちんと3つを理解しておかなければ、計上する時点を間違ってしまうこともあり得ることです。その主義に基づいて会計を行い、いつ計上するのか、しっかりと把握して会計業務に携わっていきましょう。

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