破産更生債権という言葉を知っている方はそれほどいないのではないでしょうか。会社の経営者からすれば、破産とか更生とかという言葉が並んでいるため避けたいでしょう。しかし、経営的、会計的、経理的、税務的には知識として必要なもののようです。今回は破産更生債権の意味と破産更生債権を計算する方法、破産更生債権が使われる具体的なケースについて解説していきます。
破産更生債権というのは、会社の経営が破綻または破綻状態になっている債権です。再生債権や破産債権、更生債権などが破産更生債権には含まれており、1年以内に回収することが実質的に明らかに難しい債権です。
破産更生債権は、貸倒見積額を財務内容評価法によって評価します。債権を回収することが難しくなる原因としては、経営が会社の更生や破産、再生手続きなどで破綻状態になっていることが挙げられます。破産更生債権は、このように回収が難しい債権を管理する勘定科目です。
破産更生債権の勘定科目で処理される不良債権としては、和議が成り立っている債権、民事再生法や破産手続きが適用される債権などが含まれています。売掛金や受取手形などの営業債権は流動資産として処理されますが、営業債権が1年以内の返済が難しくなり不良債権なったときは、固定資産として貸倒引当金を設けて処理します。投資その他の資産として、破産項目債権の勘定科目においては分類されます。
金融商品に関する会計基準によれば、債権は一般債権、破産更生債権、貸倒懸念債権などに分けられ、それぞれの債権に適した方法によって借金が回収できない貸倒見積額を評価するように決まっています。財務内容評価法によって、破産更生債権の貸倒見積額は評価します。
財務内容評価法というのは、借金の回収ができないあるいはできない可能性が非常に大きい取引先への売掛金を含む貸付などから合理的に担保などを処分することによって回収できる価額を算定して、回収できない債権額を見積もるものです。
回収できる価額と実際の価額の差分になります。破産再生債権は、先にご紹介したように債権の分類についての名称ですが、貸借対照表での資産の勘定科目です。破産更生債権として、投資その他の資産に表示されます。
破産更生債権勘定が使われる具体的なケースとしては、次のようなものがあります。
破産手続きが始まると、選ばれた破産管財人は本人が持っている財産を管理します。このときに、破産債権と破産財団に属する財団債権に債権者の債権は区分されます。
破産債権は財団債権を除いたもので、財団債権とは違って債権の支払いを破産財団から任意に受けられません。一方で財団債権は、破産財団から任意に破産手続外で支払が受けられるため、全額の債権の支払いが受けられます。最終的に、一部の債権を配当というスタイルで回収するようになります。
和議というのは、破産を債務者が避けるために、債権者に債権カットなどの返済プランを示して債権者の了解をもらって、再建を裁判所の和議開始決定のもとで目指すものです。
和議が成り立った債権については、債権の届出や和議の条件についての賛否に関係なく同じ条件が適用されます。しかし、和議開始が決まった後、和議条件の強制力は裁判所の管理外になって無くなります。
そのため、再建プランが進行できなくなるときがありました。このようなデメリットを無くすために、2000年4月1日からは民事再生法に基づく再生申立が和議申立に代わって利用されるようになりました。
民事再生というのは、経営破綻のリスクがあるときに経営者自身が再生プランを裁判所が決めた監督委員の監督によって作ってビジネスを再生する手続です。民事再生法が適用になると、債権者の了解の下で多くの債権はカットされて分割返済が計画期間内で行われます。
しかし、同じ扱いで債権の全てが債権カットされるということではありません。債権を持っている人の特性によって、共益債権、再生債権、一般優先債権、開始後債権にわかれます。
共益債権は、次のように種類が2つあります。
・再生手続きが始まった後に共益として発生した債権
・再生手続きが始まる前に、ビジネスの継続に必要な行いによって生じた請求権
再生債権は、共益債権や一般優先債権以外のものです。例えば、再生債権は銀行の貸付金や売掛金などです。再生プランに基づかない弁済などは無効になります。一般優先債権は、従業員の賃金などの労働債権や税金の支払いなどです。開始後債権は、共益債権、再生債権、一般優先債権を除いたものです。開始後債権は、再生プランによる弁済期間が終了した後でないと弁済などができません。