どんなお仕事も大変な側面があると思いますが、税理士のお仕事も同じで、やりがいになる部分と大変な側面がどちらもあります。また、税理士はそのお仕事自体の大変さもありますが、そもそも税理士になるための資格取得も難しく、大変であるというのは有名な話ですよね。今回は、そもそも税理士になるための資格取得の大変さと、仕事のやりがい、大変さについて見ていき、税理士のやりがいなどにも触れていきたいと思います。
税理士になるためには、税理士の資格取得のために試験を突破しないといけません。年に1回の筆記試験があり、その特徴として“科目合格制”である点があげられます。計11科目の試験の中から、5科目の合格をすると税理士資格の取得となります。取得後、2年以上の実務経験を経て、税理士として登録が出来る様になり、税理士としての仕事が出来るようになります。1度に5科目合格する必要はありませんが、どの科目も国家資格の中でも難しい試験の部類です。
合格率は各科目おおよそ10%台で、その試験を5回突破しないといけないのが、税理士資格の取得の大変な部分です。ちなみに、資格合格以外にも、大学院に通い会計科目の論文であれば1科目、税法科目の論文であれば2科目の免除が受けられるといった免除制度もあります。税理士資格の資格突破は平均で5年~8年ほどかかるといわれています。まだ、大学生の方やこれから進学を考える方は、大学院での免除についても考慮すると良いのではないでしょうか?
税理士の仕事の大変な側面をまとめる前に、そもそも税理士の仕事はどういった内容なのでしょうか?よく、会計士?税理士?違うの?違いが分からない、といった方もいますが、全く別の職業です。税理士は、税法についての専門家です。日本国民の義務の1つに納税の義務がありますが、“税”に関しての仕事をするのが税理士です。法人でも個人でも納税の義務が課されていますが、納税するのには専門的な知識が必要です。税理士は、個人や法人の代理として税務の業務を請け負ってよい事になっており、税理士だけが出来る業務として“独占業務”と呼ばれております。
独占業務は“税務の代理”“税務書類の作成”“税務相談”の3つがあります。税務の代理とは、税務署への税金の申告・納付や、税務署から税務調査や処分を受けたときにその対応などです。税務書類の作成は、納税するために必要な税務署への提出書類の作成です。税務相談とは税金の申告や、税務調査時に、納税者の相談を受ける事が出来るのも、税理士の独占業務とされています。税理士の主なコア業務はこの3つからなります。
しかし、近年はどの業界でも、AIにとってかわられる仕事や業務が出るといわれている様に、税理士の業務でも、恐らく単純作業部分の業務はAIなどのITに取って代わる事が予想されます。また、税理士業界の競争激化している中で、他税理士との差別化という点でも、税理士の仕事は独占業務以外にも、クライアント企業へのコンサルタント業務や、起業の支援、M&Aなどといった業務への広がりも見せています。
では、税理士のお仕事の大変な部分はどんなところでしょうか?どんな仕事でも大変な部分はありますが、税理士の大変な点はお金・数字に関する部分ではないでしょうか。お金が関わる仕事なので、正確さが大切な分、ミスに対するプレッシャーがまず挙げられるでしょう。また、税務に関わる法律は毎年と言ってよい程変化していきますので、日々情報収集し、勉強し続けないといけないといけません。どんな仕事でも一定数あると思いますが、納付の金額や、提出書類に不備があった場合などは、クライアント企業からの信頼などにも影響が出てきます。責任がある仕事はやりがいがある一方で、大変な側面もありますよね。
また、計算作業もありデスクワークが多くなるので、目の疲れや肩こりなどが深刻だという話も良く聞く話です。そもそもの話になりますが、一昔前までは、税理士の資格は国家資格の中でも難関であり、資格取得のために頑張って資格さえ取得が出来れば一生安心できる、といった職業でもありました。税理士のビジネスモデルは基本的には顧問料ビジネスで、現在でも仕業の中では珍しいのではないでしょうか、基本的には安定収入が見込めるビジネスモデルではあります。スポットの案件が収益のメイン、という訳ではないので基本的には安定しているのですが、とはいえ近年ではAI技術の台頭や、企業数は減っていくが税理士は増えている状況など、競争が激化しているのは間違いありません。
そういった中で、他の税理士との差別化や、はたまた他業種と競合する部分も一部出てくるので、その中での差別化も必要とされていくでしょう。税理士のお仕事はこういった大変な側面ももちろんありますが、1番の特徴は、クライアント企業の代表者や経営層の方と、一般的なお客と業者という関係性ではなく、税理士は専門家という立場にあるので一定の信頼関係がある中で関わる事が出来ます。その中で信頼関係を構築していき、クライアント企業に対して併走しながら支えていく事が出来る、そういったやりがいも大きい職業と言えるでしょう。