一昔は会計事務所と言えば税理士の所長がいて、無資格のパートさんが数人いるなど、小さな事務所がほとんどでした。しかし現在の会計事務所は専門家が進むなど大きな事務所もどんどん増えています。会計事務所に応募する人は過去に職歴があるなど、ある程度社会人経験がある人も多かったですが、今では税理士の認知度も上がってきており、新卒から会計事務所に入ることを考える学生も増えてきています。それでは、会計事務所には新卒で入った方が良いのかどうか、具体的に現役公認会計士が解説をしていきます。
新卒・中途に関わらず、会計事務所はブラックだから税理士になるのはやめとけと言われることがあります。まずは、その理由を解説していきましょう。
税理士資格試験は非常に難関な試験です。全部で5科目の試験に合格する必要があり、合格率は10%程と非常に低く、資格を取るまでに5年以上掛かるのが一般的です。
そのため、税理士試験資格の勉強と仕事との両立に困難を感じ、途中で諦めてしまう方も多くいます。
続いては、繁忙期になると激務になることがあるという点です。
会計事務所は、事業会社の確定申告や決算の時期が繁忙期に当たるため、残業が増えたり、激務になることが多く見られます。ですが、最近は業務分担を徹底することで、繁忙期の激務を避けるような業務体制を築いている事務所も増えてきました。
大型の会計事務所が増えてきている一方で、まだ所長税理士とスタッフ数名で回している事務所もかなり多いです。このような事務所では組織というよりも所長の税理士が基本的に外回りをして、スタッフが記帳代行や所長の税理士のための資料作りをしていることが多いです。
一方、大型の会計事務所では複数の税理士資格者が存在しており、また税理士資格がないスタッフも総合職で入った場合は外回りもこなすことになります。また、相続に強い資産税部門や、医療に強い医業部門、通常の法人を回る法人部門等部門に分かれていることが多いです。このように会計事務所の規模によって組織構造は全く異なる為、どのような仕事がしたいかによって選択肢も異なってきます。
会計事務所に新卒で入社することのメリットは、何といっても若いうちから色々な体験ができることでしょう。というのも、会計事務所に入って相手にするのは大小ありますが経営者となることがほとんどです。
他の事業会社に勤めていて中小であろうとも経営者と話ができる部署というのは限られています。ですが、会計事務所ではクライアントの決算書という会社の根幹にかかる部分に触れることになるため、必然的に経営者と深い話をすることが多くなるのです。
また、会計事務所に就職するということは、今は資格を持っていなくても将来的に税理士などの会計関連の資格を取得しようとすることが多いと思います。その点、勉強していることと実務がリンクするため資格勉強のモチベーションアップにもつながりますし、勉強した内容をそのままクライアントに伝えることもできるようになります。
さらに、他の事業会社に勤めてもいきなり経理の仕事ができるとは限りませんし、できたとしてもその会社特有の経理作業ばかり身につきます。一方で会計事務所ではすぐに様々な会社の会計や業態に触れることができるため、会計人として長いキャリアを生きていこうと思った場合にスキルアップの近道となります。
一方で、会計事務所に新卒で入社することにはデメリットも存在します。会計事務所は大規模なところでも教育訓練に力を入れているところは少なく、仕事にしてもビジネスマナーにしても独学に近いものがあります。よって、新卒でいきなり会計事務所に入ってしまうと自身で様々なことを学ばなければならないため、効率が悪くなってしまいます。
また、新卒で会計事務所に入るということは他の事業会社を経験しないままスタートとなるため、会計のプロフェッショナルとなっても自分の強みを作ることが事務所任せになってしまいます。その点、事業会社で一通りの経理やビジネスモデルを覚えてしまえば、会計という専門知識に加えてどの業界に強いという看板を背負うことができます。
さらに、資格の勉強をしたくとも会計事務所によっては深夜残業が当たり前で、確定申告シーズンは勉強を少しもできないということもあるでしょう。この点については入る事務所によって大きく異なるため、入社前に資格試験のための休暇を取らせてくれている実績があるかどうかを調べてから、会計事務所にしても事業会社にしても面接をすることをお勧めします。
これ以外にも、デメリットとして会計事務所は給与水準が一般的に低いということも挙げられます。他の事業会社や金融機関では昇給によって入社してからどんどん給与水準も上がりますが、会計事務所は税理士資格を取るなど目に見えるものがないと、基本的にはなかなか大幅な昇給はありません。ですが、それ以上に色々な貴重な体験ができるため、給与のみで決めず総合的に決めることが大事です。
将来税理士として独立を考えて働いていたという方は、目先の給与にはあまり執着せず、その結果、独立後は一般の事業会社に勤めるより稼いでいるというケースも多いです。
色々メリット、デメリットはありますが、新卒で会計事務所に入ることを決めている人もいると思います。そんな人はどのような事務所を選んだほうが良いのでしょうか。
まず、きちんと決められた年間休日や試験休暇がとれるかどうかは重要です。先ほどもお話しした通り会計事務所によっては試験休暇がうまく取れない事務所もあります。一方で、試験休暇を7月から1ヶ月単位で取得できるような事務所もあります。税理士を目指す人にとって特に理論科目は追い込みが大事になりますので、試験休暇の有無は試験の合否を大きくわける要素とも言えます。
また、自分がどのような職業的会計人になりたいかによっても選ぶ事務所は異なります。オールマイティになりたいのであれば比較的小さい事務所でもよいでしょう。小さな事務所は所得税、法人税から相続税まで自分のやりたい仕事があればある程度任せてくれます。人に教えてもらうよりも自分が体験することが実務を吸収する早道だと思います。
また、資産税の専門家や国際税務のように特定の分野のエキスパートとなりたいのであれば、そのような部署がある税理士法人に入り、自身の希望を伝えましょう。最近の会計事務所は専門化が進んでおり、一つ自身の専門分野があるだけで独立の際も転職の際もとても重宝されることになります。新卒では知識に偏りがないため会計事務所側としても素質ややる気があるとすれば喜んで採用してくれるでしょう。
新卒で会計事務所に入社する場合、必ずしも大学で会計学を選考していないといけないというわけではありません。特にBIG4などの大手事務所中心に積極採用しており、募集要項にも全学部・全学科募集と記載されています。
それでも、税理士事務所で活躍したいという意志を示すためにも、簿記2級ぐらいは取っておくのが望ましいです。簿記2級であれば、学生でも取得している人は多く、周りを探せばすでに持っている人もいると思いますので、勉強方法など聞いてぜひ面接時には簿記2級取得と履歴書に書けるようにしておきましょう。市販のテキストも種類が多いので、独学でも困らずに挑めます。
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