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税理士の顧問料の相場は?記帳代行や決算など内容ごとに解説!

公認会計士 大国光大
税理士の顧問料の相場は?記帳代行や決算など内容ごとに解説!

会社を経営していたり、個人事業主として開業をしていたりすると1年間に1回は行わなければならない確定申告。多くの人は税理士に依頼していることでしょう。地域によって税理士の数は違いますがその相場価格も異なります。しかし税理士顧問料の相場を検索しようとしてもなかなかわかりづらいと思います
平成14年3月までは税理士報酬の「最高」基準が定められており、それ以上は請求してはいけない料金体系がありました。現在それは廃止されていますが、税理士の顧問料の相場は下がっています。しかし、正式な料金表というものは存在していません。そこで、今回は税理士の顧問料の相場を内容別に解説していきます。

税理士報酬の体系(顧問料・決算料・記帳代行料)

税理士報酬と一言で言っても様々な内容で構成されています。それでは、税理士報酬はどのような内容で構成されているのでしょうか。税理士の報酬で最も最初に浮かぶのが顧問料でしょう。税理士は月次等で企業を訪問して企業の決算状況見たり、試算表の診断や税務相談等を受けます。それ以外にもクライアントから相談事があれば調べて答えるのも一つの仕事です。これらすべてをひっくるめて顧問料を請求します。

次にわかりやすいのが決算料です。税理士は年に一度は決算書と確定申告書を作成して税務署に提出します。この決算の作業量に応じて決算料をクライアントに請求します。
これとは別に記帳を自身で行わず、税理士事務所に任せると発生するのが記帳代行料となります。作業量が多ければ多いほど記帳代行料は発生します。
さらにこれ以外にも、年末調整料や支払調書作成料、償却資産申告書等作業が発生した場合には料金が発生します。

顧問料の相場

最もよく名前が出てくる割には最もわかりづらいのが顧問料の相場です。この顧問料相場を左右するのは企業規模となります。というのも、月に一度訪問するにしても半年に一度訪問するにしても、企業の仕訳のチェックはどちらにしても行わなければなりません。企業規模が大きければ大きいほどチェックする仕訳が増えますし、その内容の難易度も上がるからです。

顧問料の相場は法人で5万円前後、個人で3万円前後とも言えますが、零細企業であれば2~3万円等様々となっています。大都市では激安の事務所と割と高い事務所が多く、中間層で料金表を公開しているところが少ない印象です。地方の事務所となると激安の事務所が少ない代わりに中間層が多い印象がありますが、そもそもホームページに料金表を載せていない事務所も多いのが特徴です。

税理士の顧問契約のサービス内容についてはこちらのコラムで紹介しています。

関連記事:税理士が行う顧問契約とは?サービス内容や顧問料について

記帳代行料の相場

次に、記帳代行料の相場です。記帳はクライアントが自分で行ういわゆる自計化か税理士事務所が行う外注かにわかれます。
自計化の場合記帳代行料は請求されませんが、一方で仕訳を税理士事務所が一つずつチェックするため、顧問料の範囲内でチェックできなければ顧問料自体が上がるかもしれません。一方で記帳を税理士に任せるとなると、その仕訳の数やクライアントが各種帳簿を付けているかどうかによってその料金は異なります。最も仕訳数の少ない企業であれば、基本料の5千円~1万円程度を請求されるのみですし、仕訳数が増えれば増えるほど随時上がっていきます(1仕訳当たり50円~100円程度が相場)。あまりにも仕訳数が多いと記帳代行料のみでかなりの金額を占めてしまうので、兼務でも良いので経理担当者を付けた方が安上がりになることも多いです。

決算料の相場

決算料は税理士報酬の中で最も多く占めるものと言えます。というのも、決算時は通常の仕訳のみならず、財務諸表を作成するための特殊な仕訳を計上したり、法人税や消費税の申告書を作成するための基礎資料をたくさん作ったりしなければならないからです。
一般的には、月額顧問料の何倍、としている税理士事務所が多いです。これは、顧問料が多ければ多いほど決算を組むのに時間と労力がかかることが多い為です。おおよそ、6倍から8倍程度となることが多いでしょう。それ以外にも、年商から料金表を作っており、顧問料と併せて具体的な金額を提示している税理士事務所もあります。

その他の報酬の相場

税理士報酬はそれ以外にも償却資産申告書や年末調整等の申告の際に発生します。償却資産税は1市町村あたり5千円、年末調整は基本料に加えて従業員一人当たり1千円等、明確にしている事務所はそのように記載しています。また、税務調査が発生した場合に1日あたり5万円と、修正申告が発生した場合は別途見積りが行われます。
これらは法人税や個人事業主の所得税の申告書作成報酬等が主でしたが、別途代表者の親族が亡くなるなど相続税の申告が必要な場合は、相続財産の0.5%~1%程度の報酬が発生することが多いです。

まとめ

税理士の報酬は地域、税理士の年齢、頼む内容によって様々ですので相場というものはあって無いようなものです。よって選び方としては、まず依頼する税理士の地域を決めて、その地域の中からおおよその料金が書いてあるか、自分に合いそうな税理士に問い合わせをして見積りを出してもらいます。見積りを依頼したからと言ってその後もしつこくセールスをしてくる業界ではありませんので、金額や内容が合わなければ断ることも自由です。ただ一つ言えることは、金額だけに惑わされて税理士選びに失敗しないように、どのようなことをしてくれるのか、相談に乗ってくれそうなのか、総合的に考えて決めることが大事と言えます。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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