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期間損益の概念と計算方法について

HUPRO 編集部
期間損益の概念と計算方法について

企業や組織は、一定の会計期間ごとにその損益を明らかにする「期間損益」の概念に基づいて毎年の決算を行っています。本記事では、期間損益の考え方と、その計算方法について解説いたします。

期間損益の概念とは?

期間損益とは、3ヶ月、6ヶ月、1年などの人為的に定めた一定の会計期間で、企業が事業経営の結果として獲得した損益のことです。

昔、まだ会計のルールというのがそれほど明確でなかったころ、企業はその目的を達した時に清算され、その財産は債権者に利息ともに返済、債務の支払い後の残った財産を出資者に分配するという流れになっていました。
しかしこの方式だと、事業が続く限り出資者は投資資金の改修を行うことができませんし、国や地方自治体は税金を受け取ることもできません。
そうはいっても、営業を続けている企業を途中で清算するのも現実的ではありません。
そこで、企業が事業を一定期間ごとに行った結果を、利害関係者に対して会計情報として報告する期間損益という概念が生まれました。

この一定期間、3ヶ月、6ヶ月、1年などの定められた期間を一会計期間といいます。
期間損益計算の概念を採用することによって、出資者は、企業が一会計期間に獲得した利益を配当という形で受け取り、国や地方自治体も、企業の利益から支払うべき税金を計算できるようになりました。
企業がその活動において必ず作成する必要のある「財務諸表」は期間損益の概念によって作成されています。

期間損益計算の方法について

期間損益計算の方法には、財産法と損益法という2つの方法があります。現在では主に損益法が使われていますが、合わせて説明いたします。

財産法

財産法とは、会計期間の期首に企業にあった純資産(正味財産額)と、その会計期間の期末において残った純資産(正味財産額)とを比較して、差額から企業がその会計期間に得た企財産の純利益と純損失を期間損益として把握する方法です。

一会計年度が終了して、貸借対照表の期末の純資産が、期首の純資産よりも増加していれば黒字(利益があった)、減少していれば赤字(損失があった)という見方をします。企業活動による期間損益を、会計期間経過後の企業財産の増減という結果から見ていることから「間接的利益決定の方式」ともいわれています。

財産法による収益を求める式は以下の通りです。

期末純資産-期首純資産=純損益

なお、財産法による期間損益の計算を確実なものにするためには、貸借対照表の資産の部にはあくまで財産として価値のある資産を時価で表示、負債の部には法的に確定している債務だけを計上することが必要です。このように、企業がどれだけの財産を保有しているかどうかを重視する考えを「静態論」といいます。

静態論に基づいて作成された貸借対照表は、企業がどれだけの財産を保有しているか、現在ある資産を売却したらどれだけのお金と交換できるのかということを示す内容になります。つまり、期末時点で企業を清算した場合の企業価値を示す貸借対照表を作成することになるのです。

しかし、売却予定のない資産を含め、全ての資産を時価で客観的に判断することは困難であることや、資産評価額と取得額の差によっては評価益が生じるにもかかわらず、実際は企業を清算しないとその利益は得られないなど実態に即さない部分が多く、現在の企業会計ではこの次に述べる「損益法」が主流になっています。

損益法

損益法とは、会計期間全ての収益から、全ての費用を引いて純損益を求める方法です。
損益法の計算には、「損益計算書」を使いますが、そもそも損益計算書は損益法の方法論に基づいて作られていますので、とても簡単に求められます。

損益法による収益を求める式は以下の通りです。

総収益-総費用=純損益

損益法は、収益から費用を控除することによって期間損益を把握する方法であるため、「直接的利益決定の方式」もいわれています。

人為的に区切った期間で損益を計算しているので、実際の支払がなかった場合でも、商品やサービスの提供が期間中にあったとすれば、期中の収益や費用として反映する必要があります。また、一度計上された損益については次の会計年度に二重計上されないように注意しなくてはいけません。
そこで、既に費用や収益として計上される予定の費用を、未解消項目として貸借対照表に収容して次年度の会計に引き継ぎます。決算時の損益の期間調整として計上される勘定科目としては「未収収益」「未払費用」「前受収益」「前払費用」などを使用します。

このように、会計の目的を期間損益の表示とし、貸借対照表に収支計算と損益計算の期間のずれから生じる未解消項目を収める考えを「動態論」といいます。
「静態論」では、あくまで資産価値のあるもの(売却できるもの)のみを資産として計上するという原則がありましたが、「動態論」では、取引があった時点で計上する費用と収益の経過勘定も資産や負債として計上します。また、資産の評価額も時価ではなく取得原価を用い、売却時に初めて収益を確定するという方式を取っています。

まとめ

期間損益とは企業が事業を一定期間ごとに行った結果を、利害関係者に対して会計情報として報告するという概念です。
この一定期間、3ヶ月、6ヶ月、1年などの定められた期間を一会計期間といい、
財務諸表はこの概念を用いて作られています。
「損益計算書」「四半期決算」などの言葉を聞いたことがある人は多くいると思いますが、その根本に期間損益の概念が存在していたのです。

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