士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

税理士に最短で合格するには?科目選択の判断基準など中心に解説します!

公認会計士 大国光大
税理士に最短で合格するには?科目選択の判断基準など中心に解説します!

税理士試験といえば、難関資格の一つとして認知されていると思います。科目の平均合格率が10%台であることから容易には合格できないことはわかるでしょう。一方で、税理士にはなりたいけどそんなに時間がない、という方もいらっしゃると思います。
そこで、今回は税理士試験に最短で合格するにはどのような手順で、どのような道があるか、という視点で現役公認会計士が解説していきます。

税理士試験の受験資格

税理士試験に最短で受かるには、まず税理士試験の受験資格がなければ始まりません。大学や短大等を卒業し、法律学または経済学を1科目以上履修しているのであれば受験資格があります。また、3年生以上で法律学または経済学を履修し、62単位以上取得している人も対象となります。

これらを満たしていなくとも、日商簿記1級に合格するか、全経簿記試験検定上級に合格することで受験資格は付与されます。また、会計に関する実務に2年以上従事したり、金融機関にて2年以上従事したり、税理士・弁護士・公認会計士業務の補助として2年間従事したりすると受験資格が付与されます。特に日商簿記1級は税理士試験の簿記論と範囲がかなり重複しているので、高卒などで税理士試験を受験する場合は簿記論の勉強と並行して行うか、ひとまず合格することが効率的だと言えます。

税理士試験に最短で合格するには簿記と財務諸表論は同時受験

税理士試験は会計科目2科目、税法科目3科目に合格しなければなりません。最短で合格するためには、科目選びが非常に重要となってきます。

まず会計科目2科目については税法科目と密接にリンクしてくる為、最短合格を目指すのであれば簿記論と財務諸表論を同時に勉強することが大切となります。1科目だけでも結構なボリュームがありますが、簿記論の範囲を全て終えていれば財務諸表論の計算問題は概ね解ける状態になっているはずです。また、財務諸表論で理論を学べば簿記論についての理解も深まってきます。

また、この会計科目2科目の後には3科目の税法が待ち受けており、ここでつまずく受験生も少なくはありません。簿記と財務諸表論同時に勉強することはとても大変ですが、これくらいの負荷に耐えられれば税法のボリュームにも耐えられる体となっているでしょう。ちなみに、これに消費税を加えて3科目受験して合格する人もいますので、これができれば最短合格により近づくことでしょう。

最短合格にはどの税法科目を選ぶのか

次に税法はどの科目を選ぶのが良いのでしょうか。将来使える税法と言えば、法人税法、所得税法、消費税法、相続税法を挙げる人は多いです。そのため、将来の実務を考えればここから選ぶことが多いと思います。

一方で、最短合格を目指す場合は必須科目の法人税法か所得税法を1つ選び、その他は軽い科目を選ぶことになるでしょう。では、まず必須科目の法人税法と所得税法ですが合格率にはそれほど差はありません。しかし、法人税法のほうが受験者は圧倒的に多いことから母集団には記念受験なども含まれていると考えられます。

確かに法人税法は合併等複雑なものも出てきますが、今まで勉強してきた簿記論、財務諸表論とも密接になっていますし、就職でもやはり法人税法の方が有利とされています。よって、ここは最短合格目線プラス将来性も加味して法人税法を選択することをお勧めします。

また、法人税法に合格して所得税法を受ける人もいます。これは、将来のことを考えて両方合格しようという強者となります。一方で所得税を先に受けて法人税を受ける人は少ないです。つまり、法人税法よりも所得税法のほうが受験者の層が厚いというイメージがあるため、合格率にそれほど差が無いとしても受験者層から判断して法人税法を受験したほうが最短合格には適していると言えます。

その他の科目については、勉強時間の少なさで選ぶのであれば事業税、住民税、国税徴収法などとなりますし、実務でも役立つ科目と言えば相続税、消費税等となります。実は勉強時間が少ないことと合格率は同義ではなく、勉強時間が多くとも消費税法や相続税法は受験生も多い為その受験者の層の違いによって合格率も異なるのです。勉強時間がとりづらい場合は軽い科目を、そうでない場合は主要な税法を取り込んでも良いと思います。

公認会計士試験合格で税理士資格も取得する

税理士と似た資格に公認会計士というものがあります。税理士はクライアントの税務申告や税務相談に乗ることがメインの仕事であるのに対して、公認会計士は会計監査やコンサルティング業務等がメインの仕事となります。

このように両者は似ているようで仕事の内容は全く異なります。税理士が決算書を作る仕事であれば、公認会計士は決算書をチェックする仕事となるからです。しかし、公認会計士がチェックする項目の一つに税金計算があります。また、公認会計士試験の中には租税法という科目もあります。
そのため、公認会計士の資格を持っている場合は税理士登録もできるようになるのです。

最短で公認会計士から税理士登録するには

公認会計士試験は短答式、論文式の2段階の試験を受ける必要があります。税理士試験と異なり基本的に科目合格ではなく全科目同時に受験して総合得点により合格が決まります。通常3年程度かかる資格とも言えますが、1年半程度で一発合格する人もいます。

仮に1年半で合格したと仮定してすぐ税理士登録できるかというと、すぐにはできません。合格後3年間の実務補修所と実務経験を経て修了試験に合格するとようやく税理士登録ができるようになります。これだけで合計4年半ですので、これが最短コースとなります。

年数を見ると長く見えるかもしれませんが、最初の公認会計士試験合格後は監査法人等に就職して実務経験をしながらの3年間となりますし、給与もそれなりに保証されているので実質的には近道だと言えるでしょう。
公認会計士試験についても合格率10%程度であり、ほぼ学生や退職しての受験生との戦いとなるため難易度は高いものと考えておく必要があるでしょう。ただし、税理士試験と科目が全く異なるため問題を見て自分に合うようでしたら公認会計士試験からの税理士を目指すのも一つの手でしょう。

まとめ

最短で税理士に合格するには、科目選び、その他の資格からの取得、大学院など戦略がとても大事になります。
税理士になることが最大の目的であれば最も早く取得できるコースを選択し、仮に遠回りになったとしても将来に役立つ勉強がしたいのであれば選択科目は慎重に選ぶ必要があります。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:資格試験

おすすめの記事