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税理士の簿記論と日商簿記1級はどちらが難しい?活かせるキャリアに違いはある?

ヒュープロ編集部 川辺
税理士の簿記論と日商簿記1級はどちらが難しい?活かせるキャリアに違いはある?

難関資格の一つとされる税理士試験には、様々な科目が存在します。そのうちの登竜門と言われる科目が簿記論です。一方で、税理士試験の受験資格の一つにもある日商簿記1級試験。転職の際に履歴書に書いてあると採用担当者にも積極的にアピールできる資格の一つと言えるでしょう。それでは、この税理士試験の簿記論と日商簿記1級、どちらが難しいかを解説していきます。

簿記論と日商簿記1級の試験における違い

実は税理士試験の簿記論と日商簿記1級の範囲自体はそれほど違いがありません。どちらもいわゆる会計処理全般を問われる試験であるからです。しかし、その試験の中身は大きく異なります。

まず試験問題については、簿記論は日商簿記1級の5倍程度のボリュームがあります。その上、試験時間は日商簿記1級が1時間半に対して簿記論は2時間でその問題を解かなければなりません。よって、簿記論は理解力に加えてスピードも要求されます

また、問題の難易度についても日商簿記1級についてはしっかりと勉強していれば満点も狙うことができる難易度ですが、簿記論ではその試験委員の色も出ますので、いやらしい問題も少なくはありません。このような問題を捨て問として見切る能力があればいいですが、そこに固執してしまって取れるはずの問題も取り損ねてしまうかもしれません。

一方で日商簿記1級には、工業簿記原価計算の問題が含まれることから、それらを苦手とする受験生からすると、簿記論の方がとっつきやすいかもしれません。

簿記論と日商簿記1級の難易度の違い

資格取得に関する難易度は、受験資格勉強時間合格率の3点で測ることができます。いずれの資格も受験制限はない(簿記論の受験資格は2023年から撤廃されました)ため、合格率と勉強時間の観点から、難易度を見ていきましょう。

簿記論と日商簿記1級の合格率による違い

税理士試験の簿記論の合格率は年ごとの上下が激しいものの、15%以上の数字で推移しています。つまり、7人に1人以上は受かる試験と言えます。
一方で、日商簿記1級は8%~15%前後を推移していますが、こちらも波が大きいです。
これだけ比べると同じくらいもしくは日商簿記1級の方が難しいのではと思われるかもしれません。しかし税理士試験の簿記論は、その勉強のステップの一つとして日商簿記1級に合格している人も多く受けています。その一方で、簿記論に受かってから日商簿記1級を受ける受験者はそれほど多くないため、母集団としては簿記論受験者より高いレベルの受験者がいると考えられ、これだけで一概にどちらが難しいとは決めづらいです。

簿記論と日商簿記1級、勉強時間の違いは?

一般的に、簿記論にかかる勉強時間は300~400時間、日商簿記1級にかかる勉強時間は500時間~700時間とあります。しかし、簿記論にかかる時間は日商簿記1級程度の知識を有している前提と考えられる為、実際には800時間程度はかかるものと思います。
ですので初学者の場合は、簿記論に合格するためにかける時間の方が長くなるといえます。

【結論】 簿記論の方が難易度が高い

合格率と勉強時間を踏まえると、簿記論の方が難易度が高いといえます。日商簿記1級では工業簿記の学習もしておかなければならないものの、簿記論を受ける前に日商簿記1級を目指す人が多いことからも分かるように、簿記論を上位資格と捉えることが一般的です。

独学で合格できる?

双方の試験ともに、独学で合格できないわけではありません。ただし、会計系の資格の中でもトップクラスに難易度が高い資格なので、独学で合格を目指す人は多くはなく、資格学校や通信講座を利用する方がほとんどです。
独学に比べコストがかかるものの、勉強の適切なスケジュールを立ててくれたり、仲間と勉強できてモチベーションを維持できるなど、結果的にはそれらを利用した方が近道になると言われています。

どちらを取るかによってキャリアは変わる?

いずれも同じ会計系の資格なので、どちらかしか活かせないキャリアはほぼ無いと言えます。
ただしこれらを取得している方々の代表的な就職・転職先である会計事務所一般企業の経理職とでは、それぞれ活かしやすい資格が分かれてきます。

簿記論なら会計事務所の方が活かしやすい

簿記論は税理士試験科目の一つで、残り4科目を取得し税理士登録することで、税理士になることができます。そんな税理士が代表を務める会計事務所では、当然その知識を活かした仕事を最大限に行うことができます。もちろん経理職でも知識が活かせないわけではありませんが、残りの税理士科目の取得を目指すにあたっても、会計事務所の方がよいでしょう。

日商簿記1級なら一般企業の経理職の方が活かしやすい

日商簿記1級は一般企業の経理職だと難易度が分からず、周りに持っている人はあまりいないはずなので、評価の対象となりやすいと言えます。実務において使える知識ばかりではないですが、就職や転職においては活かしやすいと言えます。
もっとも、日商簿記1級合格後に簿記論を取得するという流れで両方獲得できたらさらに良いというのは言うまでもありません。

簿記論と日商簿記1級、就職や転職の際はどちらを取得するべき?

ここまでで、簿記論と日商簿記1級において、取得難易度や活かしやすいキャリアの違いについてはお分かりいただけたのではないかと思います。

あえてどちらの方がオススメかをお伝えするならば、日商簿記1級です。どちらかと言えば難易度が低いのもありますが、簿記論の合格を目指すにあたってもそのステップになり得ますので、どちらにせよ日商簿記1級を目指すのがいいと考えられます。

ただし、会計事務所への転職を急いでいて、その成功のための武器として簿記論を持っておきたいという方は、簿記論の取得を先にするのも全く問題ないでしょう。

大前提どちらも難易度が高く、取得して損することはありません。もしどちらを取るか迷う、もしくは取得したが活かしきれていないと感じる方は是非、士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロをご利用ください。専門のキャリアエージェントが最適なご提案をさせて頂きます。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!ご相談はヒュープロ公式Xまでどうぞ!
カテゴリ:資格試験

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