公認会計士の制度は公式には1948年に証券取引法が導入されたことに伴い、本格的な公認会計士の資格及び試験が制度化されました。それから70年以上経過する中で、色々な試験制度の変化がありました。よって、現在の試験範囲を把握しておかないと勉強してからでは二度手間になってしまいます。ここでは公認会計士試験の概要、試験範囲や科目ごとにどのような出題がされるかのポイントをお伝えします。
公認会計士試験の科目は大きな分類では6科目あります。
短答式試験では租税法以外の必須科目を受験しなければならず、これに合格すると租税法と選択科目1科目を合わせた合格が必要となります。
財務会計論の試験範囲は、計算科目の簿記と理論部分の財務諸表論に分かれます。全科目のうち、財務会計論は基本的にすべての科目の基礎となるため財務会計論を理解していないと他の科目にも影響を及ぼすことになります。
簿記は日商簿記1級の試験科目に加えて、減損会計等上場会社の経理でも出てくる内容が範囲となっており、難易度もかなり上がります。
基本的には簿記は習うより慣れよと言われることが多く、どれだけ毎日問題を解けるかが勝負となり、また一度身につけた知識は忘れにくい性質を持っています。
財務諸表論は、会計処理の主要な論点について考えを述べる科目となります。簿記がわかっていることが前提ですが、相互勉強することで理解が深まることがありますので、ある程度簿記の勉強が進んだら同時に勉強したい科目となります。
管理会計論は、企業や経理担当者が企業の状態を分析したりその意思決定のための基礎を把握したりするために必要な科目となります。
製品の原価を計算する原価計算や企業の進出、撤退等を考えるための意思決定に関する方法を勉強します。短答式試験では、財務会計論と合わせて会計学としての出題となります。
監査論は、公認会計士の主たる業務である監査の基準や委員会報告等を学習します。単なる技法だけではなく、倫理規則や他の法令に求められる独立性や職業倫理についても学習します。
実務的な内容も多い為監査現場に出たことがない受験生にはとっつきにくい科目ではありますが、実務に直結する内容も豊富であるため得意科目としておくと合格してからも役に立つ科目となります。
企業法は、企業活動をする上で知っておかねばならない法律を学習します。とはいえ、内容の大半は会社法となるため、過去の試験科目は会社法とされていました。
条文を覚えるだけではなく、法律用語の定義や立法趣旨、解釈についての理解を深めることが必要となります。短答式試験では法律上可能かどうかなどの事実を問われる問題が多く出題されています。
租税法では、法人税法、消費税法、所得税法などの税金について学習します。公認会計士試験としての租税法は、会社に関わる税法がメインとなり、各種税金計算の問題や、申告書について問われます。
短答式試験では問われませんが、後回しにすると論文式試験で間に合わなくなる可能性があるため注意が必要な科目です。
経営学は選択科目であり、会社経営をする上で必要な知識を学習する科目です。具体的には組織論、戦略論、ファイナンス論等が該当します。
経営学は他の選択科目と違って学習するポイントが限られている為、多くの受験者が選択する科目と言えます。とはいえ、他の選択科目に得意科目があれば高得点を狙って別の科目を選択する受験者もいます。
経済学は選択科目であり、文字通り経済について学ぶ科目です。国や世界全体の景気を加味したマクロ経済学と、企業間活動のように個々の単位での視点での行動原理を加味したミクロ経済学とに分かれます。
経済学は数学の知識が必要であるため数学に抵抗感がある場合は選択をしない受験者もいますが、理系出身者等数学に強い場合は忘れにくい科目である上に高得点も狙える可能性があるため積極的に選択する受験者もいます。
民法は選択科目であり、会社法よりも幅広く生活全般についての法律について学びます。立法趣旨から用語の定義、各種法律上の論点が出題範囲となります。
法学部出身など法律に抵抗がない場合に選択する受験者がいますが、覚えることもたくさんあるため、注意が必要です。
しかし、会社法と密接に関係する内容もあるため、相乗効果を狙って選択する受験者もいます。
選択科目の統計学では、分布図や偏差値、確率論などの方法を学びます。新設されてからは歴史が浅い科目ですのでとっつきにくい科目とも言えますが、実務では年々必要性が高まっている科目と言えます。とはいえ、主に選択する受験者は理系出身者が多い為、数学知識に乏しい場合は選択しない方が無難な科目と言えます。