公認会計士は、司法試験や国家公務員と並ぶ三大国家資格の一つで難関資格です。そんな難関資格を取得して、公認会計士として働き始めた初任給は実際いくらぐらいなのでしょうか?本記事ではそんな気になる公認会計士の初任給や年代別の平均年収、キャリアパスについて紹介していきます。
公認会計士試験に合格すると、公認会計士として登録するために必要な実務経験を積むために、多くの人はまず監査法人に就職します。
近年のコンプライアンス重視の傾向を受けて、監査業務も増加しており、そうした需要を受けて監査法人では人材のニーズが高まっています。
国内最大手のBig4の監査法人においては、毎年1,000名程度の採用活動が行われています。
ここでは、公認会計士の一般的な初任給として、監査法人に就職した際の初任給について紹介します。
一概に監査法人といってもBig4といわれる大手監査法人と中小監査法人では水準が異なりますが、
平均的には月収で30~35万円程度です。
この他に、年2回から3回の賞与があり、4か月~5か月程度の月収がプラスされます。加えて、繁忙期の3月ごろになると夜遅くまで仕事をすることが当たり前であるため残業代が年間120万円程度通常つきますが、激務の部署になると200万円つくなど様々です。
これらを総合すると、Big4といわれる大手監査法人では400~500万円程度、また中小監査法人でも300万円台後半~400万円台となるため、大学卒業時の一般企業の平均年収と比べると高いものと言えます。
参考までに一般的な新卒社員の初任給はというと、21万円程度であることを考えると、監査法人に就職した際の公認会計士の初任給は一般的にとても高いと言えるでしょう。
(厚生労働省の賃金構造基本統計調査より)
監査法人に勤務する公認会計士の平均年収について、厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査を「性別」「企業規模別」にまとめると、下記のようになります。
男性 | 企業規模10人以上 | 企業規模1,000人以上 |
---|---|---|
20~24歳 | 341.2万円 | ー |
25~29歳 | 537.4万円 | 677.9万円 |
30~34歳 | 675.5万円 | 828.8万円 |
35~39歳 | 751.9万円 | 871万円 |
40~44歳 | 718.7万円 | ー |
45~49歳 | 884.6万円 | 1,056.2万円 |
50~54歳 | 695.3万円 | ー |
55~59歳 | 1,133.2万円 | ー |
60~64歳 | 599万円 | ー |
年代別の推移としては、20代から上昇し、50代にピークを迎える形であることがわかります。
また40代後半からは800~1000万円以上の高収入を得ている点が特徴として挙げられます。
男性 | 企業規模10人以上 | 企業規模1,000人以上 |
---|---|---|
20~24歳 | 283.3万円 | ー |
25~29歳 | 341.8万円 | ー |
30~34歳 | 537万円 | 465.3万円 |
35~39歳 | 440万円 | 556.2万円 |
40~44歳 | 558.1万円 | ー |
45~49歳 | 569.6万円 | 968.9万円 |
50~54歳 | 749.3万円 | ー |
55~59歳 | 474.4万円 | 1.214万円 |
60~64歳 | 627.8万円 | ー |
男性と同様、年齢を重ねるとともに平均年収が上がっており、50代にピークを迎える形であることがわかります。
ただ、40代前半などは一度年収が下がっていることが挙げられ、これは結婚などの影響で一度仕事を離れる影響が背景として考えられるでしょう。
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監査法人には独自の職階システムがあり、ポジションが昇格するに応じて給与アップも見込まれます。
監査法人に就職すると、スタッフとしてキャリアを始めることになります。
公認会計士試験に合格した後に、公認会計士登録に必要な実務経験を積む3年間の期間は、スタッフとして働くことが一般的です。
監査法人に就職した当初は現預金などの基本的な科目を担当し、徐々に年数を重ねながら難易度の高い科目を担当していきます。
監査法人の規模によっても異なりますが、年収は600万円程度で、毎年ほんの少しずつ昇給もしていきます。
スタッフとして3年程度経過すると、実務経験の要件を満たして公認会計士登録ができるようになります。
こうして公認会計士登録をした段階でシニアスタッフに昇格します。
現場での取りまとめを担う責任者になり、難易度の高い科目を担当することになるため、スタッフと比較して負荷や責任も増していき、年収も800万円程度になります。
残業が多いポジションにもなるため、残業の分だけ収入も増えるでしょう。
経験とパフォーマンスにもよりますが、平均7~8年程でシニアスタッフからマネージャーに昇格します。
クライアントとの経営者ディスカッションなど会社の窓口となり、また社内でのマネジメントも求められ、責任のあるポジションになります。
マネージャーは管理職のポジションになるため、残業代がプラスされないため、1,000万円程度の給与におさまります。
監査法人ではマネージャーの前後で離職する率が高く、シニアマネージャーから先のステップに進む人材は限られます。
シニアマネージャーは、1,200万円~1,500万円程度もらえるようになりますが、管理職のため残業代はプラスされません。
シニアマネージャーを経たうえで、限られた人材だけがパートナーとなります。
平均15~18年程度でパートナーに昇格し、監査法人における最高ランクの役職になります。
法人運営やマネジメント業務など様々な業務を行い、年収も大幅にアップして、2,000万円を超える可能性もあります。
監査法人にてある程度経験を積んだ公認会計士は、上述のようにそのまま監査法人でポジションアップを狙う以外に、転職や独立開業するという選択肢もあります。
以下では、監査法人を離れた場合の公認会計士のキャリアパスについて紹介します。
公認会計士の転職市場の中でも人気があるのが事業会社です。
事業会社の中でも特に経理部署での求人は多く、未経験であっても公認会計士であれば転職しやすい部署となっています。
年収については、一般企業の社員として企業の給与規則に則った年収となるため、平均的に500~800万円程になるでしょう。
また、公認会計士という専門性を活かしながら、マネジメントや経営に関わる部署も選択肢としてあり、監査法人よりも高い年収となる可能性もあります。
さらにIPOやM&Aなどの特殊な専門業務に携わることでも、年収アップを狙えるでしょう。
スキルや経験によっては、スタートアップ企業などでCFO(最高財務責任者)として採用されることもあり、経営陣として年収1000万円以上を目指すこともできます。
独立開業を目指して公認会計士の資格を取得している人も多いため、独立開業する人も多いです。
独立して成功するためには、監査法人で勤務している期間に人脈を広げたり、また資金をためるなどの準備が求められます。
また、税務で独立する場合は、独立開業する前に税理士事務所などで経験を積んだり、コンサルティングファームなどで経験を積みながら、得意分野のスキルを磨くことも重要です。
年収については、開業した後にどれだけ多くのクライアントを獲得手出来るか、また安定的に仕事を受注できるかによりますが、およそ1,000万円程といわれています。
事業の拡大次第では、3,000万円以上となる可能性もあるでしょう。
また監査法人で培った経験や知識を活かせる場として、企業に対して財務に関するコンサルティングサービスを行うFAS系コンサルティングファームを選ぶ人も多いです。
Big4系FASと呼ばれる、世界四大監査法人(EY・デロイト・PwC・KPMG)が提供する金融アドバイザリーサービス部門であったり、
BIG4系や会計事務所に属さずに、FAS事業を提供する独立系FASに転職してM&A業務を行うのも人気の転職の選択肢です。
上述の転職先以外にも、業界内で大手監査法人から中小監査法人への転職、また投資銀行やファンドなども選択肢として挙げられます。
自分のやりたいことを考え、会計や財務の専門的な知識を活かしながら、自分のやりたいことにあった転職先を探すことが重要です。
以上、公認会計士の初任給について説明しました。
初任給は月収で30万円程度で、そこまで多いという印象は受けないかもしれませんが、残業手当やボーナスなどで年収だと600万円と他の業種に比べて高くなっています。
このように公認会計士は全体的に給与水準の高い職業ですが、就職先を決める際には、初任給だけでなく、業務内容や昇格ステップなどを詳しく把握することが重要です。
会計や財務の専門的な知識をもつ公認会計士は、様々な業界からニーズがあり、キャリアパスの幅が広いからこそ、初任給をはじめとした様々な要素を考慮して、後悔のないキャリアの選択をすることが必要です。
各業界や業種の特徴を把握したい場合は、公認会計士に特化した人材エージェントを利用するのも一手です。
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