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売上総利益率とは?売上総利益率を用いた企業の分析方法を紹介

HUPRO 編集部
売上総利益率とは?売上総利益率を用いた企業の分析方法を紹介

新聞やニュースなどでは企業の儲けを表す際に利益がいくらになったか、売上がいくらになったかがよく報じられます。これは、企業の規模を表すのに売上を引き合いに出すことが多いことや、どれだけ社内に蓄えができたかを利益によって知ることができるからです。実際の企業の売上や利益を用いて企業間の競争力を測る指標として売上総利益率があります。ここでは、売上総利益率について解説するとともに、売上総利益率を用いた企業の分析方法を紹介していきます。

売上総利益率とは?

売上総利益率は、損益計算書に記載されている売上総利益を売上高で除して求められます。売上高の説明は不要と思いますが、売上総利益は売上高から売上原価を控除して求められます。なお、売上総利益は別名粗利と呼ばれることから、売上総利益率は粗利率と表現されることも多いです。実務では売上総利益は粗利、売上総利益率は粗利率という呼び名の方が定着していると言っていいでしょう。

売上総利益率は売上に占める粗利の割合を示すため、企業が商品に対してどれだけの付加価値を乗せることができたか判断することができます。売上総利益率が高い企業ほど同じだけ売上を計上したとしても同業他社より社内に利益が留保されるため、次の投資につなげやすくなると言えます。逆に売上総利益率が低い企業ほど薄利多売傾向にあるため、売上高の割には内部留保が少なくなり、次の投資までに期間が空きやすくなります。

売上総利益率の平均値は?

売上総利益率はどのようなデータを用いるかによって異なりますが、経済産業省が発表している業界別売上総利益率が一定の目安となるでしょう。

経済産業省によれば、製造業は22%、卸売事業は12%、小売事業は28%、飲食業は56%程度とされています。また、意外にも大企業のほうが売上総利益率は低く、中小企業の方が高い結果となっています。これは、中小企業では役員等が現場に関与することが多い為、売上原価に参入される可能性が低くなることや、大企業では設備投資が進んでおり売上原価に混入する減価償却費が増える傾向にあるためとも言えます。

ただ、中小企業のほうが大企業よりも人件費や設備費を売上原価に振り替えずに販売費及び一般管理費にとどめておいてしまっている可能性があるため、安易な比較は禁物と考えています。ですが、経済産業省の発表している指標も目安の一つとなるため参考までに覚えておくと良いでしょう。

売上総利益率を考える必要性とは?

売上総利益率は非常に重要な指標となります。なぜなら、計算式は売上総利益を売上高で除しただけなので非常に簡単なのですが、これを用いて様々な分析ができるからです。

当然ですが、売上高に売上総利益率を乗じることで売上総利益が算出されます。つまり、利益率が高ければ高いほど売上高が増加した時に残る利益が増えることになります。これは、売上高の構成要素を考えると明確になります。

例えば、売上高100万円(単価1万円 数量100個)、売上原価40万円の売上総利益率60%の商品があったとします。数量を2倍にすると売上高200万円、売上総利益は120万円となります。一方で売上の単価を2倍にすると、売上総利益は160万円となり、40万円もの違いが出てきます。後者では売上総利益率が80%となるため、必然的に利益の上昇幅も増えることになります。

このように、売上総利益率を上昇させることは、売上高を単純に増加させるよりも効果が大きいことがわかると思います。

売上総利益率を考える必要性とは?

売上総利益率を上下させる要因は?

売上総利益率は先ほどの話のようにとても重要な指標であると言えます。では、この売上総利益率を上下させる要因にはどのようなものがあるでしょうか

まず、単純に売上を上げれば売上総利益率が上がりますが、その前提として売上原価が一定もしくは売上の上昇率よりも原価の上昇率が低い場合となります。
つまり、販売単価を上げる、コストカットにより売上原価を下げる、販売数量を増やすことによって製品一つ当たりの固定費を下げる等が考えられます。

一方で、値引をすると売上総利益率は下がります。よく、100万円の商品を10万円値引いてもあまり影響がないように考えるセールスマンもいますが、10%の値引きを行うことは業種によっては2倍の売上を上げないと挽回できない可能性があるため、安易な値引きによる販売は控えるべきです。

企業内の売上総利益率の用い方

売上総利益率は企業全体で考えるよりも、企業内の部門別や商品別に用いる方が有用です。

例えば企業全体としてはある程度利益が出ていても、商品別に見たら売上総利益率が極端に低い商品があるかもしれません。その際に、売上総利益率を上げる方策をとるのか、撤退を考えるのか等の手を打つことができます。また、自社で製品を製造した場合に売上総利益率が低かったとしても、他社から同様の商品を仕入れて販売したほうが売上総利益率の高い場合は撤退以外にも外製という選択肢も採用することができます。

まとめ

以上、売上総利益率とそれを用いた企業分析方法について解説しました。売上総利益率だけで業績は判断できませんが、一つの重要な指標ですので、他の指標ともあわせてしっかりと理解しておきましょう。

この記事を書いたライター

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