会計事務所や監査法人でスキル経験を磨き、将来的に独立したいと考える公認会計士は少なくないと思います。しかし、気になるのは独立の際の失敗するリスク。本記事では、失敗する傾向、対策について解説します。
独立をお考えの公認会計士の方は必見です!
日本全国では約30,000人の公認会計士がいますが定年もないため、よっぽどのことがない限り、公認会計士が減少することは現状ないと言えます。
そのため、競争は激化する可能性があります。
上場企業等の監査業務を主とするのか、IPO等のベンチャーやスタートアップ企業の監査支援をするのか、事業会社の会計業務や税務を支援するのかなど、キャリアパスが多様化する中で、軸を定めておくことは欠かせません。
後述しますが、「会計に関する業務は何でもやります」だとクライアントは逆に「何もできない」とみなされ、依頼が来なくなってしまうからです。
また、公認会計士の独立に限らず、独立開業には必要経費等も発生します。
OA機器や事務所、独立後のクライアントの確保、収入が安定するまでの資金等、通常の起業と変わらない準備は不可欠となります。
いざ独立!と意気込んだはいいものの、なかなか収入が立たずに失敗する事務所は多いです。
どの士業にも共通する以下の理由で失敗する公認会計士は多いです。
営業力の不足は1番多い失敗理由です。収入にダイレクトに影響するところですので、死活問題にもなります。独立してからクライアントがつかず、廃業に至ったというのは珍しい話ではありません。
独立する前からクライアントの見込みとなる人脈を構築しておき、前職とも対立することなく、円満な形で独立すれば、その後クライアントが繋がっていくことは多いです。しかし、その独立前の人脈も時間が経つにつれて限界が来てしまいます。やはり新規のクライアント獲得の営業活動をうまくできないと継続的な収入は見込めないのです。
そのため独立に踏み込む前には、新規のクライアントを確保できる営業力は必須です。
ちなみに営業代行をしてくれるサービス等もありますが、それに頼りきるとフィーの支払で手元に残るお金は少なくなります。実際、それらでクライアントは獲得できたものの、利益減少で廃業に追い込まれる士業者も少なくないです。
独立すればクライアントの課題の設定、解決策の示唆出し、ドキュメントの作成等、全てのコンサルティングフローを自身でこなさなくてはなりません。
一通りのコンサルティング力が備わっていれば問題はありませんが、解決できる力のない公認会計士は、他にコンサルティング力のある公認会計士に仕事が流れていってしまうのは避けられません。
企業全体の会計からみたコンサルティングができること、これは不可欠です。
税理業務は安定した収入源になります。しかし、税理業務が税理士の業務でもあるため、税理士との競合が必然となります。
監査業務のスキル経験はあっても、税務業務は経験が少ない、といった公認会計士も珍しくはないため、この競争に勝つことができず、安定した収入を得られず失敗、ということもあります。税理士人口は約77,000人と公認会計士の倍以上います。それ故、税理士間での競争も激化します。その上税理士は税務業務専門にやってきたプロフェッショナルです。税務業務の経験なしで張り合っていくのは険しい道のりとなるでしょう。安定収入として税務業務も視野に入れている場合、税務業務のスキル経験、クライアント人脈は作っておいて損はないでしょう。
前述した失敗例にどれも共通するのは、独立後の収入源の確保、つまりクライアント確保のための準備不足です。
独立すれば所属組織の看板がなくなり、自身そのものにスポットが当たります。
厳しくも現実的な市場評価にさらされるため、自身でどんどん成果をあげる人であれば独立後のほうが収入は倍増しますがそうでない場合は厳しい現実がダイレクトに収入に響きます。
収入を確保するための営業力・コンサルティング力等、人脈等を活かして準備を整えておくこと、そして踏み出すときは最悪のパターンも想定し、腹を決めて行動することが、独立する際は求められます。
では、失敗したら公認会計士としてキャリアは終わってしまうのでしょうか?不正を起こしてしまい、資格剥奪等の重い罰を受けない限り、今は廃業してもそのような状況まで追い込まれることはほとんどありません。公認会計士は独立に失敗しても様々な再就職先があり、活躍できる場所はいくつもあります。
もう一度、会計事務所や監査法人でのキャリアで再出発も可能ですし、コンサルティングファームや事業会社経理・ベンチャー企業のCFOへの挑戦といった選択肢もあります。
独占業務の特権を持ち、他の人たちではなし得ない専門的スキルを持っていることには変わりないためです。
失敗してしまったことを糧に、次のキャリアでは成果を出すためにどうしたら良いのか、新たな気持ちで謙虚に再出発を図れば、次のキャリアとしての就職先は必ずや見つかるでしょう。
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