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零細企業とは何か?わかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
零細企業とは何か?わかりやすく解説します!

零細企業とは、とても小さな会社を意味する言葉で、法律上の定義がある名称というわけではありません慣例的にとても小さな会社を零細企業と呼んでいます。大企業、中小企業、小規模企業者などの言葉と比較したときに、資本や設備、従業員数などが非常に少ない企業を、一般的に零細企業と呼んでいます。この記事では、そんな零細企業について、大企業や中小企業、小規模企業者という言葉との比較を踏まえて明らかにしていきます。

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企業の分類について

零細企業の意味を理解するために、まずは各企業規模について分類して見ていきましょう。

零細企業とは

まず、零細企業とは、法律上で明確な定義がなく、実際のところは慣例的な使われ方をしているものです。あえて定義すると、中小企業の中でも特に小規模な企業と言えるでしょう。適用される法律によっても、零細企業が中小企業と呼ばれたり、小規模事業者と呼ばれたりします。慣例的に、零細企業というときには、資本金1,000万円以下、従業員が5人以下の企業を指すことが一般的です。

大企業とは

大企業についても法律上の定義はありません。
会社法上、下記のいずれかを満たす場合は大会社に分類されます。

最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であること
もしくは
最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であること

世間一般的には、こちらのいずれかを満たす会社が大企業と呼ばれています。
会社法上で大会社に該当する企業は、資本や負債が多額であることから、投資家保護や債権者保護の観点から計算書類の適正や情報開示に関する規制を受けることになります。また、企業統治及び情報開示に関する規制もあります。

中小企業とは

一方で、中小企業には法律で明確な定義があります。中小企業基本法にて定められており、「資本金の額又は出資の総額」、「常時使用する従業員の数」のいずれかを満たせば、中小企業となります。

資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

【中小企業基本法第2条第1項】

また、卸売業、サービス業、小売業については、上記とは異なる資本金の額と従業員数が定められています。

二 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
四 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

【中小企業基本法第2条第1項:2以降】

ただし、中小企業の定義は、中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた原則という位置づけとなっているので、法律や制度によって「中小企業」として扱われている範囲が異なる場合があるという点に注意が必要です。
例えば、法人税法上の定義では、資本金1億円以下の企業はすべて中小企業と呼ばれます。法人税法における中小企業軽減税率の適用範囲は、資本金1億円以下の企業が対象となっているので、中小企業基本法の定義とは異なっています。

出典:中小企業者の定義|中小企業庁

小規模企業者とは

さらに、次に該当する場合には、小規模企業者と呼ばれます。小規模企業者等に該当する場合には、設備導入を行う際に、設備購入代金の半額を無利子で融資を受けることができる制度や、設備を割賦販売やリースで導入できる制度があるなど、国も積極的に小規模企業者を支援しています。
その理由は、日本の全企業数のうち上の定義で言う、中小企業(小規模企業者を含む)が99.7%を占め、私たちの生活に密着した財やサービスを提供しているからです。また、中小企業全体(小規模事業者を含む)で約3,200万人の方が雇用されており、これは、日本の従業者の約7割が中小企業で雇用されています。そのため、これらの中小企業がなくなれば、日本からほとんどの会社がなくなってしまいます。

出典:小規模企業者の定義|中小企業庁

零細企業の立ち位置

上述の通り、零細企業の明確な定義はありませんが、資本金1,000万円以下、従業員が5人以下の企業が、零細企業と呼ばれるのが一般的です。そのため、零細企業は、わずかな資本・設備で経営する、ごく規模の小さい企業と定義することができます。中小企業法では、上で説明したように小規模企業者を定義していますが、小規模企業者のうち、より少ない資本・設備で経営するごく規模の小さい企業が一般的には零細企業と呼ばれています。

零細企業に転職する際に見ておくべきこと

零細企業で働く場合、その環境は会社それぞれですので、しっかりと判断する必要があります。そこで零細企業に転職する際のチェックポイントをご紹介します。

①待遇面

必ずしもそうではないですが、零細企業は資本金が少なく、将来性が不安なケースも中にはあります。

そういった環境でも、自分が頑張り会社の成長に貢献したいというマインドを持っていれば大丈夫ですが、安定を望む場合は環境が整った大企業を目指した方が良いでしょう。

また、福利厚生や給与面は、大企業と比較すると劣る場合がほとんどですので、そこもしっかりと理解した上で入社を決めましょう。
面接時に相手に聞くことも全く失礼ではなく、情報収集のためには必要なことですので、遠慮せずに行うようにしてください。

②社会保険

通常、週30時間以上(短期労働者の場合は一定の条件を満たした上で20時間以上)働いていれば勤務先が社会保険に入る義務が発生し、従業員も加入できますが、零細企業と呼ばれる会社規模の場合雇い主が一定の条件を満たす個人事業主の場合があり、その場合は社会保険に加入できないケースがありますので、注意が必要です。

③教育体制

零細企業の場合は十分な教育体制を望むのは難しいでしょう。基本的な業務のマニュアルや講習なども無いことがほとんどですので、入社する場合はその点を理解した上で決めましょう。

以上、零細企業に転職する場合のチェックポイントをお伝えしましたが、零細企業ならではのチャレンジできる環境もあります。

社長との距離が近い分、経営者視点を学べたり、自分の努力や結果が会社の業績に直結するなど、やりがいのある仕事ができます。
自分の適性を判断した上で、自発的に仕事がしたいという方は零細企業がぴったりということもあるでしょう。

まとめ

以上、零細企業とは一般的にどのような会社のことを指すのかまとめた上で、
零細企業への転職についても紹介しました。
零細企業という言葉は慣例的に使われている言葉なので、明確な定義があるわけではありません。しかし、かなり少ない資本、売上、従業員、資産などで営業している企業とみるのが一般的です。産業ごとに条件が異なることため、ある業界では小規模企業者に該当する場合であっても、他の業界では零細企業と呼ばれることもあります。零細企業の定義は明確ではないので、他の大企業、中小企業、小規模企業者のような言葉との対比で理解しておくことが重要です。

この記事を書いたライター

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