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資産、負債、資本など経理・財務業務にはさまざま専門用語があります。有利子負債比率もそのひとつで、企業の財務状態を表す大事な指標の一つです。企業はその活動を行う上で資金を調達しなければならないときがあります。しかし、そのような場合にも会社の財務状況に関係なく借金をすれば、会社の経営を圧迫し最悪の場合倒産ということになりかねません。有利子負債比率は企業が借り入れを行うか判断する指標の一つになるものです。この記事では、有利子負債比率がどのような意味をもつのか、徹底解説します。
有利子負債比率を説明する前に、まず関連する用語を確認したいと思います。
自己資本とは返済の必要がないもので、企業の資金調達の分類概念です。出資者から募った出資金や企業活動の結果得られた剰余金などがそれにあたります。自己資本がどれだけ強固かを図る指標として、自己資本比率があります。総資産に対する自己資本が占める割合を表しています。
自己資本と対にあるのが他人資本です。返済義務があるもので、銀行からの借入金や社債がこれにあたります。貸借対照表上負債の部に計上されるものの総称でもあります。
返済義務のある他人資本より、返済義務のない自己資本が大きければ大きいほど、もちろん会社の財務状況は健全といえるでしょう。
負債とは、物を仕入れた場合の代金や借金などで返済しなければならないマイナスの財産のことをいいます。有利子負債は、負債のうち会社が金利をつけて返済しなければならないものです。銀行からの借入金や債券市場から資金調達のために発行した社債などがこれにあたります。物を仕入れた場合の購入代金や未払い金は利子がつかないため有利子負債ではありません。
有利子負債比率とは、有利子負債と自己資本のバランスを示す経営指標のことです。有利子負債比率は、自己資本に対する有利子負債の大きさを表しますので、数値は小さいほうがいいことになります。
まとめますと、自己資本比率が高いほど、また有利子負債比率が低いほど企業の財務状況は健全であるといえます。
中小企業においては、有利子負債比率は、金融機関からの借金の返済能力を示す経営指標とされています。
有利子負債比率は以下の計算式によって求めることができます。
有利子負債比率＝（有利子負債÷自己資本）×100
具体的に見てみましょう。
【ケース1】
有利子負債 1000万円
自己資本 2000万円
この場合の有利子負債比率は、（1000万円÷2000万円）×100=50パーセント
ということになります。
【ケース2】
有利子負債 2000万円
自己資本 1000万円
この場合は、有利子負債は、（2000万円÷1000万円）×100=200パーセント
ということになります。
ケース1の方が会社の財務状況は健全であるといえます。ケース2のように有利子負債が100パーセントを超えている場合、自己資本で有利子負債を返済することができません。赤字経営の場合、融資を金融機関から断られる可能性があります。有利子負債比率の適正水準は、中小企業の場合は、有利子負債比率100%以下が標準です。
しかし適正水準以下であっても一概に金融機関からの借金の返済能力が低いとはいえないケースもあります。企業は営利を追求する組織です。そのため、新規事業や既存事業の拡大に勝算があるとすれば、当然借金をしてでもそれを行うことになります。
このようなケースでは、どうしても有利子負債が一時的に悪化することになりますが、別に珍しいことではありません。そしてその事業が順調になれば、有利子負債も減り自己資本が増えていきます。これこそ企業の理想の姿であり、その理想の姿を目指して借金をすることは一概に悪いこととはいえないでしょう。
但し、忘れてはいけないことは負債はいずれ返済期限を迎える借金であるということです。新規事業、既存事業の拡大に関係なく事業計画は詳細にたて、借入金の返済が可能かどうかを慎重に見極める必要があります。有利子負債比率は会社の財務指標を表す大事なものであることはお分かりいただけたかと思います。
有利子負債比率以外にも、利益水準、借入限度額など大事な財務指標があります。会社経営を安定させるためには、これらの財務指標をよく理解した上で常にチェックすることが必要です。
財務担当者の大事な心構えであることを忘れないでください。
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