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通信費の勘定科目の使い方|電話代はどこまで経費にできるの?

公認会計士 大国光大
通信費の勘定科目の使い方|電話代はどこまで経費にできるの?

確定申告が近づくにつれて質問が増えるのが「通信費はどこまで経費で落ちますか?」や、「どの費用を通信費に入れればいいですか?」というもの。実際に、会計事務所に勤めている人でも迷いやすこの科目。今回は、どのようなものを経費として計上できて、どのような科目にすべきかを現役公認会計士が解説します。

通信費という勘定科目はどんなものが挙げられるか

まず、通信費というのは文字通り「通信するための費用」となります。もう少しわかりやすく言うと、コミュニケーションに使われた費用を言います。では、どのようなものが通信費という勘定科目となるのでしょうか。以下、列挙します。

通信費に含まれるもの
・ 携帯電話代、固定電話代
・ インターネットプロバイダーに支払う費用
・ 切手やはがき
・ 宅配便にかかる費用

これらの代金を支払った場合は、通信費として計上する必要があります。

通信費と間違えやすい勘定科目

先ほどの例示列挙したもの以外で、通信費と間違えやすいものがあります。例えば、コピー用紙は通信のためにも使われますが、それ以外にもプリントアウトするためだけに使ったりするものですので、主に「消耗品費」等で計上することが多いです。また、電話機をリースで使用している場合も、通信をする手段の費用となりますが、「賃借料」や「リース料」等の勘定科目を使うことが多いです。そのほかにも、切手に似ている収入印紙等は、国に納める税金の要素が強い為、「租税公課」として計上されることが多いです。

通信費としてどれだけの割合が勘定科目に認められるか?

特に個人事業主に聞かれることが多い質問として「携帯電話などの費用が通信費となることはわかったけど、何割くらい費用として認められるの?」といったものがあります。結論から言うと「事業として使っている分」です。そうすると次に返ってくる質問は、「それって何割ですか?」となります。何度も言いますが、「事業として使っている分」です。
例えば、プライベート用と仕事用の2台の携帯電話を持っている個人事業主がいたとしましょう。プライベート用では一切仕事に使わず、仕事用は一切プライベートで使わないとしたら、その仕事用の携帯電話は支払った100%が経費で落ちます。一方で、1台しか携帯電話が無くて、6割仕事、4割プライベートで使用している場合は、支払った金額の6割が経費となります。
では、その割合はどのように決まるのでしょうか。
例えば、一週間7日のうち5日間仕事をしていて、5日間は一切プライベートでは使わないが、2日間は逆にプライベートでしか使わない人の場合は、支払った金額の5/7を経費として計上します。また、プライベートと仕事と交互に使うため割合がわからない場合は、かけた電話番号明細をキャリアから取り寄せ、仕事部分のみマーカーで引いて割合を出している事業主の方もいらっしゃいます。
方法はどうであれ、税務調査の時に「こうやって分けています!」ということが主張できるかが大事です。例えばPCメールについて、プライベートと仕事と同じものを使っていたとして、送信履歴から仕事で使っているのが説明できれば問題ありません。

通信費等の勘定科目は決まっているの?

先ほどまで通信費として計上するもの、通信費としないものと解説しましたが、どの費用はどの科目にしなければならないか決まっているのか?という質問がよくあります。
結論からすると、実はどんな科目を使っても良いとなります。
例えば、携帯電話の費用を「携帯電話費」、固定電話の費用を「固定電話費」としても何ら問題はありません。なぜならば、どこにも決まりがないからです。しかし、普通はやはりこれら費用は「通信費」とします。というのも、経営者が携帯電話と固定電話の費用の比率を毎月見ておきたいとか特別な理由がない限り、見づらいからです。まとめてあげた方が親切で、どうしても知りたい場合は個別に経理担当者が集計したほうが良いのです。また、企業間比較をしようと思った時に、それぞれの会社がバラバラな勘定科目を用いていると、比較にならなくなります。そこで、「一般的に」用いられている科目を使うことが実務では定着しています。ただし、例えば携帯電話機器が8万円だったとして、どのような科目を使うかは会社によって分かれます。携帯電話機器が消耗品としての性格が強いと思えば「消耗品費」とするでしょうし、携帯電話機器を含めた通信代金を把握しておきたいと思えば「通信費」とされるでしょう。これは、企業の知りたい情報に合わせて継続的に記帳することが大切です。

通信費であったものを通信費ではなくした場合等の留意事項

今まで通信費としていたものを通信費でないとしたり、通信費でないものを通信費としたりした場合、どのようなことに留意すべきでしょうか。
先ほどのように、企業の知りたい情報がコロコロ変わってしまうと、通信費が節約できているのかどうかがわかりづらくなります。ですので、あまり頻繁に変えない方が良いでしょう。また、勘定科目の内訳は税務署に提出する必要があります。税務署が税務調査に行くかどうかを決めるポイントの一つに、「特定の収入、支出が多額に増減しているかどうか」が挙げられます。よって、通信費が突然増減している場合は税務調査対象になりやすい可能性がありますので、その点も踏まえて留意が必要となります。

まとめ

当記事では、通信費の勘定科目の使い方について概要や留意事項をまとめてきました。細かいルールが多く、複雑な勘定科目になるので、会計担当者は常に経営者や税理士と相談しながら進めていく必要があるでしょう。

・通信費は「コミュニケーションのために使われた費用」を指す
・コピー代(消耗品等)やリースでの電話代(リース料)のように、通信費と間違えやすい勘定科目もある
・通信費として計上できるのは、事業で使った分。携帯費等を週7日のうち5日仕事で使っている場合は5/7を通信費計上できる
・通信費は「携帯電話費」や「固定電話費」等どんな勘定科目を使っても構わないが、管理や調査時にわかりやすく、コロコロ変わらないようにする必要がある

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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