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特許権の経理処理は?|特許権の償却について

HUPRO 編集部
特許権の経理処理は?|特許権の償却について

自社で新製品を開発し特許権を取得した場合や、他社が取得した特許権の譲渡を受けるなどのように、会社が特許権を取得する場合があります。このように形の無い資産である特許権について取得に要した費用などはどのように償却されるのでしょうか。特許権の経理処理について解説します。

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特許権とは

特許権とは、特許を受けた発明を権利者が一定期間独占的に実施することができる権利のことをいいます。特許権を得るためには、発明の内容を記載した書類を願書とともに特許庁に提出し、審査官の審査を受けて特許査定を受ける必要があり、結果特許として認められたものが特許権となります。

特許権は、権利者に独占的な発明の実施権を与えるものですが、恒久的な権利とすると技術発展の障害となるため、権利の存続期間は原則として出願の日から20年間とされています。

特許権の権利者はこの存続期間中に発明を自ら実施して、開発にかかった費用を回収することもできますし、第三者に実施させて実施料を受け取るということもできます。また、第三者に権利を譲渡して、その対価によって開発にかかった費用を回収することもできます。

なお、産業財産権や知的財産権と呼ばれることもありますが、産業財産権は特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの権利を総称したものであり、知的財産権はその4つの権利に加えて著作権などを含めた権利の総称です。

特許権を取得した場合の計上について

特許権は、権利ですから形のないものです。そして、前述のとおり特許権は一定期間存続し、利用されることから、会計上は、固定資産のうち、無形固定資産に該当します。無形固定資産は、購入価額+付随費用を資産とするため、特許権を仮に第三者からの譲渡によって取得した場合、特許権の購入代価と、その購入にかかった費用も含めて無形固定資産として計上することができます。

また、購入した特許権はその後、会社製品の開発などのために長期間使用されるものです。したがって、購入等にかかった費用は長期にわたって負担されるよう反映させる必要があることから、減価償却によることになります。

なお、自社で開発した発明について特許権を取得した場合には取得原価と付随費用が資産計上されます。この場合、取得原価は特許取得のための研究開発に要した費用のことになりますが、その研究開発費はすべて発生時に費用として処理することが原則です。

したがって、取得原価は原則0となります。また、付随費用についても資産計上することができますが、全て費用処理することもできることになっています。なお付随費用とは、特許の出願料や登録料などがこれに当たります。結果として、自社で特許を取得した場合には、資産価額がゼロ円になるのが一般的な処理のようです。

特許権の耐用年数と償却方法

減価償却による場合、減価償却費の計算は、取得価額を基礎にして、一定の減価償却方法に基づき耐用年数にわたって按分計算します。また、減価償却方法には代表的なものとして、定額法と定率法があります。定額法は減価償却費を毎年同額計上していく方法で、定率法は取得当初は多額に減価償却費を計上し、以降は徐々に減らしていく償却方法です。

特許権の場合、無形資産に該当するため、償却方法は定額法による計算となります。なお、特許権のような無形資産の記帳方法は直説法が一般的となっています。
次に特許権の耐用年数ですが、権利の存続期間と異なり、8年間となっています。したがって、8年間が経過すると残存価額は0となり、全額を償却することになります。

実際の計算を例で見てみましょう。例えば特許権を1,600,000円で他社から購入した場合、減価償却費は、取得初年度は20万円(160万円÷耐用年数8年)を減価償却費に計上します。そして2年目以降も同額の減価償却費を計上し、8年経過後に残存価額は0となります。

その他の無形固定資産と耐用年数

特許権以外の無形固定資産の主なものとその耐用年数を紹介します。
(1)実用新案権・・・物品の計上、構造組み合わせにかかる考案を独占排他的に実施する権利(権利の存続期間10年間、耐用年数:5年間
(2)意匠権・・・デザインの創作についての権利(権利の存続期間20年間、耐用年数:7年間
(3)商標権・・・商品、サービスの提供を受けるものが商品、サービスを認識するために使用される文字や図形等に関する権利(権利の存続期間10年間、耐用年数:10年間
(4)ソフトウェア・・・複写して販売するための原本(耐用年数:3年間)、その他のもの(耐用年数:5年間
(5)営業権・・・営業権とは、事業を買収等行った時に生じる買収先の同業他社より優れた超過収益力等に対する価値を表す。のれん代ともいう。(耐用年数:5年間
(6)著作権・・・思想や感情を創作的に表現した文芸、学術、美術、音楽など。権利の存続期間は、著作者の死後50年(法人の場合は公表後50年)
*著作権の場合は償却不可(年数の経過により減価しない)

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