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「運賃」は、どの勘定科目で処理する?

HUPRO 編集部
「運賃」は、どの勘定科目で処理する?

「運賃をどの勘定科目で処理する?」と聞かれてまず思いつくのは、「荷造運賃」でしょうか。勘定科目に「運賃」という言葉が含まれているので、結びつきやすい勘定科目ですよね。もちろん、荷造運賃として処理する「運賃」もありますが、すべてが荷造運賃に含まれるわけではありません。同じ「運賃」の支払いでも、いくつかの処理方法が考えられますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

運賃とは

 運賃とは、商品などを発送するためにかかった費用をいいます。

具体例
・郵便手数料
・宅配便料金
・バイク、船舶、航空便などの運賃
など

「やっぱり、運賃だから『荷造運賃』の勘定科目を使うんでしょ?」と思うかもしれませんが、そういうわけではありません。

同じ「運賃」でも、「何を」発送したのかによって、使う勘定科目は異なります。
たとえば、自社の商品をお客様に発送した場合の「運賃」と、DM(ダイレクトメール)を発送した場合の「運賃」では、使う勘定科目は違ってきます。

運賃は「引取運賃」と「発送運賃」に分けられます。それぞれどのような場合にどの勘定科目に仕訳をするのか、説明していきます。

引取運賃の場合

引取運賃とは、材料などの仕入れをする際に、仕入れた側が負担する運賃や、備品や消耗品を購入した際に負担する運賃など、「モノを引き取る時」に発生する送料(運賃)のことを言います。

①「仕入」:商品や材料などを仕入れた際に運賃を負担する場合 

仕入に係る送料を負担した場合には、荷造運賃に計上するのではなく、「仕入」に含めて処理します。
「仕入」として処理することで、売上原価の一部となるので、荷造運賃(販売費および一般管理費)として処理する場合と比べて、原価率に違いが生じます。
ただし、負担した運賃の金額が、少額で重要性に乏しい場合には、仕入に含めずに通信費などの勘定科目で処理する場合もあります。

仕訳例
・商品を仕入れた際、発想にかかった費用1,000円を現金で支払った。

②減価償却資産の「取得価額」:備品などを購入して発送してもらった場合

備品などを購入した際に負担した送料(運賃)は、「備品の購入のために要した費用」となるので、取得価額に含めて処理します。
取得価額に含めることで、荷造運賃(販売費および一般管理費)として処理する場合と比べて、経費計上できるタイミングが遅くなります。(減価償却費として年々経費計上されます。)

仕訳例
・プリンターを新調した際、代金80,000円と発送にかかった費用15,000円を現金で支払った。

③「消耗品費」:消耗品を購入して発送してもらった場合 

②の備品と同じ考え方で、消耗品を購入した際に負担した送料(運賃)は、消耗品費に含めて処理する方法が考えられます。
ただし、消耗品費は、通信費と同様、販売費および一般管理費に該当する勘定科目なので、消耗品費に含めずに、通信費等として処理しても問題ありません。

仕訳例
・コピー用紙や文房具をネットで購入した際、代金の5,000円と発送にかかった費用500円を現金で支払った。

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発送運賃の場合

発送するモノとして代表的なのは、商品や製品ですよね。それ以外にも見積書やDMなどを発送することもあります。発送運賃とは、モノを発送するために負担した送料(運賃)をいいます。

①「荷造運賃」など:商品、製品などを発送した時 

商品や製品などの売上に関わるモノを発送し、送料を負担した場合には、「荷造運賃」の勘定科目を使います。荷造運賃以外にも、「荷造運賃手数料」や「発送費」などの勘定科目が使われることもあります。
売上に直接対応する費用だからといって、売上を直接減額しないようにしましょう。

仕訳例
・得意先に商品を納品した際にかかった送料1,000円を負担した。

②「通信費」:①以外のものを発送した場合

上記に該当するもの以外を発送した場合の送料(運賃)は、「通信費」の勘定科目を使います。
例えば、請求書を送ったときや会報を発送した際などは通信費を利用します。
ダイレクトメールを送る際の送料(運賃)は、不特定多数の人への宣伝にあたるので、「広告宣伝費」として処理する方法も考えられます。

仕訳例
・領収書を取引先に送付した。代金は現金で支払った。

切手を購入した際も「通信費」を使用します。その理由についてはこちらの記事をご覧ください。

③荷造運賃と通信費の違いは?実務的なお話

上記の通り、発送する荷物が「商品」なのか、「それ以外」なのかで勘定科目を使い分けるのが原則ですが、実務上は、商品の発送運賃であっても封筒で送れるような小さな商品の発送運賃であれば通信費として処理してしまうケースなどもあります

結論からいうと、荷造運賃として処理すべき費用を、通信費として処理していても大きな問題はありません。なぜなら、荷造運賃も通信費も、販売管理費の勘定科目であり、税務上も必要経費(法人であれば損金)に算入されることに変わりはないからです。
大事なことは、「一度決めた方法を継続すること」です。
同じ方法で継続して処理すれば、月次決算や年次決算をする際に、前月、前年度の比較をより正確に行うことができます。

まとめ

運賃と一口に言っても、実に様々な処理の仕方がありますね。

どの勘定科目を使うか迷った時は、まず、「発送した(された)ものが何なのか」チェックしてください。そして、勘定科目に迷ったら、「今までどのように処理されていたのか」チェックしてみてください。今までの処理方法がわからない時は、その処理以降、継続して同じ処理方法を続けていけば問題ありません。

この記事を書いたライター

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