「退職する前に残っている有給休暇を全部使い切れるのか?」多くの方が気になるテーマです。
実際、「人手不足だから無理」「退職日までは出社してほしい」と会社に言われ、モヤモヤした気持ちを抱える方も少なくありません。
この記事では、退職時の有給消化に関する基本ルールから、会社に拒否された場合の対応策、買い取りの可否、トラブル時の相談先までを分かりやすく解説します。
退職を控えた方が安心して次のステップに進めるよう、法律的な根拠と実務的な対処法を整理しました。
退職時の有給消化は労働者の権利です。そのため原則として退職時の有給消化は拒否できません。
一方、一部会社が拒否できるケースもあります。また、消滅するケースも。
以下では
・退職前に有給消化できるのは労働者の権利
・会社が拒否できるケース(時季変更権)とその限界
・有給休暇は退職日を過ぎると消滅する
の3トピックについて、それぞれ詳しく見ていきます。
退職前に有給消化できるのは労働者の権利です。有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利。
会社の「許可」ではなく、労働者が請求すれば原則として取得できます。退職時も例外ではなく、残っている有給を消化してから退職することが可能です。
「忙しいから有給は取らない方がいいのかな」と遠慮する方もいますが、法律上は堂々と主張できるものです。円満に退職するためにも、早めに上司や人事に相談し、計画的に進めましょう。
会社には「時季変更権」という仕組みがあります。これは、業務に大きな支障が出る場合に、有給取得の時期を変更できる権利です。
ただし退職後は「変更後の時期」が存在しないため、実質的に時季変更権は行使できません。
「人手が足りないから出勤してほしい」と言われても、法律上は拒否する根拠にならないのです。
有給休暇は「在職中に取得すること」が前提です。そのため、退職日を過ぎたら残っている有給は消滅します。 「退職後にまとめて有給を申請する」ということはできません。
残日数を確認し、退職日までのスケジュールに組み込むことが大切です。
退職時に有給消化を拒否された場合の労働者側の対応について、以下の3点
・「人手不足」を理由に拒否されたときの正しい考え方
・上司から引き止め・引き延ばしを受けた場合
・欠勤扱い・不利益な取り扱いを受けたらどうする?
を見ていきます。
「今は繁忙期だから」「人手が足りないから」といった「人手不足」を理由で有給消化を拒否されるケースは多いですが、これは法律的には認められません。
そのように言われると罪悪感を抱いてしまう方もいますが、労働者に責任はありません。落ち着いて「労基法で認められた権利」であることを伝えましょう。
「せめてあと1週間は出てほしい」と引き延ばしを求められることもあります。 しかし、退職届を受理されていれば、退職日は基本的に労働者の意思で決められます。
無理に引き止められ、精神的に負担を感じる場合は、人事部や労務担当に直接相談するのも有効です。心情的には難しい場面ですが、健康を優先してください。
「有給を出したのに欠勤扱いされた」「ボーナスを減らされた」などの不利益扱いは違法です。
その場合は、証拠(申請メール・勤怠記録)を残したうえで、労基署に相談しましょう。一人で抱え込むと不安が募ります。第三者に相談することで状況が整理され、安心につながります。
有給休暇未消化の場合の買取の可否などについて
・原則「買い取りはできない」法律上の理由
・例外的に買い取りが認められるケース(退職時)
・買い取り金額・給与計算の仕組み
の3点を以下でそれぞれ詳しく見ていきます。
労基法は「有給は休暇として消化すること」を前提としています。そのため、原則として有給休暇を会社が買い取ることはできません。
退職により有給を消化できないなどの場合、会社が労使間の合意で有給休暇を買い取ることは可能とされています。
具体的には以下のようなケースが想定されます。
・退職時に有給を消化しきれず残っているケース
・夏季休暇など、会社独自に規定している有給があるケース
・有給を期限内に使いきれず、時効により失効してしまうケース
ただし法律上の義務ではないため、会社の方針や就業規則によって対応が異なります。
有給休暇の買い取りを行う場合、原則は1日あたりの賃金を基準に計算されます。
「退職金に上乗せ」「最終給与に加算」といった形で支給されるケースが一般的です。不明点は人事部などに確認し、納得できる形で処理してもらいましょう。
退職時の有給消化に関する疑問点の内、
・有給を40日まとめて消化できる?
・有給消化中に転職活動やバイトはできる?
・有給消化中に次の会社へ入社できる?
・有給消化中でも給与や賞与は減らない?
・シフト制・公休との組み合わせはどうなる?
に関して、Q&A方式でそれぞれ答えていきます。
有給を40日まとめて消化することは、法律上可能です。
有給休暇の最大保有日数は原則40日です。これをまとめて消化するのは法律上は可能ですが、業務引き継ぎなどの実務面で調整が必要です。早めの申請がカギとなります。
基本的に自由です。ただしアルバイトなどに関しては、就業規則で副業を禁止している場合などは注意しましょう。事前に元の会社へ確認しておくと安心です。
有給は「在職中の休暇」なので、形式上は二重雇用になる場合があります。内定先に事情を伝え、入社日を調整するのが安心です。
有給は「出勤したものとみなす」扱いです。そのため、給与や賞与は通常通り支払われます。
ただし、会社によって給与や賞与の細かい支給条件がある場合もあるので、事前に人事部などに確認しておくのが無難でしょう。
シフト制でも有給を申請できます。公休と組み合わせることで、長期休暇を確保することも可能です。
有給消化を拒否された場合の相談先としては、主に以下が考えられます。
・社内(人事部・総務部・コンプライアンス部門)
・労働基準監督署に相談する流れ
・弁護士・社会保険労務士への相談タイミング
退職時に有給消化を拒否された場合、まずは社内の正式な窓口に相談しましょう。直属の上司が対応してくれない場合でも、組織的に動いてもらえる可能性があります。
退職時に有給消化を拒否された場合に関して、労働基準監督署では無料で相談できます。申請書やメールなどの証拠を持参するとスムーズに対応してもらえるでしょう。
「有給を出したのに未払い賃金がある」「不当な扱いを受けている」といった深刻な場合は、専門家への相談が安心です。費用はかかりますが、確実に権利を守れる手段となり得ます。
退職時の有給消化は労働者の当然の権利であり、会社が一方的に拒否することは原則できません。残日数を把握し、引き継ぎや退職日とあわせて計画的に申請すれば、トラブルを避けつつ有給を消化できます。
なお、有給消化中は時間に余裕ができるため、リフレッシュの期間として有効に使えます。但しこの期間にダラダラと過ごすのはもったいないでしょう。
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