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「労務管理士資格は意味ない?」真実と評価を徹底解説

HUPRO 編集部
「労務管理士資格は意味ない?」真実と評価を徹底解説

働き方改革が進む現在、労働環境の整備を担う専門人材が注目を集めています。
そんな中、労働環境の整備を行う労務管理士資格をとっても意味がないと言われるのはなぜでしょうか?この記事では労務管理士資格の概要から、本当に意味のない資格なのか?を詳しく追求し紹介します。

労務管理士とは?

労務管理士とは、労働基準法や労務管理に関する専門的知識を習得し、適正な職場環境の構築を行うことができる人材を育成することを目的とした民間資格です。この資格は一般社団法人日本人材育成協会と一般社団法人日本経営管理協会という2つの団体が運営しており、法令を遵守し、従業員の採用から退職までの一連の就業管理を行う能力があることを証明します。

労務管理士資格に意味がないと言われる3つの理由

民間資格であり国家資格でない

国家資格である社会保険労務士に比べ、労務管理士は民間資格であるため独占業務が一切ありません。また名乗ることも自由なため、信頼性や権威性が低いことから、一部では「意味がない」と捉えられがちです。

誰でも簡単に資格取得が可能

先ほども述べた通り、労務管理士は民間資格であり比較的取得しやすい資格であると言えます。20歳以上であれば、学歴や経験に関わらず誰でも受験できます。講座を受講し、試験に合格することで資格を取得できます。一定の業務経験がある場合は、書類審査で取得できる場合もあります。

実務経験の重要性

労務管理士の資格を取得しても、実務経験がなければその知識を存分に発揮することができないという意見もあります。実際の現場では「労務管理士資格を持っていること」よりも、経験や社労士資格の有無が重視される傾向であることから、「意味がない」と思われてしまうのでしょう。

労務管理士資格取得のメリット3選!

人事・労務に関する基本的な知識を習得できる

労務管理士の資格取得過程では、労働基準法、労働安全衛生法、社会保険制度など、労働法規に関する深い知識を習得できます。ですから例え未経験であっても、資格を取得することで、「人事・総務の全体像」を掴むことができるでしょう。

キャリアアップに繋がる

労務管理士を取得することで、労働法や労務に関する専門知識を身につけることができ、キャリアアップの足がかりとなります。近年では、人事部門だけでなく企業経営の現場でも労働法規の理解が求められる場面が増えており、そうした知識を持つ人材の重要性が高まっています。労務の基礎を習得しておくことで、総務・人事・経営企画など、幅広い分野で活躍する可能性が広がります。実務の中で能力が認められれば、昇進や役職登用にもつながる可能性があり、労務管理士は将来のキャリアを支える有効なステップとなるでしょう。

転職時のアピール材料として有効

労務管理士の資格は、労働法規や労務管理に関する専門知識を持っていることの証明になります。これにより、採用担当者に対して、一定のスキルレベルをアピールできるでしょう。また労務管理経験がない場合でも、資格取得によって、基礎知識や学習意欲をアピールできます。特に、未経験から人事・労務部門への転職を目指す場合に有効です。

難易度は比較的やさしく、初心者でも取得しやすい資格

難易度について合格率は公開されていませんが、認可団体による公開認定講座を受けてから試験へ進む形式となっており、講座で学んだことをしっかりと身につけていれば合格することは難しくないとされています。未経験者でも十分に合格を目指せる難易度です。また、一定の業務経験がある人の場合は、書類審査でも資格取得を目指すことが可能です。

労務管理士の資格を取得する4つの方法

公開認定講座

全国主要都市において順次開催されている公開認定講座に参加して資格を取得する方法です。公開認定講座で行われる資格認定試験に合格すれば、労務管理士資格を取得できます。この方法のメリットは、講師から直接指導を受けられることや、質問がしやすい環境にあること、そして確実な知識習得が可能なことです。

通信講座

公開認定講座に出席することが困難な場合、所定の通信研修(基礎課程)を履修することにより、通信による到達度試験を受けることができます。この方法では場所を選ばずに学習でき、自分のペースで進められるというメリットがあります。

書類審査

労務管理に関する実務経験が最低3年以上ある証明(経歴書または在職中場合は事業所の職務証明)と、労務管理士資格取得者からの推薦が必要な方法です。この方法は3年以上の実務経験を持つ方で、労務管理士からの推薦が得られる方が対象となります。

Web資格認定講座

公開認定講座に出席することが困難な場合、インターネット上でパソコン・タブレット・スマートフォンを利用し、資格を取得することも出来ます。所定の研修(基礎課程)をeラーニングで履修することにより、インターネット上で資格認定試験(Web資格認定試験)を受験できます。この方法は最も安価で、時間や場所の制約が少なく、忙しい方に最適です。

労務管理士の仕事内容

労務管理士は、人事・労務に関する基礎知識を活かして、職場の働きやすさや法令遵守を支える役割を担います。具体的には以下の内容などです。

雇用契約書・労働契約書の作成・管理

新入社員の雇用時や労働条件変更時に必要な書類の作成と管理を行い、労働基準法に基づいた適切な契約書作成は労務管理士の専門分野となります。

就業規則や社内ルールの整備

企業は従業員の労働環境を適切に管理するため、法律に基づいた就業規則を作成しなければなりませんが、これは労務管理士の資格が存分に活かせる業務となっています。

社会保険・労働保険の手続き補助

企業は雇用形態を問わず、一定以上の条件を満たしている場合、社会保険や労働保険の加入義務を負います。その際、労務管理士は加入に必要な手続きの準備を行います。

勤怠管理・給与計算のサポート

従業員ごとの勤怠管理も労務管理士の重要な業務であり、そのデータをもとに給与や賞与が算出されます。また、社会保険・労働保険の手続き準備も担当します。企業は正社員、パート・アルバイトなど雇用形態を問わず、一定以上の条件を満たしている場合、社会保険や労働保険の加入義務を負いますが、その際、労務管理士は加入に必要な手続きの準備を行います。

労務管理士に適している人の特徴

ここまで労務管理士の概要から資格取得方法、難易度について紹介してきましたが、どのような人が労務管理士に向いているのでしょうか。

几帳面で正確性を重視する人

性格的には几帳面で細かい作業が苦にならず、一つの仕事を最後まで責任持ってやり抜く辛抱強さが必要です。従業員の賃金管理はミスが許されず、細かい部分にまで精密さが求められるからです。

法律や制度への関心が高い人

労働基準法や社会保険制度など、労務管理に関する幅広い知識が求められます。労働法規の変更に対応し続ける必要があることから、常にアンテナを張り、最新情報を収集する姿勢が必要です。

コミュニケーション能力のある人

勤怠や休暇、社会保険などについて社員からの質問や相談に対応する場面が多くあります。社員とのやりとりも多いことから、わかりやすく説明する力や、相手の状況をくみ取る力が求められます。

労務管理士と社会保険労務士の違い

労務管理士についてよく混同される資格に社会保険労務士があります。
両者の主な違いは、労務管理士が民間資格であるのに対し、社会保険労務士は国家資格であることです。社会保険労務士には法律で定められた独占業務がありますが、労務管理士にはそのような独占業務はありません。

また、試験の難易度についても、社会保険労務士の方が高くなっています。しかし、だからといって労務管理士に価値がないわけではありません。独立を目指す方には社会保険労務士が向いていますが、会社に所属しながらの成長を望む方には労務管理士の方が適していると言えるでしょう。

まとめ

労務管理士は企業内で労務管理のプロフェッショナルとして活躍したい方にとって価値ある資格です。取得しやすい民間資格でありながら、実務に直結する専門知識を習得できます。継続的な学習を通じて、常に最新の労働法規に精通でき、キャリアアップの基盤として、より責任のあるポジションを目指せるでしょう。

結論として、労務管理士は「意味がない」資格ではありません。適切に活用することで、確実にキャリアアップに繋げることができる実用的な資格です。労働環境がますます重視される現代において、労務管理の専門知識を持つ人材の価値は今後も高まっていくでしょう。

この記事を書いたライター

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