公認会計士は、会計に関する資格の中でも最難関とされている公認会計士試験の合格者です。監査法人や税理士法人などでのニーズが高いのはもちろんですが、その他の職種での活躍も年々広がっています。今回はそんな公認会計士の転職について、オススメの転職先や年収、年代別の転職成功ポイントまで、会計業界特化エージェントが徹底解説します!
結論から申し上げますと、公認会計士は転職活動においてかなり有利であると言えます。もちろん、市場価値についても高いです。そのように判断できる理由として、主に以下の3つが挙げられます。
ご紹介したように、公認会計士は難関国家試験である公認会計士試験に合格しなければなることができません。
この試験は短文式試験と論文式試験に分かれており、合格率は短答式が10%前後、論文式が40%ほどとなっています。論文式の合格率は高いものの、合格率10%程度の短答式に合格した方しか受けられないことを考えると、やはりかなり難易度が高いといえるでしょう。
また、合格に必要な勉強時間は3,000~4,000時間ほどが目安とされています。これは、1日3時間程度の勉強をしても3年ほどかかる計算になります。一方で、簿記検定などは1ヶ月での合格も可能と言われています。
このことからも、難易度が高いことがお分かりいただけるでしょう。
そんな公認会計士の希少価値は非常に高いため、転職で有利に働きやすくなるのです。
公認会計士の代表的な仕事に監査業務というものがあります。これは、企業の業務や財務をはじめとした様々な側面における調査を行い、正確性や妥当性を判断する業務です。
この監査業務は公認会計士にしか行うことができない独占業務となっています。また、大企業や上場企業は監査を受けることが義務付けられているため、公認会計士は無くてはならない存在といえるのです。
公認会計士は、クライアントの監査業務を行う監査法人で働くのが一般的ではありますが、財務や会計に関する専門的な知識を有しているため、他にも幅広い職種で活かすことができます。
それだけ転職先として選べる求人数も増えることになりますので、転職に有利といえるのです。具体的にどのような職種で活かせる資格なのか、次の章で詳しく解説します。
公認会計士が活かせる代表的な転職先として、以下の5つが挙げられます。
それぞれご紹介していきます。
監査法人は、クライアントからの依頼を受け監査業務を行うため、公認会計士との親和性が最も高い職種といえます。監査法人は大きく分けると、Big4監査法人・準大手監査法人・中小監査法人の3つに分類できます。それぞれの法人にメリットや特徴がありますので、解説していきます。
Big4監査法人は、PwC Japan有限責任監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツの四法人を指します。監査法人の80%以上のシェアをこの四法人が占めており、海外展開をする上場企業や外資系企業などの大規模のクライアントが多いのが特徴です。
そのため、専門的で幅広い業務に携われ、年収も高い傾向にあります。一方で、分業制で業務を行っているため、担当している業務以外を経験できないケースもあります。
準大手監査法人は、その名の通りBig4に準ずる規模の監査法人です。クライアントの規模感はBig4に劣るものの、一人当たりの責任範囲が広く、スキルを積みやすいでしょう。
また、Big4は残業が多くなる傾向にありますが、準大手はワークライフバランスが充実している面でも人気を集めています。
中小監査法人は準大手とまとめられることもありますが、クライアントの多くが中小企業や非上場企業である法人のことを指すことが一般的です。
海外に関わる企業の業務などを行わないため、経験できる業務の幅は相対的には狭くなります。一方で責任領域は広いため、Big4や準大手では成し得ないスピードで業務を習得できます。
公認会計士の活躍できる職場として、一般企業の管理部門が挙げられます。管理部門の中でも、連結決算や決算書作成に知識が活用できる経理職として配属されることが多いです。また、ベンチャー企業などではCFO(最高財務責任者)のポジションに転職できることもあります。
クライアントのためではなく、所属する企業のために業務を提供することができることに魅力を感じ、一般企業で働く公認会計士も増えています。
税理士法人も公認会計士の有力な転職先の一つです。
税理士法人の仕事は監査法人の仕事と親和性が高いので、公認会計士として転職してもすぐに仕事に馴染むことができます。監査法人と併せて業務経験を積んでおけば、「企業の数字まわりのゼネラリスト」としてスキルの幅を広げることができるでしょう。
また、公認会計士は税理士試験を受けることなく税理士登録が可能なので、税理士の独占業務である税務相談などを請け負うこともできるのも強みです。
コンサルティングファームと言っても業種は多岐に渡りますが、その中でも公認会計士の知識が活かせるのがFAS系コンサルティングファームです。FAS系コンサルティングファームは、主に企業同士のM&Aをサポートする職種です。
クライアント企業の財務の健全性を測る際などに、公認会計士のスキルを活かせますが、かなり激務になる傾向にあります。ただ、他の職種に比べても高年収が実現できます。
金融機関は、金融スキルや戦略思考を高めていきたい方に向いている転職先です。中でもPEファンドや投資銀行などが、代表的な転職先として挙げられます。
PEファンドは、プライベイトエクイティーファンドの略で、ある企業を買収して価値を高めた後にその企業を売却することで利益を得るビジネスモデルです。
投資銀行はPEに比べるとより財務会計、ファイナンスの知識が伴います。公認会計士との親和性が高いと言えます。投資先として最適か、投資先をどうしたら伸ばせるのか?などと言った正しい金融の知識と戦略思考が必要な仕事と言えます。
厚生労働省によれば、令和5年(2023年)の公認会計士の平均年収は約746万円です。これは日本の平均年収である461万円に比べると、約300万円ほど高いことになります。
このように年収が高い理由として、やはり前述した「有利な理由」と同じく、資格保有者の希少価値の高さや、監査の重要性などが挙げられます。
ただし同じ公認会計士でも、どのような職場で働くのか、どの程度の経験を積んできたのか、また勤務地によっても年収差は生まれてくるため、この平均年収はあくまで相場と捉えておくべきでしょう。極端な例にはなりますが、年収300万円の会計士もいれば、年収3,000万円の会計士もいるのが現実です。
そんな公認会計士の年収が決まる要素と、実際どの程度の年収が見込めるのかという点については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、併せてご覧ください。
先ほどの章で、公認会計士の主な転職先についてご紹介しましたが、どこかで働くのではなく、独立し経営者として事務所などを開業するという選択肢も考えることができます。
独立した場合、自身の経営力次第で事務所の売上が決まることになります。そのため年収は安定しておらず、うまく仕事を得られなければ1ヶ月全く稼げないというケースも考えられます。逆に高い売上をあげることができれば、勤務する会計士よりも高い年収が実現しやすくなります。
公認会計士の独立については、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
監査法人などでは専門的な仕事をするイメージが強いため、公認会計士の資格があっても実務経験が無いと転職できないのでは、と考える方も多いようです。
ただ、基本的に上述した公認会計士の代表的な転職先のいずれも資格があれば未経験からの転職は可能です。特に監査法人では公認会計士保有者が不足しており、経験関わらず公認会計士の採用が積極化しているのです。
とはいえ採用側にとっては、経験者に比べて未経験者には教育のコストやリソースがかかるため、その採用枠は少ない傾向にあります。
そんな中で関わってくる要素の一つが年齢です。年齢と転職のしやすさの相関性について、次の章で詳しく解説していきます。
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年齢による採用の可否について、求人に明確に記載されていることはあまり無いものの、実質的には選考に関わる一つの要素にはなっています。各年代ごとにどのような市場感なのか、解説していきます。
20代は、経験の有無に関わらず転職に成功しやすいです。
その理由として、20代は多くの企業でポテンシャル採用されやすいことがあります。ポテンシャル採用とは、応募者のこれまでのキャリアや実績よりも、これからの活躍が期待できる潜在能力の有無を重視する採用手法です。この手法において、公認会計士を持っている方は実務に関する知識を最大限有していると判断されるため、有利といえるのです。
また、公認会計士試験合格者の平均年齢が20代中盤であり、20代で転職する公認会計士が多いことも、採用されやすい理由の一つといえるでしょう。
そんな20代会計士の合否を分けやすいのは、「その会社で長く働いてくれる人かどうか」という点です。一定の教育コストをかけたのにすぐに辞めてしまう方を採用してしまうのを防ぎ、長期的に就業してほしいと考える企業がほとんどだからです。
そのため、面接においてしっかりとその企業で働きたいという意思をアピールすることが重要になってきます。
30代は、20代に比べると採用枠は減ってしまいます。ただし、実務経験の有無が重視される業界でもあるため、数年の実務経験者でも転職できる可能性はかなり高いといえます。
一方で未経験の場合は、30代の中でも35歳以上だと採用されにくくなってしまいます。これは、30代後半になると実務経験者の割合が大きくなってくることが影響してきます。
そんな30代会計士は、これまでのキャリアの棚卸をしておくことが転職成功へのポイントです。これは監査法人などで会計士としてのキャリアを歩んできた方だけでなく、未経験の方でも重要です。
30代になると、ある程度の社会人経験があることが一般的です。そんな中で、未経験であっても何かしらアピールできるポイントが無いかを見ておく必要があります。
例えば、マネジメントの経験や簿記2級程度の知識で対応可能な範囲の経理経験でも、未経験者の中では一歩リードできるアピールポイントになり得るのです。
40代以上になると実務経験は基本的に必須となってきます。ただし、以前はこの年代だとマネージャークラス以上の採用がメインだったものの、直近はスタッフやシニアスタッフ層の採用が増えてきています。
そのため、今の環境や年収に満足していない、もしくは業務スキルの幅を広げたいという会計士の方は、年齢を気にすることなく、積極的に転職活動をしてみるのもよいでしょう。直近、経験者については年齢よりもスキルや経験の程度を重視して採用する傾向が強いため、30代と同じくキャリアの棚卸をどこまでできているかが、転職成功のポイントになってきます。
ここでは、公認会計士を募集している求人にはどんなものがあるのか、当社ヒュープロで掲載している求人をご紹介していきます。
公認会計士を持っていれば転職では有利であるものの、どこで働くかによって年収や働き方も変わってきます。また、ご紹介したように年代などの要素によって採用されにくいケースもあります。
そんな中で希望の求人への転職を確実に成功させるためにオススメなのが、転職エージェントを活用することです。転職は人生においてそう多くないものであり、なかなか自身で正解を見つけることは簡単ではないので、転職のプロに丸投げするのが成功への近道といえます。
そんな公認会計士を活かした転職なら、ぜひ士業・管理部門特化の転職エージェントであるヒュープロにご相談ください。業界に特化しており業界最大級の求人数を保有していますので、ご希望に合った求人が見つかりやすいでしょう。
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まずはご相談から、お待ちしております!
本編の最後に、公認会計士やその転職についてご登録者様からよく頂く質問に回答します!
それぞれ関連記事も紹介してますので、詳しくはそれぞれの記事でご確認ください。
残念ながら、公認会計士試験に合格しても、ただちに公認会計士になれるわけではありません。
試験合格に加えて、3年間の実務経験および修了考査という試験にも合格しなくてはなりません。これらを満たした上で登録手続きを済ませると、正式に公認会計士になることができます。
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経験年数で言うと、3~5年目が転職のベストタイミングであるとされています。様々な職場でのキャリアを経験したいという方もいらっしゃるかもしれませんが、3~5年目、年齢だと35歳までにその後のキャリアを見据えた転職をしておくのがよいでしょう。
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これから資格取得を目指すという方の中には、公認会計士と税理士のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。
どちらにも強みがあるため、一概にどちらかをオススメすることはできませんが、資格を活かした仕事ややりがいなどを比較して、どちらに向いているかを判断するのが最善です。以下の記事でそれぞれに向いている人の特徴を比較していますので、併せてご覧ください。
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近年、AIなどの進歩により人の仕事が奪われてしまうかもしれないという懸念の声は大きくなっており、公認会計士の仕事にもそのような意見が上がっています。
現実をお話しすると、「一部の業務は奪われるが、本質的な業務は奪われない」というのが結論となります。そのため、将来的にも必要とされ続ける職業であることは変わりません。
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最強かどうかは人それぞれの判断にはなるものの、実際に「転職において最強の資格」との呼び声は高いです。その理由としては、やはり高い年収が実現できることや、幅広い職種での需要があることがあります。
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今回は、公認会計士の転職について解説しました。
公認会計士は、転職において非常に有利といえますが、働ける職場の選択肢が多いだけに理想の職場はどこなのか、自分自身では見つけにくいこともあり得ます。ぜひ転職エージェントの当社ヒュープロをご活用いただき、スムーズに転職を成功させていただけばと存じます。
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