「支払調書」という書類をご存知でしょうか?支払調書は報酬を支払った際に発行する書類で、源泉徴収票と同じ法定調書の一種です。また、源泉徴収票との違いを明確に把握できていない場合もよくあります。今回は、そんな支払調書が必要な場合とその書き方、源泉徴収票との違いなどについて解説します。
そもそも支払調書が何かよくわからないという方は下記のコラムでご確認ください。
国税庁のWEBサイトには、全てのフォーマットの支払調書が掲載されています。2019年5月から元号が令和になっていますので、平成のまま使い続けている方は、フォーマットの切り替えが必要です。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を例にとって説明しましょう。
※国税庁フォーマットはこちら:([手続名]報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表))
書き方の中で最も注意が必要なのは、マイナンバーの扱いです。税務署に提出する原本については、マイナンバーの記載が必要ですが、個人情報の取り扱い上、支払調書の控を支払先へ返送する場合は記載してはいけません。もし控えを作成する場合は気を付けましょう。
支払調書については、支払先への発行義務はありません(近年では、Amazonが支払調書の送付を停止してちょっとしたニュースになりました)が、控えの送付を長年の慣習としている企業が多いため、支払先から控えを求められる場合があります。
支払調書と間違えやすいもとに「源泉徴収票」があります。
年間を通して受け取った報酬と支払われた源泉徴収税額が記載されているという支払調書ですが、この内容だけ見ると、企業勤めの方が受け取る源泉徴収票と何が異なるのか?という疑問が生じます。
実は、支払調書というのは、その発行者である源泉徴収義務者の企業が、税務署に提出する義務がありますが、報酬を受け取った側に対して発行する義務がありません。報酬を受け取った側は、自身の帳簿を確認し、受取金額と源泉徴収額を正しく申告すれば、支払調書については源泉徴収票とは異なり添付義務がないのが一番大きな違いです。
事業者がフリーランスなどの個人事業主に報酬を支払ったときに提出が必要になるのは「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」で、会社員などの給与所得者が勤め先から年末に受け取る書類が「源泉徴収票」です。「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「源泉徴収票」のどちらも所得税法に規定するものに分類されています。下記では「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」について解説していきます。
税務署への申告の際に必須の支払調書。いざ作るとなった場合に「書き方がわからない!」とならないように、事前に知識を踏まえて勉強しておきましょう。