財務を目指すにあたって、どれくらいの年収がもらえるのかは気になるところでしょう。そこでこの記事では、財務の年収相場を役職別・年代別などで詳しく解説します!年収帯に応じて求められるスキルや財務からのキャリアパスについても併せてご紹介しています。財務のキャリアに悩まれている方は是非ご相談ください!
年収相場について解説する前に、財務の業務内容や、経理・会計との違いについて紹介します。
財務とは、企業や組織の予算管理や資金繰り・資金調達などを行う仕事のことです。
企業の経営ビジョンに基づいて長期的な財務戦略を策定します。
その財務戦略に基づいて収支を管理し、不足分は資金調達や株式・社債発行、コスト削減などで補填・対応し、余剰分は適切に投資・運用・管理します。
会社の財政状態を的確に把握し、打ち手を考えて実行していく仕事のため、会社にとって非常に重要な役割となります。
同じく企業や組織のお金を扱う仕事として、財務以外に会計や経理があります。混在しがちですが、役割は明確に分かれています。
項目 | 財務 | 会計 | 経理 |
---|---|---|---|
役割 | 資金の調達・運用 | 数値の記録・分析 | 日々のお金の処理 |
目的 | 会社の資金計画・管理 | 財務状況の見える化 | 正確な会計処理 |
主な業務 | 資金調達、投資、予算管理 | 財務諸表の作成、業績分析 | 仕訳入力、請求書処理、決算 |
時間軸 | 未来志向(資金計画) | 過去・現在の記録と分析 | 現在の取引処理 |
関係する資料 | 資金繰り表、投資計画書 | 財務諸表、損益計算書 | 伝票、請求書、領収書 |
関係者 | 経営者、投資家、金融機関 | 経営者、株主、税務当局 | 社員、取引先、税理士 |
簡単に言うと、経理が日々のお金を記録し、会計がそれを分析・報告し、財務が資金をどう動かすかを考えるという役割分担です。
企業・組織の規模感やフェーズに応じて、財務に求められるスキルセットは異なります。
日々の収支管理や会計知識を求められる企業もあれば、M&Aの財務分析・価格や条件交渉などを求められる企業や、資金調達に特化していることを求められる企業もあります。
自身の将来的なキャリアパスと現状の保有スキルを照らして、どの企業でどの経験を取りに行くべきか明確化させておくと、キャリア迷子にならないかもしれません。
財務は、冒頭に記載の通り、キャッシュフロー(お金の流れ)が正しく理解できなくてはなりません。
企業や組織の資産や負債、利益の状況を把握するためには、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)を大前提として読むことができないと話になりません。
会社の財務状況を理解し、適切な経営判断をしていく必要がありますので、知識のインプットは必要不可欠です。
貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)を読むことができるだけでなく、分析能力がなくてはなりません。
財務分析には、収益性・安全性・成長性などがあり、どれも経営判断に必要です。
企業の利益を評価します。代表指標は下記です。
企業の支払い能力を評価します。代表指標は下記です。
企業が持続的に成長しているかを評価します。代表指標は下記です。
資金調達を成功させるためには、金融機関や投資家と交渉し、適切な条件で資金を得ることが重要なため、財務には高い折衝能力が求められます。
金融機関との交渉(借入(デッド))
より良い融資条件を引き出す必要があります。財務が折衝する上でのポイントは下記です。
投資家(VCやエンジェル投資家)との交渉(出資(エクイティ))
企業価値を適正に伝え、「投資したい」と思わせる必要があります。財務が折衝する上でのポイントは下記です
財務は、予算目標に対しての実績を比較・分析し、その差異の原因を分析したり、経営層にレポーティングする必要があります。
日々、売上・原価・利益などの進捗をモニタリングして実績把握ができていなければ、何か問題が発生していても気づくことが遅れ、資金繰り悪化に繋がります。
特に、経営において原価(コスト)は非常に怖い存在で、売上が増えても原価が増えれば利益は増えません。人件費の増加、材料費の高騰、物流などの中間コストの上昇など、すぐに察知して対処する必要があります。企業の利益最大化のために、固定費・変動費の管理はもちろん、コスト削減の戦略立案・実行できる能力が必要です。
役職や求められるスキル・こなす業務量によって、財務職の年収は大きく変わってきます。
企業の規模感やフェーズによっても変動しますので、一基準としてご覧ください。
財務業務は、大きく「上流(戦略・計画)」と「下流(実務・管理)」に分かれ、上流は経営戦略に関わる意思決定、下流は日々の資金管理などの実務になります。
年収300~500万円レンジでは、補助・管理業務などがメインとなりますが、年収600万円レンジからは、戦略立案・調達業務・内部統制などの業務が入ってきます。
・基礎的な会計知識(簿記2級レベル以上)
・財務諸表の読解力
・Excel / スプレッドシートの基本操作(関数、ピボットテーブル)
・経費管理や入出金管理
・コミュニケーション能力(社内外のやり取り)
・日々のキャッシュフロー管理
・仕訳入力、帳簿管理
・売掛・買掛金の管理
・請求書・経費精算の処理
・月次・年次決算のサポート
・予算策定の補助
・銀行との折衝(簡単な手続きレベル)
・管理会計の基礎知識
・財務分析・KPI管理
・金融機関との折衝経験
・資金繰りの計画立案
・業務改善・効率化のスキル
・エクセルでのデータ分析スキル(VBA・BIツールの活用ができると強み)
・資金繰り計画の策定・実行
・銀行・金融機関との交渉
・月次・年次決算の主担当
・予実管理・差異分析
・コスト削減・業務効率化の提案
・資金調達の補助
・税務対応のサポート
・事業計画の策定サポート
・事業戦略と財務の連携力
・資金調達の実務経験
・銀行や投資家との交渉力
・税務・法務の知識
・M&A・投資案件の経験
・チームマネジメント能力
・資本政策の立案
・金融機関・投資家対応
・資金調達(銀行借入、社債、エクイティ)
・予算管理の高度化
・財務戦略の策定
・M&Aや投資案件の検討・実行
・税務・監査対応
・財務部門のマネジメント
・財務戦略の立案と実行
・経営レベルでの意思決定スキル
・グローバルな財務・会計の知識
・IPO・M&Aの主導経験
・ファイナンス全般の深い理解
・投資家・ステークホルダー対応
・経営戦略と連動した財務戦略の策定
・資本市場での資金調達戦略
・M&A・IPOの実行責任
・企業価値向上のための財務施策
・投資家・株主とのコミュニケーション
・グループ全体の財務ガバナンス
・リスクマネジメントの統括
年代 | 20代 | 30代 |
---|---|---|
平均年収 | 448万円 | 605万円 |
男性 | 459万円 | 655万円 |
女性 | 434万円 | 443万円 |
20代の場合の平均年収は、女性より男性の方がやや高めとなっています。30代の場合の平均年収は、男性の方がかなり高くなっています。
財務職に限らずですが、男性の方が管理職に就く割合が高いということが年収差の一因となっているようです。
女性はライフイベントのためにキャリアの中断や時短勤務などがあるため、30代の場合の平均年収差が広がってしまう傾向があります。
年収500万円以上では、メンバー・リーダークラスの求人が目立ちます。経理経験があり、財務にチャレンジしたいというポテンシャル採用の求人もございます。求人例は下記です。
年収700万円以上となると、財務・経理ともにマネージャーや次長・課長クラスの求人となってきます。求人例は下記です。
年収1000万円以上となると、財務経理部長候補・経営管理部長候補・CFO候補の求人となってきます。求人例は下記です。
財務のキャリアパスは様々です。一例にはなりますが、下記にて、適正理由・主な業務・キャリアパスの観点から解説します。
適性理由 | 転職せずに上を目指していくパターンになります。企業の財務業務を統括し、資金管理や資金調達を担うポジションです。財務オペレーションのマネジメント経験が活かせます。 |
主な業務 | 資金繰り管理・資金調達(銀行交渉、投資家対応) 予算策定・予実管理 経営陣への財務レポーティング 財務部門のマネジメント 財務リスク管理(為替リスク・金利リスクの管理) |
キャリアパス例 | 財務担当者 → 財務課長 → 財務部長(財務責任者) → CFO |
適性理由 | 転職せずに上を目指していくパターンになります。財務戦略の責任者として、経営レベルの意思決定に関わるルートです。財務の知識に加え、経営全般の理解やリーダーシップが求められます。 |
主な業務 | 資金調達戦略(銀行借入、社債発行、IPO準備) 企業の財務戦略・経営計画の策定 M&Aや投資戦略の決定 企業価値最大化のための資本政策の立案 ステークホルダー(株主・投資家・金融機関)対応 |
キャリアパス例 | 財務担当者 → 財務マネージャー → 財務部長 → CFO |
適性理由 | 財務の知識を活かし、企業の成長戦略や事業計画の策定に関わります。財務だけでなく、事業全体を俯瞰する力が求められる仕事です。 |
主な業務 | 事業戦略・中期経営計画の策定 予算策定・KPI管理 M&Aや投資案件の検討・実行 業務プロセスの改善・コスト管理 経営陣の意思決定サポート |
キャリアパス例 | 財務担当者 → 経営企画部門 → 経営企画マネージャー → CFO |
適性理由 | 企業の財務課題を解決する専門家として、資金調達や財務戦略のアドバイスを提供する仕事です。多くの企業の財務状況に関われるため、専門性を深めたい人に適しています。 |
主な業務 | 企業の財務戦略の立案・改善提案 資金調達支援(銀行交渉、ベンチャーキャピタル対応) M&Aにおける財務デューデリジェンス(DD) IPO準備・上場支援 財務モデリング・シナリオ分析 |
キャリアパス例 | 財務担当者 → コンサルティングファーム → シニアコンサルタント → パートナー |
適性理由 | 税務・会計の専門家として、企業の財務戦略を支援する仕事です。財務や経理の知識に加え、税務申告・節税対策のスキルが求められます。 |
主な業務 | 企業の税務申告・税務アドバイス 節税対策の提案 M&Aにおける税務デューデリジェンス 税務調査対応 |
キャリアパス例 | 財務担当者 → 税理士資格取得 → 税理士事務所開業 |
適性理由 | 財務・会計の監査・コンサルティングを行う専門職です。会計・財務業務での知見を生かしながら資格取得の後に公認会計士として活躍できます。 |
主な業務 | 企業の財務監査・会計監査 M&Aの財務デューデリジェンス IPO支援(上場準備・内部統制の強化) 企業の会計・財務コンサルティング |
キャリアパス例 | 財務担当者 → 公認会計士資格取得 → 監査法人 / 会計事務所 |
財務関連の職業は、営業などとは違い、他社や同業者との接点などが多くはないため、「自身の現状の市場価値がどの程度なのか」や、「将来どのように上げていくべきか」などと悩まれやすい仕事だと感じます。
財務としてキャリアを積んでいきたいが、その上でまず、自身の年齢や業務内容に対して、現在の年収や報酬が見合っているのか確認したい・相談したいという際は、バックオフィス特化型エージェントである当社ヒュープロへ是非ご相談ください。