経理はどの企業にも無くてはならない仕事であり、働きやすい環境であるというイメージから、「経理に転職して後悔した」という声が聞かれることを意外に思われる方も多いかもしれません。そこで本記事では、そのような方から聞かれる後悔の理由や、そもそも後悔しないためにすべきことなどについて解説します。
「内勤のデスクワークがしたい」「手に職をつけたい」といった方を中心に、経理は人気の高い仕事です。そんな経理に転職して後悔したと感じる理由から見ていきましょう。
弊社では、経理職への転職のサポートを多数させていただいておりますので、そういった方からのお声の中で多いものをご紹介します。
経理はルーティンワークが主体です。毎日行う日次業務、毎月行う月次業務、毎年行う年次業務に大別されますが、いずれも原則として「同じことを繰り返す」ことになります。これは経験のない人から見ればとっつきやすい仕事に感じるかもしれませんが、いざやってみると単調で飽きてしまうことがあります。
主に、これまで営業などの仕事をしていた方は前職とのを特に感じやすく、適性とのアンマッチに後悔することがあるようです。
売上に直接貢献している営業部などを直接部門と呼ぶのに対し、経理や労務・法務などのことを間接部門と呼ぶことがあります。
ノルマの達成具合や売上数字などの目に見える成果が見えにくい間接部門は、仕事の成果を評価しづらいともいえます。もちろん、間接部門の重要さを認識して評価体制を構築している企業も増えているものの、評価に納得いってない経理担当者も一定数いらっしゃるのが実情です。
評価は給与査定を左右しますので、評価が低いと満足のいく給与ももらいにくくなります。前職よりも年収が低くなってしまい、なかなか昇給しない場合などは、後悔の要因になるようです。
経理の仕事を漠然とイメージしていた方の中には、「デスクワークで楽な仕事」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?確かにご紹介したようなルーティンワークが基本ではあるものの、そのうちの年次業務が決算期の前後に集中するため、その時期の業務量はかなり多くなります。
この時期を繁忙期と呼びますが、繁忙期の残業時間は他の月に比べると多くなり、場合によっては休日出勤が発生することもあります。このような働き方にギャップを感じ、後悔することもあります。
また、すでに簿記を取得している場合などでは、経理の仕事に簡単に慣れることができると考えているかもしれません。もちろん簿記の知識は経理に活かすことはできますが、申告書作成や監査対応など上流工程に行けば行くほど、より高度な知識が必要になってきます。
そうでなくても様々なルールや法律の改正に対応するため、絶えず勉強が必要な職種です。そのような特性に気づかず、働いた後に後悔することになり得るのです。
また、デスクワークのイメージから極力コミュニケーションをしたくないという人が経理を目指すこともあるでしょう。
ただ、経理では詳細が分からないお金の流れやクライアントへの請求に関して営業部に確認することでコミュニケーションが発生するだけでなく、重要な経営方針に関わるお金の流れに関して経営陣とのやり取りが発生することも多いです。
もちろん後悔せずに経理としてやりがいを持って働く人も多いものの、後悔しないために転職前にいくつかのポイントを押さえておきましょう。
上記で後悔している方の多くの根本原因が、経理という仕事のイメージと実態の齟齬によるものです。つまり転職前に仕事のリアルを把握していれば、向き・不向きが分かったでしょう。そのため以下の記事をご参照いただき、そもそも経理に向いているのかについて理解することが大切です。
上記を確認した上で経理を目指したいということであれば、後悔しない転職先からの内定を勝ち取るために以下のような点に注意して準備しておきましょう。
自分を高めようとするのは立派な心がけですが、話を盛ってしまうのはよくありません。特に、それが業務経験ならなおさらです。
中途採用を行う企業の多くは、早いタイミングでの「即戦力化」を期待しているとはいえ、いくら転職したい企業であったとしても、自分にできないことをできると言ってしまっては、入社して実際に業務に携わったときに取り返しがつかないのです。
経歴詐称については軽微なものでも問題となります。入社後に発覚した場合は、社内での信頼を失うだけでなく、その後の転職活動にも響くでしょう。
資格や職務経験などについて、これからの意欲を語るのはありですが、実際にやっていないことを語らないようにすることが大切です。
特に未経験の場合は、経験が無いことを熱意でカバーして内定を目指す必要があります。ただし転職活動は、内定をもらったらそれで終了ではありません。経験不足でも採用がもらえたのは、これから前向きに取り組むという意欲を買われたのであり、積極的に勉強して会社の業務をこなしてくれるだろうと期待されてのことです。
「未経験だから会社が親身に教えてくれるだろう」と指示待ちにならず、担当する業務内容や必要となる知識をくわしく聞いておき、入社前から勉強を始めておきましょう!
経理の知識を習得できる資格や求められるスキルについては、後述します。
残念ながら、転職の動機の多くが「今の環境から抜け出したい」なのが現実です。ただ、例えば忙しすぎて辞めたら今度は年収がかなり低くなってしまい、年収は高いが忙しい企業に再度転職…とどんどん転職歴が増えてしまうリスクがあります。
本当に「今の環境から抜け出す」ことができればそれでいいのか、長く働くつもりの職場に何を求めるのか、転職活動を始める前に明確にしておく必要があります。
より確実かつ効率的に転職活動をするのであれば、転職エージェントの活用がオススメです。特に経に特化した転職エージェントである当社ヒュープロは、書類添削や面接対策はもちろん、キャリア構築のアドバイスなどを業界特化ならではの視点でさせて頂いております。
是非、以下よりご登録いただき、活用いただければと存じます。
先述した通り、未経験からの経理の転職ではどの程度の知識や活かせるスキルがあるかが成功のカギになってきます。
経理への転職でプラス評価になりやすい資格には、以下が挙げられます。
とはいえ税理士や公認会計士はかなり難易度の高い資格であり、転職活動前に取ろうとしても数年かかってしまうことが一般的です。
そのため、資格を全く持っていない場合は日商簿記2級の取得がオススメです。多くの経理求人が必須資格としており、経理として働くにあたっての知識をアピールするのに十分な資格だからです。
他の転職希望者と大きな差をつけるなら税理士や公認会計士をめざすべきですが、最低限日商簿記2級を持っていれば無難です。
また、経理への転職で評価されるスキルは以下の通りです。
PCスキルやコミュニケーション能力については、評価されるというよりはほぼマストで必要になってくるスキルといえます。
全ての企業で活かせるとはいえないものの、英語力はプラスの評価に繋がりやすいです。特に海外子会社を持つ企業や、外資系企業の経理などで、活かしやすいです。
実際の経理の仕事とイメージのギャップが無いよう、上記のような転職前のアクションも重要ですが、転職後の行動についても後悔しないために意識すべきポイントといえます。
そんな転職後もやっておくべきポイントの一つとして、仕事にやりがいを持つことが挙げられます。
ルーティンワークであることや、売上に直接関与しないことなどから、経理の仕事にやりがいを持ちづらいという人は少なくありません。そうなってしまうと、どうしても経理への転職を後悔することに繋がりやすくなります。
そのため、ルーティンワークの中でも着実にスキルアップしていることでの成長実感や、売上を上げなくても組織に貢献している実感を持つことで、プラスの感情で業務に取り組みやすくなるでしょう。
また、経理のキャリアを積んでいくことで、CFOなどといった経営陣へのキャリアアップも目指せます。単調にも思える仕事でも、スキルを積んでいけば裁量を持ったポジションを掴めるかもしれないと考えることで、モチベーションを保ちやすいでしょう。
「後悔」を感じることもある経理への転職ですが、メリットも多い職種といえます。ここでは、そんな経理に転職するメリットについて紹介します。
未経験から経理のキャリアを始めたとしても、ある程度経験を積むと経営判断に必要な資料を作成したり、財務的観点で上層部と関わりを持つ機会も増えてきます。
たとえば、多くの企業では、出世コースにかならず経理部門が含まれます。経理を経験して、会社のお金の流れに精通しているからこそ、会社の舵取りに関われるという判断に基づくものです。
つまり、経理としてキャリアを積んでいけば、経理を越えた業務にも携わるチャンスがあるということなのです。
経理で身につく知識は専門性が高いため、他の職種ではなかなか習得できません。また、そんな経理の知識があると会社のお金の流れや財務状況の把握ができるので、経営判断や会社の状態まで俯瞰的に見ることができるようになります。
より日常に近い部分では、自分の資金状況や今後かかる費用の試算など、お金に関する様々な場面で経理の知識が生きるのです。
このように、他では習得しにくい一方で非常に実用的な知識を身につけることができるのも、大きなメリットといえるでしょう。
経理に転職した後、どのようなキャリアプランを歩むかを考えた際に、そのキャリアの選択肢が多いのも魅力の一つです。
もちろん働いている企業でキャリアアップを図るというのも手ですが、上場企業などの経理に転職したり、税理士や公認会計士を目指して税理士事務所や監査法人などへの転職を目指すというのもよいでしょう。
いずれの転職においても経理業務の経験はプラス評価に働きやすいため、いわゆる「手に職をつけた」状態になりやすいのもメリットといえます。
今回は経理への転職で後悔する理由とその対策を中心に解説しました。ご留意いただきたいのは、経理は後悔をするマイナス面ばかりの仕事というわけではないことです。やりがいを持って経理の仕事に取り組む方も多いですし、CFOをはじめとした経営陣へのキャリアアップも可能な職種なのです。
ただし、やはり仕事の特性と働く志向性のアンマッチはどの仕事でも起こり得ます。経理はどのような仕事をするのかを正確に把握した上で、経理への転職を目指しましょう。