監査法人から事業会社へ転身を図るため、事業会社の経理職を検討する人も少なくないはずです。また、事業会社未経験でも採用担当者はどのように判断するのでしょうか?今回は事業会社の経理職について紹介します。
監査法人から事業会社への経理へキャリアチェンジをする場合、以下のような変化が主に想定されます。
■監査法人
①高給(給与水準高め)
②業務量の多さ、多忙
③外部の人間としてクライアントの数値に携わる
■事業会社の経理
①監査法人に比べると給与水準は劣る
②福利厚生、ワークライフバランスの充実(定時で帰りやすくなる)
③企業内部の人間として自分事として企業の数値に携わる(自身で手も動かす)
監査法人から事業会社の経理職へ、事業会社未経験でも転職する場合、②を目的とした場合が多い現状があります。一方で、大企業やIPO準備企業での経理・財務における管理職ポジションであれば、①の給与水準を高いままで転職することも可能です。
監査法人時代はあくまで外部の人間としてクライアントの会計業務に携わりますが、事業会社で勤務する場合には、会社の一社員として、経理・財務の数値に向き合わなければなりません。社内の様々な部署や関係者とも連携し、数値管理から伝票作成等の地道な手を動かす作業まで、一連で行わなければならないこともあります。
財務諸表を自身で一から作成したり、経理・財務といった会計分野だけでなく、事業計画策定等の経営企画業務に携わることや税務に関われることもあります。
監査法人での業務と比べると、業務内容の幅は各段に拡がります。
株主や取引先等、様々なステークホルダーに対し、IR情報の発信を行う役割もあります。この業務は遠くに専門性が高く、企業の売上や負債等の資本力に関するため、公認会計士への期待・活躍のチャンスは高いです。
また、公認会計士の場合、税務の知識も習得しているため、税務業務をお願いされることも可能性として高いです。税務に関する実務経験がない場合でも、税務の実務を任される可能性もあります。それは、公認会計士という能力の高さを期待しての表れです。
任された場合には、マイナスに捉えるのではなく、経理も税務もできる公認会計士としてキャリアステップを着実なものにしていくと前向きに捉えでチャレンジすると、その後の市場価値が他の公認会計士と比して飛躍する可能性は十分にあります。
監査法人から未経験である事業会社へチャレンジすることはかなりチャレンジングなことです。しかし、未経験ながらでも公認会計士としてのスキルと監査法人での経験を欲する企業は多数あります。
年収や条件面等で全てと折り合いがつくわけではないですが、最近では大企業だけでなく、スタートアップや上場を目指すメガベンチャー、IPO準備企業等、資金力を携えた企業達が公認会計士の即戦力を求める風潮が出ています。
幹部や管理職としてオファーを受け、事業計画等にも携わり経験を重ねていくことで、アドバイザーとして独立する道もありますし。その他、自ら起業し、新な会計サービス・会計事業へ移る方もおられます。
「公認会計士+監査法人+事業会社未経験」だからといって、著しいコミュニケーション力の低さ等がない限り、むしろ公認会計士は事業会社から求められる、幅広く活躍できる可能性のある職業です。
事業会社が実務経理・会計部門を募集する背景には、高度化する会計実務を整えるために急ピッチで動かなければならない、という実情があります。
しかし、前述のような人材(経理・財務・会計のスペシャリスト)は転職市場ではまだ少ないのが現実です。そのため、会計実務を早く整えたい企業にとっては、1日も早い解決の期待が持てるのが公認会計士です。
ではどんなポジション、仕事内容の募集求人があるのか。
以下が求人をみたときのポジション例となります。
・経理、財務
・経営企画
・M&A
・IPO責任者
・CFO候補
・管理部長候補
上記をみてみると、監査法人と比べて業務の幅が広い傾向があります。
公認会計士は会社の会計・財務の数値を扱うという、人間の体でいえば心臓や血管をつかさどる役割を持っています。「監査法人+事業会社での経験」がつくだけで、転職当初はいち社員でしかなかった人が、自身の専門性を活かし、経営企画や幹部候補になることも不可能ではありません。
「事業会社未経験でも大丈夫なのか」と不安になる公認会計士の方々、改めてニーズのあることを理解した上で、よりご自身のスキルアップ・キャリアアップの意味で事業会社へ飛び込んでいくのはキャリアパスとしてかなりオススメです。
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