税理士は、難関国家試験の税理士試験に合格している「税」の専門家であり、税理士事務所や税理士法人をはじめとした様々な職場でニーズが高くなっています。今回は、そんな税理士が転職で実現可能な年収や、年齢と転職難易度の相関関係など、転職活動をするにあたって知っておくべきポイントを、網羅的に徹底解説します。
はじめに、2024年最新の公認会計士の転職事情についてご紹介します。
そもそも公認会計士とは何者なのでしょうか?
一言で説明すると、経理や会計の業務を行う国家資格を取得した人のことを指します。
公認会計士になるためには公認会計士試験の合格が必要ですが、その難易度は非常に高いです。合格には2,500~3,500時間の勉強が必要とされており、2~3年程度かかるのが一般的です。
公認会計士を取得した人は、監査法人をはじめとした様々な職場で働いているほか、自身で公認会計士事務所などを開業するという選択肢もあります。公認会計士の具体的なキャリアパスについては、後ほど詳しく解説します。
【公認会計士試験の勉強にかかる期間について】
公認会計士試験は短答式試験と論文式試験に分かれていて、短答式は年2回、論文式は年1回実施されています。どちらも合格して初めて公認会計士試験の合格者となりますが、難易度の高さもあり合格者もかなり少ない傾向にあります。
一方で、公認会計士登録者の数は増加傾向にあり、2024年10月時点で36,677名いらっしゃいます。公認会計士に定年があるわけではないため、今後も登録者は増えていくと予測されます。
そのため、ただ公認会計士資格を持っているだけでは必ず活躍できるとは言えなくなってきており、プラスアルファのスキルが求められることもあるのが、直近のトレンドです。公認会計士に加えたアピールポイントを持っておくことが、転職成功のカギとなるケースも増えているのです。
もちろん、公認会計士の社会的ニーズは非常に高いため、引き続き転職活動で非常に有利となることは間違いないでしょう。
公認会計士のニーズが高い理由として、有資格者しか担当できない独占業務の存在が挙げられます。公認会計士の独占業務にあたる監査は、会計が適正に行われているかなどをチェックし、公開されている財務情報の信頼性を保証する役割があります。
この監査を受けることを、資本金が5億円以上または負債金額が200億円以上の企業は義務付けられているため、ニーズが高いと言えるのです。公認会計士の就業先として代表的な監査法人は、そのような企業からの依頼を受けて外部監査を行いますが、他にも一般企業でその会社の監査を行うなどの形で、様々な職場での需要があります。具体的なキャリアパスについて、次の章で解説します。
【公認会計士の仕事内容について】
それでは、公認会計士の具体的な転職先について見ていきましょう。
監査法人とは公認会計士法に基づき、会計監査を行う法人のことです。
公認会計士の約9割ほどが監査法人で働いていると言われており、最も代表的な就職先と言えます。試験合格後に実務を積むために監査法人に就職し、そのままそこでキャリアを積んでいく方も多いようです。
クライアントの企業の監査業務などが主な業務内容で、試験勉強の際に習得した知識を最も活かせる職場なのが、人気の理由です。
企業の財務諸表作成や税務申告が主な仕事で、税制や会計基準が複雑化するのに対応し、企業の財務健全性を維持するためのアドバイスを提供します。また企業によっては自社で監査を行う内部監査を実施する場合があります。内部監査の場合は、公認会計士でなくても対応できるものの、非常に専門的な業務なので公認会計士が実施することが一般的です。
FAS系コンサルティングファームは、企業のM&A(買収や合併)のサポートを行う企業です。監査自体を行うわけではありませんが、M&A業界においても会計や監査の専門的な知識を必要とする業務も多く、ニーズが高いといえます。
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公認会計士は税理士試験の全科目が免除されますので、税理士として登録し、税理士法人や会計事務所でも活躍することができます。税理士の知識を活かしてクライアントからの税務相談に対するコンサルティング業務を行いながら、公認会計士として会計監査の面で問題が無いかのチェックも行えるため、ダブルライセンス保持者として唯一無二の活躍をすることができるのです。
銀行や証券会社、保険会社といった金融機関での公認会計士の役割は、監査業務だけでなく、リスク管理や内部統制の強化、または新規事業への財務戦略のアドバイザリーなど多岐にわたります。
【公認会計士のキャリアパスについて】
企業や事務所に所属せず、公認会計士として独立するというプランもあります。公認会計士事務所として開業し、監査業務を請け負ったり、税理士としての登録して税務コンサルを行うのがよくある独立のケースです。公認会計士の独立について、詳しくは以下の関連記事にてご紹介しております。
【税理士の独立について】
厚生労働省のHPによると令和5年(2023年)の公認会計士の平均年収は約746万円で、日本の平均年収である461万円に比べると、約300万円ほど高くなっております。
これはあくまで平均年収であり、独立開業して間もなかったり、既に定年を迎え正規雇用ではない方も含まれます。もちろん、高年収の基準ともいえる1,000万円も狙うことができます。公認会計士の転職について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
【公認会計士の年収について】
公認会計士の転職先の選択肢は多岐に渡るとご紹介しましたが、その中から希望の転職先を選ぶ方法について、解説します。
上述の通り、公認会計士の年収は高い傾向にありますが、特に平均年収が高い職場としては、FAS系コンサルティングファームや金融機関が挙げられます。また監査法人の中でもBIG4をはじめとした大手の法人であれば、高年収になりやすいでしょう。
また、安定性が低くなりますが、独立開業をすることで企業に所属して働くよりも圧倒的に高い年収を稼ぐことも可能です。全く収入が無くなってしまうケースがあるものの、3,000万円などの超高年収を実現したければ、いずれは独立することを目指すのがオススメです。
結婚や出産などの一過性のライフイベントのための休みを取りやすい環境で働きたい、子育てや介護のためにリモートワークやフレックス制度を活用したい、など理由でワークライフバランスを重視した働き方をしたい場合は、一般企業の管理職で働くことがオススメです。
一般企業では内部監査や監査対応のために公認会計士のポジションを用意している企業は、比較的規模感が大きく、働き方の選択肢や福利厚生などが充実している可能性が高いででしょう。もちろん、それらの制度は公認会計士にも適用されます。
業界に関わらず、「転職は35歳まで」などのウワサを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、公認会計士の転職に年齢の上限は無く、実際に50代の転職成功例もあります。
ただし、公認会計士の転職において年齢との相関があるのが、実務経験やスキルの程度です。年齢が上がっていくにつれて、より多くの経験やスキルが求められることになります。そのため、公認会計士の資格は持っているものの経験やスキルに自信が無いという方については、早めに転職をする決断をすべきです。
特に未経験の場合は資格の優位性があるとはいえ、20代もしくは30代のうちに転職に踏み切らないと、成功の確率が大きく落ちてしまいますので、ある程度年齢も意識して転職を考えなくてはならないのです。
公認会計士の市場価値は高いため、ある程度有利に転職活動を進めることができるでしょう。ただし、応募先への転職を目指す方の中には、同じく公認会計士を持っている方が応募を検討している可能性が高いです。その場合、公認会計士資格を持っているというだけでは、簡単に内定を勝ち取れないかもしれません。
よりスムーズに、かつ効率的な転職活動にするためには、転職エージェントの活用が欠かせないでしょう。
転職を検討するにあたって自分で求人を探そうとすると、求人サイトで検索する、もしくは各社HPの採用ページで希望とマッチしているかを確認するなどの手段が一般的です。これらのやり方には二点の課題があります。
一つ目はマッチした応募先を見つけるのに時間と手間がかなりかかってしまうこと、二つ目は求人に知りたい情報が全て記載されているとは限らないことです。このような課題によって、企業情報を調べるのに多くの時間を割かなければならなかったり、ミスマッチな求人に応募してしまうリスクが発生してしまうのです。
このような課題やリスクを解消するのが、転職エージェントの利用です。転職エージェントでは、担当者に希望条件を伝えることで、求人票には書き切れないリアルな情報も踏まえたミスマッチの少ない求人をご紹介しています。
それだけでなく、面接の日程調整や内定前後のフェーズでの年収交渉など、心身ともに負担がかかる部分も対応してくれるので、精神的な余裕を持ちながら転職活動をしたいという方にもオススメです。
また、多くの転職希望者のキャリア支援実績がある転職エージェントは、最適なキャリアプランの提案もしてくれますので、まだ転職活動の具体的なイメージがついていないという方にも、最適なアドバイスを提供してくれるでしょう。
転職エージェントには、大きく分けて総合型と業界特化型がありますが、公認会計士を活かした転職がしたいのであれば、業界に特化したエージェントの利用がオススメです。
業界特化のエージェントは総合型に比べれば全体の求人数は少ないかもしれませんが、業界内の求人数については引けを取りません。また、業界に特化していることで、より深い企業の情報や業界の採用トレンドなどを把握していますので、転職希望者にとっては、より正確で質の高い情報を得ることができます。
当社ヒュープロは、士業・管理部門特化の転職エージェントです。公認会計士資格を活かせる求人を多くお取り扱いしています。それだけでなく、各ご登録者を担当させていただく専任キャリアアドバイザーより、書類添削や選考段階ごとでの面接対策を実施しており、それぞれ高い満足度を頂いております。初めてのご相談からご入社に至るまで、全て無料でご利用いただけますので、是非ご活用いただければと存じます。
本編の最後として、当社ヒュープロで転職のご支援をさせていただく公認会計士の方からの、よくある質問についてまとめました。
これまで全く会計に関わる仕事をしていなかった方の転職も可能ですし、例えば監査法人からコンサルティングファームへの転職といった未経験の職種へのキャリアチェンジも可能です。
ただし、先述したように年齢との兼ね合いも出てきますので、繰り返しにはなりますが、早めの転職がオススメです。
結論、学歴はあまり関係ありません。企業は、学習スキルや地頭の良さの判断軸として学歴を気にすることがありますが、公認会計士資格は学歴を優に超えたスキルを持っていると証明できるからです。
また、そもそも学歴を採用の判断要素に入れている企業は、近年あまり多くはありません。学歴に関係なく、自信を持って転職活動を進めていきましょう。
USCPAは米国公認会計士とも呼ばれる資格で、よく日本の公認会計士と比較されることがあります。USCPAの方が難易度は低いものの、ダブルライセンスにより、国際会計基準の理解ができていることのアピールができるため、国際会計などを取り扱う職場などでは有利になりやすいといえます。
ただし日本において公認会計士とのダブルライセンスを目指すなら、税理士を取得した方が、業務に活用できる場面は多いでしょう。
極論、英語力が無くても公認会計士として活躍することはできます。ただ、英語力があると「プラスアルファのスキル」として他の会計士との差別化ができます。
特に外資系企業や海外子会社を持つ企業、およびそのような企業をクライアントに持つ企業では、英語力のある公認会計士のニーズは高く、今後そのニーズはより増していくと予測されています。
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今回は公認会計士の転職について、包括的に解説しました。
公認会計士の市場価値は高いため、キャリアパスは多く、有利な転職活動を進めることができます。ただし、スムーズかつ確実に転職を成功させるために、士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロを是非ご活用ください。