社労士は労務のプロフェッショナルとして重要な役割を果たす専門家ですが、キャリアを積むにあたっては、年齢が重要だと考えている方も多いのではないでしょうか?今回は、そんな社労士と年齢の関係性について、試験を受けるにあたって、そして社労士としてのキャリアを積むにあたって、それぞれの視点で解説します。
まずは社労士試験の合格を目指すにあたっての、年齢との関係性について見ていきましょう。社労士試験に挑戦する際、「何歳まで受験できるのか?」という疑問は、特に50~60代以上の多くの人が抱える問題でしょう。
結論から言えば、社労士試験に年齢制限はありません。そのため、理論上は何歳からでも試験に挑戦することが可能です。実際、第56回(2024年)社労士試験の最高齢合格者は81歳でした。過去の試験でも70~80代が最高齢であり、年齢に関係なく試験合格を目指せることが裏付けられているといえます。
2024年の社労士試験合格者の年代別の割合は以下の通りです。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト
過去10年の推移と合格者の年齢階層別・職業別・男女別割合
こちらをご覧いただいて分かるように、50代は19.2%、60代以上は7.6%を占めており、合算すると26.8%と4人に1人以上が50代以上となっています。その一方で、20代以下についても11.8%を占めており、若手のうちから合格を勝ち取る方も一定数いらっしゃることも見て取れます。
ただし、やはり資格取得によるスキルアップを目指す30~40代がメインである状況は、しばらく変わっていません。
同年の社労士試験において、合格者の最少年齢は20歳でした。社労士試験は、年齢の下限についても制限はないため、大学卒業前からでも受験資格を満たせば受験可能です。難易度が高いだけに、若いうちから合格しておくとキャリアの選択肢が広がり、企業内での昇進や独立開業の道が開かれます。
ここまでは社労士試験のルールや合格者の年齢の事実に基づいて話を進めていきましたが、合格後のキャリアを考えるのであれば、ご自身のスキルや実務経験も鑑みる必要があります。
転職における一般論として、年齢が若ければ若いほど転職しやすい傾向にあります。これは社労士においても同様です。例えば20代であれば、スキルや実務経験に関係なく、社労士資格を活かして職場内でのキャリアアップや転職に成功しやすいでしょう。
一方で、50代や60代で全く実務経験が無い状態で合格したとしても、社労士事務所などへの転職はなかなか難しい状況です。このように、実務経験と将来描きたいキャリアプランによっては、「実質的な年齢制限」がある場合もあります。特に、実務経験が全くない場合は30代までに資格取得をしておくのがよいでしょう。
ただし、転職せずに自身で独立開業するという手段もありますので、40代になったからと言って資格取得を諦めるのは尚早です。
20代から80代まで幅広い年齢層が受験する社労士試験ですが、社労士資格保有者の年齢についてはどうなっているのでしょうか?
結論から申し上げますと、社労士の仕事に定年はありません。スポーツ選手が体の衰えで引退したり、ドライバーが適切な判断ができなくなり免許を返納するのと違い、社労士業務は年齢に関係なく長く働き続けることができるのです。
もちろん、社労士事務所や労務職として勤める企業が定年を設定しているケースもあります。仮にそのような職場で働いていたとしても、定年が無い職場への転職は十分に可能ですし、独立開業すれば自分で定年の有無は設定できます。
体力的な負担が少なく、知識や経験を活かせる仕事であるため、年齢にとらわれずに生涯働ける職業と言えるでしょう。
2023年の社会保険労務士白書によると、社労士有資格者の年齢構成は以下の通りです。
数値が表示されていませんが、20代は0.4%、90代以上も0.4%存在しています。平均年齢は56.04歳と、30~40代が中心である試験合格者よりも高い年齢層ということになります。2023年時点では最年少が23歳、最年長が101歳となっており、幅広い年齢の社労士が活躍していることが分かります。一方で、試験合格者に比べて20代の割合が極端に少なく、社労士の高齢化や若手社労士の不足も浮き彫りになっています。
出典:社会保険労務士白書 2023 年版
社労士業界はいわゆる年功序列の職業ではないため、必ずしも年齢を重ねるにつれて給与がアップするわけではありません。ただし、経験を積めば積むほど任される業務が増えるという意味では、年齢が高い社労士ほど年収が高いケースが多いといえます。
社労士業界の年齢と収入の相関性が低い要因として、独立開業している社労士の存在があります。独立開業の社労士は、経営が安定しないため、全く稼げないことがある一方で、数千万円の高年収を実現できる可能性があります。この年収を左右する要素は、年齢や経験年数よりも集客力やマネジメント能力の有無です。これらの能力を持っている若手もいれば、持っていない中年層もいます。ですので、年齢と収入が相関しづらい、つまり若くても高年収を目指せる職業といえるのです。
先述したように、20代の社労士の割合は極端に低く、若手社労士の需要は非常に高まっています。社労士事務所の代表先生の高齢化が進んでいる中で、後を継げる社労士のなり手不足などが深刻な問題になっているからです。また、近年のIT化やDX化に対する知見を深められることからも、若手社労士のニーズが高まっています。
若手社労士が増加しない要因として、社労士に対して「年収がそこまで高くない」・「将来仕事が無くなってしまうかもしれない」といった、ネガティブなイメージが抱かれていることがあります。実際は取得するメリットがたくさんある資格であるものの、そのイメージの払しょくには至っていないといえます。
今回は社労士と年齢の関係性について解説しました。
社労士は年齢関係なく目指せる資格であり、定年を気にすることなく働ける一方で、キャリアアップに活かすのであればある程度若いうちから取得しておくのがよいでしょう。
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