社労士は社会的にも重要な役割を果たしているため、幅広い職場で活躍しています。その一方で、社労士業界で働いて後悔しているという声が聞かれることもあります。本記事では、どのような理由で後悔することが多いのか、そしてどのようにそれを解決していくかについて考えていきます。
まずは社労士事務所に転職して後悔したと感じる理由から見ていきましょう。
弊社では、社労士事務所への転職のサポートを多数させていただいておりますので、そういった方からのお声の中で多いものをご紹介します。
社労士事務所の特徴として、特定の期間に非常に忙しくなることがあり、その時期を繁忙期と呼びます。労働保険や社会保険の手続きが集中する年度末や決算期が繁忙期に該当し、この時期の業務量が想像以上だったという声は少なくありません。
繁忙期の業務が定時内に終わる社労士事務所は極めて稀であり、月60時間以上の残業や場合によっては休日出勤が求められる事務所もあります。
加えて社労士事務所の業務は、クライアント企業の労働者の権利を守るためのものが多いため、ミスが許されないプレッシャーが常にあります。
このような体力的・精神的な負担が大きい働き方に疲弊し、後悔することがあります。
社労士事務所の年収は、一般的に弁護士事務所や税理士事務所など、他の士業事務所と比べて低めといえます。さらに、社労士事務所の多くが従業員数10人未満の零細事務所です。零細事務所は新しいクライアントを増やしていくよりも、信頼の厚い既存のクライアントとの関係を保持することを優先する傾向にあります。そのため、事務所の売上が大きく上昇することは考えにくいため、それに伴う年収アップも見込みにくいといえます。
そのため、期待していたような年収に至らないために後悔する方も、一定数いらっしゃいます。
社労士事務所で行う仕事は、労働基準法や社会保険労務士法など、様々な法律に基づいています。これらの法律や制度は頻繁に改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップしていなければなりません。
法改正への対応は、時間と労力を必要とし、更新された知識を迅速に実務に反映させることが求められます。法律の改正に対応できないと、業務の適法性に影響を与える可能性があるものの、そのキャッチアップの大変さについていけないと感じることも少なくありません。
社労士業務は、労働者の権利保護や企業のリスク管理など重要な役割を担っていますが、実際の業務は細かい書類作成やデータ管理、手続きが中心です。特に、社会保険や労働保険の手続きでは、法に基づいた正確な処理が求められるため、ミスが許されない緻密な作業が続きます。こうした繊細な業務にストレスを感じることもあり、単調な作業が続くとモチベーションが下がることもあります。
このように転職で後悔する理由が様々ある社労士事務所への転職に失敗しないために、以下の四点を進めていくとよいでしょう。
転職は何かしら次の職場に求める条件があってするものです。ですので一番優先度の高い希望条件はそこまで考えるのが難しくないかもしれません。しかし、今の職場では当たり前だった環境が転職先に無い場合は少なからずあります。分かりやすい例ですと、リモート勤務をしていたのに転職先ではできないであったり、シフト制で柔軟に休みが取れたのに土日祝休みの固定でしか休めない、といったケースです。
ですので今の職場では実現できていない条件に加えて、今の職場にあり今後もあってほしい条件も洗い出しておく必要があります。ただし、それらすべてを叶えられる理想的な職場は少ないので、優先順位付けをした上で応募先を探していくのが良いでしょう。
失敗したと感じる理由のいずれも、事務所の実際の業務内容や給与体系を正確に把握していればギャップを感じることはなかったでしょう。ですので、業界や企業のことを事前にしっかり調べておくことが大切です。それらはもちろん一般に公開していない事務所があるかもしれませんので、面接で聞いたり、転職エージェントに相談することで、ギャップを埋めておくことをおすすめします。
社労士業界は、法律や制度に関する知識が必要であり、また緻密な作業が求められるため、こうした業務が自分に向いているかどうかを事前に分析することが重要です。社労士の業務は、労働者や企業と密接に関わり、社会的な意義がある反面、ストレスフルな部分も多いため、どの程度のプレッシャーや責任を受け入れることができるかを客観的に判断する必要があります。
そういったところも踏まえて、そもそも自分は社労士事務所に向いているのか、というところもきちんと把握しておかなければなりません。
ここまでお伝えした3点ですが、転職を検討している人が一人ですべて行うのはかなり時間がかかってしまうでしょう。特に働きながら転職活動をする方が多い中で、そのような時間を十分に取るというのは、あまり現実的ではありません。
ですので、転職エージェントを利用して効率的に転職活動を進めるのがオススメです。転職エージェントは優先度の順位付け業界や企業の研究などもすべてサポートすることができるだけでなく、書類添削や面接対策まで実施できます。
面接で理想とのギャップを埋めるための質問をするというのも実際にやるのは抵抗があると思いますが、そういった質問もエージェントが企業にできますので、時間的負担だけでなく、心理的負担も減らすことができるのです。
上述したように、社労士業界は法改正へのキャッチアップなどにあたって自己研鑽が欠かせないため、
ですので、ストイックに仕事に向き合っていくことがその後に失敗したと感じるリスクをなくすことにも繋がることになります。業務の中には専門性や難易度が高い業務が多いため、その習得を進めれば進めるほど自己成長もできますし、裁量を持って売上をあげるチャンスが増えます。
失敗したと感じてしまうのはどうしても個人の価値観や思考によることもありますので、転職してよかったと思えるためには転職後の行動も意識する必要があるのです。
「失敗した」と思われることもある社労士事務所への転職ですが、もちろんメリットも多い職場といえます。ここでは、社労士事務所に転職するメリットについて紹介します。
社労士事務所に転職することで、労働法や社会保険に関する専門知識を深めることができます。社労士の有資格者が資格を活かして働くだけでなく、資格が無い方も同様に専門知識を身に付けられるのが大きなメリットといえるでしょう。
さらに、クライアントのニーズに応じたアドバイスを提供することで、単に労務の知識やスキルが身に付くだけでなく、コンサルティングの能力も備えることができます。
社労士事務所では、企業の労務管理や人事労務に関する相談業務を通じて、クライアントとの信頼関係を構築することができます。長期的な関係を築くことで、クライアント企業の成長に貢献することができ、やりがいを感じられる仕事です。
社労士事務所での経験は、将来的に独立開業を目指すためのステップとしても有効です。社労士を取得することで、事務所で培ったノウハウや人脈を活かして、自分の事務所を開業する道もあります。独立は自ら顧客を獲得する必要があるものの、自分のペースで仕事を進められる、高年収を目指せるなどといった魅力のある働き方です。
今回は、社労士事務所への転職で後悔する理由やその対策について解説しました。業務量や年収の面での課題は無いとはいえないものの、やりがいも多い仕事ができる職場です。
人生の転換点となる転職において自己分析だけでなく応募先やその業界について深く知っておくことは入社後のギャップをなくすために大事なことです。それだけに、十分な時間を割けない方は、当社ヒュープロのような業界特化型の転職エージェントを活用して、後悔しない転職活動をしていきましょう。