公認会計士の転職には最適なタイミングと時期があります。これまでの経験やキャリアを踏まえて転職のタイミングを決め、今働いている監査法人の繁忙期と転職したい業界の求人数などを踏まえて転職活動の時期を見極める必要があります。今回はこのタイミングと時期について業界特化エージェントが徹底解説していきます。
公認会計士の転職におすすめのタイミングと時期は以下の通りです。その理由について以下で詳しく解説していきます。
公認会計士が転職するのに最適なタイミングは、勤務年数が3~5年目または35歳以下であるといえるでしょう。以下でその理由をキャリアと年齢、転職先に分けて詳しく解説していきます。
まずは、自身のキャリア・勤務年数から公認会計士の転職の最適なタイミングを見ていきましょう。
結論から申し上げますと、3~5年目が最も適切なタイミングであり、5~10年目でもニーズが高いといえます。詳しく勤務年数に分けて解説していきます。
転職時に望ましいと思う勤務年数 | 企業側 | 公認会計士側 |
---|---|---|
~3年 | 17% | 14% |
3~5年 | 49% | 29% |
5~10年 | 28% | 35% |
10年~ | 6% | 22% |
- | 100% | 100% |
出典:日本公認会計士協会 組織内会計士に関するアンケート報告
上記の表の通り、企業のニーズは3~5年目が最も高く、転職しやすいといえるでしょう。
監査法人で3~5年目の人材といえば、公認会計士試験に合格して実務経験・実務研修を終え、修了考査まで合格した段階であることが多いです。この段階の人は、修了考査の合格までは資格取得に対して理解のある監査法人で勤めながらある程度監査経験を積み、公認会計士登録まで終えたら、改めて転職活動をするケースであるといえます。
このように、監査でない次のキャリア展開を考えている公認会計士がこの時期に転職活動を行うため、キャリアに意欲的な人材であり且つ難関の国家資格を持った人材を獲得したい企業の中でもニーズが高まるタイミングとなります。
5~10年目になると、企業のニーズは若干下がりますが、転職を考える公認会計士が増えてくるタイミングになります。その理由としては、家庭などとの両立のためにワークライフバランスを重視して、監査ではない他の職場に転職を考える人が増加することが考えられます。
一方で、企業の採用ニーズとしては若干減少します。監査法人で5~10年の経験がある場合、監査業務だけでなく後輩の指導などのマネジメント経験も求められ、即戦力として活躍できるかが重要となってきます。まだまだ採用ニーズは高い年代ではありますが、このように、応募先の求める基準が上がる一方、転職したい人が増えて倍率も高くなるため、スムーズに転職するために徹底した対策が必要です。
上記の表の通り、経験年数が10年を超えると企業側の採用ニーズが一気に減少することがわかります。この理由としては、企業が求める基準よりもオーバースペックであること、また今後の伸びしろが期待できないということが考えられます。
監査法人においてマネージャーに昇格出来なさそうといった理由や、監査法人が激務だからといった理由でこの年代で転職を考えられる方は少なくありませんが、企業側の採用ニーズが下がるため秀でた経験がないと転職は非常に難しいといえるでしょう。
ここからは、自身の年齢からみる公認会計士の転職の最適なタイミングを考えていきます。
結論から申し上げますと、公認会計士は35歳までに転職するのがベストといえます。
以下の日本公認会計士協会が実施したアンケート調査によると、35歳までに転職する公認会計士が多く、また企業側も35歳以下を求めている傾向があるといえます。
一般的に転職における年齢のタイムリミットとして「35歳の壁」という言葉がありますが、公認会計士の転職においても当てはまるといえるでしょう。
転職時に望ましいと思う年齢 | 企業側 | 公認会計士側 |
---|---|---|
30歳以下 | 23% | 37% |
35歳以下 | 43% | 35% |
40歳以下 | 26% | 16% |
41歳以上 | 8% | 12% |
- | 100% | 100% |
出典:日本公認会計士協会 組織内会計士に関するアンケート報告
具体的な年齢と転職の関係を詳しく見ていきましょう。
若くて柔軟性のある第二新卒はもちろん、社会人経験が3~5年程度ある20代後半も即戦力として採用されやすいです。また上述の通り、最も公認会計士の転職市場で価値が高まる30代については、豊富な実務経験があるため好条件で転職することができるでしょう。ただ30代でも後半になると、管理職などマネジメント経験が問われる傾向がある点には注意が必要です。
ここでは、公認会計士の転職先からみる最適なタイミングを解説していきます。
今回は公認会計士の転職先として、一般事業会社、FAS、コンサルティングファームを取り上げます。公認会計士に人気の転職先については以下の記事でも解説しているのでぜひご参考にしてみてください。
《参照記事》
一般事業会社の規模にもよりますが、大手企業である場合には30歳前半までまたは、監査法人での経験が5年前後のタイミングで転職することをおススメします。
日本の大手企業においては、経験も重要ですが勤務年数が重視されることが多く、昇給ステップも年数に応じることが少なくありません。こうした組織体系の中では、監査経験のみをもつ公認会計士が活躍できる機会はなかなか少なく、実務経験に乏しいと評価される可能性が高いです。
そのため、大手企業で管理職になるなど昇給を目指す際には、現場で経験を積めるように30歳前半くらいまでに転職をするのがよいでしょう。
《参照記事》
公認会計士が監査法人からFASへ転職する場合、20~30代の間のできるだけ早めに転職活動を始めるのがよいでしょう。
FASとは、ファイナンシャル・アドバイザリーのことで、財務的な面から企業をサポートすることを指しますが、基本的に監査法人で行う監査業務はあまり活かすことができません。そのため、FASに転職する場合、ある程度は監査法人での年収や経験を考慮してくれますが、転職後に職位や年収が下がってしまうことも少なくありません。ですので、FASに転職する場合には、できるだけ早めに転職活動を始めるのがよいでしょう。
《参照記事》
戦略コンサルティングファームなどに転職する場合、20代などの早い段階で転職活動を始めるのがよいといえます。
FASと同じく、コンサルティングファームにおいても監査業務は評価につながりにくいため、監査業務だけではなく他のスキルや知識、経験を積むことが必要となります。監査法人においてコンサルティング業務を担当する部署で経験を積むことも可能ですが、早い段階で転職してコンサルティングの実績を積むことも重要です。
1年のうち、公認会計士が転職活動を始める最適な時期は、決算期前の2~3月、9~11月であるといえるでしょう。以下でその理由を転職先の繁忙期と求人数のピークに分けて詳しく解説していきます。
ここでは、上記で取り上げた公認会計士の転職先の繁忙期から最適な転職活動時期を解説していきます。
公認会計士に多い職場である監査法人と転職したい職場では繁忙期が全く異なる場合が少ないありません。転職先の繁忙期を把握し、採用活動が活発に行われる時期に転職活動を始めましょう。
監査法人では、クライアント企業が決算を迎える3月や9月付近が繁忙期ですが、一般事業会社の経理部門では決算前の時期だけでなく、月末や月初も繫忙期となります。事務処理が増える月次業務の時期も踏まえて、転職活動を始めることが重要です。
FASやコンサルティングファームにおいては、担当するクライアント企業によって繫忙期も異なりますが、一般的には経営の中長期的な戦略を決める決算期前数か月が忙しくなります。なお、M&Aなどのプロジェクトに関連した部署の場合は、案件単位で業務に関わるため、通常の繁忙期とは異なるスケジュールになる点に注意が必要です。
次に、求人数の多い時期から転職活動を行う最適な時期を考えていきます。
業界によって採用時期は異なるものの、一般的に求人数は2~3月、9~11月に増加する傾向があります。特に一般事業会社においては、2~3月が一番の採用シーズンとなり求人数も多くなります。
こうした求人数が多いタイミングで転職活動を行うことでより多くのチャンスを獲得することができるでしょう。
ここでは参考として、公認会計士が転職に向けて監査法人を退職すべき時期について、弊社が転職をご支援した公認会計士の方のケースから見ていきます。転職先のスケジュールや求人数が多い時期に転職活動を行うのも重要ですが、今後のキャリアを考えても退職の時期をしっかりと考えることが大切です。
内定が出て1~2か月ほどの最短で退職するケースが挙げられます。弊社が転職をご支援した方でも最も多く、その理由としては転職先との入社時期交渉をスムーズに進めるためということでした。
6月や12月にボーナスをもらってその月の末日に辞めるケースも多いです。ただ、所属している監査法人によってはボーナスの支給後に○○日間在籍しているなどの支給条件が定められている場合もあり、支給日直後に退職すると返還義務が生じる可能性もあるため注意が必要です。
クライアント企業の決算前である繁忙期に入る前に退職したいという方も多く、実際に3月末に退職される方もいらっしゃいます。しかし、公認会計士の資格を活かして活躍できる職場に前職の同僚が転職してくるという事例も少なくないため、転職後に気まずくならないためにも前もって退職を伝えておくことが重要です。
上述の通り、公認会計士が転職する際には35歳以下が最も採用ニーズが高い年齢だといえます。それ以降でも40歳以下であれば採用ニーズはあるといえますが、41歳以上になると企業の採用ニーズが激減するため、40歳までには転職すべきであるといえるでしょう。
ただ、40歳以降でも役員待遇での求人は増えますが、かなり限定的で難易度が高いといえます。
《参照記事》
公認会計士が転職のタイミングを考えるうえで重要なのは下記の3点です。
上述の通り、転職先の職場によって繁忙期や積極的に採用活動を行う時期は異なります。そのため、最初に転職したい職場を決めて、それを踏まえて転職のスケジュールを見極めることが重要です。
転職のタイミングを決めるうえで自身の市場価値を理解しておくことも重要です。求人数が多くても、すべての求人で自分のスキルを活かせるわけではありません。求人数が増えて積極的に採用活動が行われることで転職しやすくはなりますが、自分の経験やスキルなどを理解し、市場価値に適したものをしっかり見極めて応募することが大切です。
上述の通り、転職活動を行うタイミングだけでなく退職のタイミングも重要ですが、それは繁忙期やボーナスなどの理由だけではなく、業務の引き継ぎ期間を踏まえる必要があるからでもあります。現在働いている職場やクライアントに対しても迷惑がかからないように、業務の引き継ぎに必要な期間を踏まえて、余裕をもって転職スケジュールを組むことが大切です。
ここまで、公認会計士の転職のタイミングについて解説していきましたが、実際に転職活動を始めて内定をもらえるまでにどれくらいの期間がかかるのでしょうか?
個人で転職活動を行う場合、数ある公認会計士の転職先の中から応募する企業を選び、企業研究や選考対策を行うとなると、3か月以上の時間が必要です。さらに働きながらであることを考えると、さらに時間と労力が必要となるでしょう。
そこでオススメなのが、転職エージェントを利用して効率的に転職活動を進める方法です。
就職・転職活動にあたって、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。そこで活用すべきなのが人材エージェントです。希望の条件やご自身の経歴などを伝えることで効率的に求人を提供され、日程調整もエージェントが実施してくれます。また書類添削や面接対策といった選考準備に対しても、専任アドバイザーによるサポートが充実しています。
さらに業界特化型エージェントにおいては、金融機関や士業バックグランドを持つ人材の転職支援実績を多く有しているため、企業として一定の選考に係るナレッジや企業とのパイプラインを有しており、転職に関するリアルな情報提供が可能です。
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今回は、公認会計士が転職する際のおすすめのタイミングと時期について様々な観点から解説しました。効率よくライバルに差をつけて転職を成功させるためには、こうしたタイミングを踏まえたうえで適切なスケジュールを組むことが重要です。まずは自分がどのような経験を積んできて、今後どのようなキャリアを描きたいのかを明確にして、転職活動を始めていきましょう。