日商簿記1級を取得する前に、将来簿記1級を取得することで食いっぱぐれないのか気になると思います。
本記事では、そんな簿記1級の資格のリアルな就職・転職事情について解説していき、食いっぱぐれるのかについて明確にしていきます。
日商簿記1級は合格率10〜15%の難関資格です。そんな難関資格の簿記1級ですが、この資格だけでは食いっぱぐれてしまうといった意見が一定数存在します。まずは、そのような意見が上がる理由を解説していきます。
食いっぱぐれるという意見の中で独占業務がないことが多く挙げられます。同じ業界の資格で、税理士や公認会計士がありますが、これらの資格は監査や税理士の税務書類の作成のような独占業務が存在します。しかし、簿記1級は会計・経理などの知識があることが証明されるだけで、法的に規制された業務は存在しません。そのため、簿記1級の資格を取得した人が行える業務は、理論上誰でも行える業務なため、変わりが効くといった意味で食いっぱぐれるという意見が出てきているそうです。
会計の業界では、資格よりも実務経験の方が重視されます。そのため、未経験者の簿記1級所持者よりも、簿記3級で20年間実務を積んだ人であれば、後者の方が需要が高いです。というのも、企業側が会計や経理の人材が欲しい場合、即戦力になる人材が欲しいからです。そのため、簿記1級を取得したからといって、すぐに安泰になるかといわれるとそうではないため、食いっぱぐれるといった意見があるそうです。
簿記1級の取得者は食いっぱぐれるというイメージもあるそうですが、それらのイメージは実情と一致しているのでしょうか。就職や転職におけるリアルを解説していきます。
簿記1級は難関資格と認知されているため、就職・転職においてその知識と向上心は高く評価されています。大手企業の経理部門では、日商簿記1級レベルの知識や技能が求められますが、そのようなスキルを持った人材はかなり不足しています。そのため簿記1級のニーズが高いといえます。
また、簿記1級では、簿記に加えて工業簿記や原価計算の知識も求められます。そのため、予算作成や、経営分析、製造費用の管理、製品原価の決定など、企業の経営に関わる高度な業務のためのスキルを身につけている証明になるため、経理部だけでなく、財務やマーケティング、経営管理などの幅広い部門で活躍できます。このように独占業務はないものの、高い知識力からさまざまな企業での需要が高いです。
しかし、高い給料よりも、普通の給料で忙しくない選択肢を選ぶ場合、中小企業などに勤めることになると思いますが、その場合は簿記1級がオーバースペックとなってしまいます。簿記2級でも十分に転職や給与アップが狙えるので、ぜひ下のリンクから求人を探してみてください。
簿記1級はどの年齢で取得するのかが重要になってきます。未経験での転職を目指している場合は、一般的には30代前半までといわれています。特に企業の経理や会計事務所などは、業務が出来るのかを重視されるため、30代後半以降で資格を持っているだけでは採用が厳しい場合があります。このように、実務経験が重要視されるので、早めに簿記1級を取得し経験を積みましょう。
簿記1級を取得することでの主なメリットを紹介していきます。
簿記1級を取得することで、基本的に転職で困ることはないでしょう。簿記1級は極めて高度な会計知識を有し、経営管理や分析を行う能力を持ち合わせた会計に関するスペシャリストとして扱われるため、就職や転職に非常に有利です。経理職ではどの企業でも需要はありますし、工業簿記や原価計算の知識から、製品メーカーなどの製造業でも高く評価されています。また、貸借対照表や損益計算書などの読み取りながら企業課題を発見し、解決のための施策を提案するコンサルタント業でも活躍できます。
このように、簿記1級の資格を取得することで、知識や努力が証明され、たくさんの企業や業種で求められます。また、実際に転職する際には転職エージェントを活用することをオススメします。ヒュープロは、士業・管理部門に特化しているため、自身に合った企業をご提案させていただきます。希望の条件やご自身の経歴などを伝えることで効率的に求人を提供され、日程調整や面接対策も一緒に行うことでより転職のサポートをしています。気になる方はぜひ下のリンクから登録してみてください。
簿記1級を取得することで、高収入が実現できます。簿記1級の取得者の平均年収は約650万円といわれています。国税庁によると、日本全国の平均年収は458万円のため約200万円も多いとされています。その理由として、簿記1級の求人が大手や上場企業が多いからです。大手の経理で必要な知識は簿記2級では足りないため、簿記1級を持っている必要があります。ですが、合格率が約10%と難易度が高いため、取得している人が少なく、人材不足により大手に勤めることが可能で、年収アップに繋がります。
簿記1級を取得することでの実情を分かってきたかと思いますので、これらを踏まえたうえで、どのような人に向いているのかを紹介していきます。
年収アップさせたい人にオススメです。簿記1級の高度なスキルと知識を持つことによる価値を認めてくれる企業が多くあります。また、簿記1級ほどになると、資格手当がつくことも少なくありません。同じ企業に所属していても資格を取得するだけで年収が上がったりもします。
大手企業の経理部門では、高度な簿記の知識とスキルが求められるため、簿記1級の資格取得に必要な知識の会計処理や連結決算を踏まえて、企業の財務データを正確に分析することができ、適切に帳簿管理をすることができます。この業務は、簿記2級の知識では出来ない業務となっていて、明確に簿記1級を取得する理由となります。
税理士・公認会計士を目指す前段階として簿記1級を目指すのもよいでしょう。簿記1級を取らないと、税理士・公認会計士を受けられなくなるわけではないので、簿記1級を取得せずに、そのまま目指す人もいます。しかし、これらの士業はかなり難易度が高いため、何年間も勉強して、結局挫折するという方も多くいらっしゃいます。そのため、簿記や会計業務に適正なのかを図るためや、少しずつステップアップを目指すために、簿記1級を取得するという選択はよいと考えられます。
簿記1級を所有していても食いっぱぐれるのかについて解説してきました。実際は、簿記1級の需要は多くあり、食いっぱぐれることはありません。この業界では実務経験が多く優遇されるので、出来るだけ早めの資格取得を目指すのが良いでしょう。また、そういった意味では、簿記2級でも大いに活躍できます。簿記2級を持っている方は、転職をして積極的に経験値を積み、給料アップを目指していきましょう。