USCPAは米国公認会計士とも呼ばれている、会計系の資格の一つです。米国という名前がつくため、日本ではUSCPAの資格は活かしにくいのではないかと思われがちです。
そこで本記事では、実際USCPAの資格は日本でどのように活かせるのかについて、活かせる職場や年収も含めて解説します。
USCPAは米国公認会計士とも言われる通り、米国の会計士資格を指します。全米州政府会計委員会と各州政府会計委員会の支援のもと、米国公認会計士協会によって開発された資格です。
米国の資格ではありますが国際的に認知度は高く、日本でも受験・取得が可能です。ただし、日本で受験した場合でも試験問題は英語で出題されるため、会計分野の知識はもちろん、英語力も必要な試験となります。
USCPAは難関資格といわれています。先述の通り、会計知識だけでなく高度なビジネス英語のスキルが求められるのがその理由の1つです。
また、USCPAの試験に合格するための必要な勉強時間は1,000〜1,500時間といわれています。これは1日3〜4時間を1年間続けなければいけない計算となりますので、やはり難易度が高いという認識になるのでしょう。
USCPAの受験科目は4科目で、科目ごとの合格率は40%〜60%です。数字だけで見てみると少し簡単そうに映りますが、この合格率は英語を母国語とする受験者を含めた数字です。そのため、母国語が英語ではない日本人の合格率はもう少し低いと推測されます。また、受験資格に4年制大学卒業かつ会計・ビジネスの単位を一定数取得というのもあり、前提知識のある方が受験しているため、やはり合格率が高いからと言って簡単ではないのです。
日本の公認会計士とUSCPAの違いとして大きく以下の3つ挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
USCPAを難関資格とご紹介しましたが、日本の公認会計士資格はより取得難易度が高いです。公認会計士試験は日本の国家試験の中でもトップレベルの難易度とされており、2,500〜3,500時間の勉強が目安でありながら合格率は10%に満たないことがほとんどです。
また、試験も短答式と論文式の二つに分かれているため、合格までに2~3年かかることが一般的です。
USCPAは、米国に留まらず様々な国で活かせるのが魅力の一つです。資格の認知度が国際的に高いだけでなく、相互承認協定(MRA)を7か国と結んでいることがその理由です。この協定を結んでいる国では、USCPA保持者は現地の会計士の取得要件が大幅に緩和されるため、日本以外での活躍がしやすい資格といえるのです。
日本の公認会計士資格を取得すると、監査を行うことができます。監査は公認会計士にだけ認められている独占業務であり、無資格者が行うことはできません。
一方で、USCPAを所持していても監査を行うことはできず、別個に独占業務を有しているわけでもありません。また先述した相互承認協定も日本は参加していないため、日本でできる業務の幅は日本の公認会計士の方が広いということになります。
ここまでをお読みいただき、日本の公認会計士に比べるとUSCPA保持者は日本で活かしにくいと思う方もいらっしゃるでしょう。
ただUSCPA保持者は、日本で働くにあたっても十分に活躍できます。
その根拠として、実際に日本で活躍している人が多く存在することがあります。近年グローバル化が進んでいて、海外進出する日本企業が増加しています。そのような企業は、進出先の国の会計基準や国際会計基準(IFRS)に則った会計処理が必要になるため、国際的な会計知識のあるUSCPA保持者の需要が高いのです。
また、USCPAの試験科目の中にビジネス科目があります。そのため会計業務専門というわけではなく、財務や戦略的な視点を必要とするコンサルティングファームなどでも活躍することができます。
実際にUSCPAの資格を取得した後のオススメの就職・転職先を紹介します。
Big4監査法人は「有限責任あずさ監査法人(KPMG)」「EY新日本有限責任監査法人」「有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)」「PwC Japan有限責任監査法人」の4法人を指します。
Big4は海外にも系列の拠点があるだけでなく、クライアントに海外子会社を持っていたり国際的な取引をする大企業が多いことから、会計と英語の知識が認められているUSCPAの資格保持者が多く活躍しています。
また、Big4にはコンサルティングサービスの部門もあり、会計に関わるビジネスで使える英語力を身につけているUSCPA保持者は、その分野での活躍も期待されます。
FASとは「ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス」の略で、企業の経営層や会計・財務、法務に関するサポートをする会社を指します。FASの主な業務はM&Aですが、近年の日本企業のM&Aは、海外企業との取引が非常に増えてきています。このようなクロスボーダー案件に対応するには国際的な会計知識と英語力の両方が必要です。海外企業のバリエーションや経営状況を図るために、国際会計基準の理解が非常に役に立つため、USCPAの知識が役立つのです。
詳しくは以下の記事で紹介していますので、併せてご参照ください。
外資系企業の経理・財務系ポジションでの求人が多く、USCPAの認知度が高いため、有利に働きます。外国籍の同僚や上司、提携企業とやりとりする場面が多く、英語での会計業務が必須となりますが、USCPA保有者はそのような懸念点がなく、国際的な会計基準を理解しているため、就職・転職がしやすくなっています。
以下の記事でも詳しく紹介していますので併せてご参照ください。
上述した3つの職場別での年収相場は以下の通りです。
一般的な年収相場よりは高いですが、その職場内で見てみると、USCPAがあるからといって圧倒的に高い年収にはなりにくい傾向にあります。日本の公認会計士に比べるとUSCPAに資格手当を支給する企業が少ないことが影響していると考えられますが、国際的な会計知識や英語力を活かして年収アップを狙うことは十分に可能です。
日本国内において、USCPAの知名度は日本の公認会計士と比べて低いといえます。その知名度から、就職・転職でアピールできないと思われがちです。実際に世間一般的の知名度は低いのかも知れないですが、USCPA取得者が資格を活かせるような監査法人、会計事務所、税理士法人、コンサルティング会社などではもちろん認知されているため、就職・転職の面で困ることはないでしょう。
USCPAはよく日本の公認会計士と比べられることが多いです。日本国内では、日本の公認会計士しかできない会計業務があり、USCPAの資格では出来ないです。USCPAの資格にも独占業務はありますが、それは米国会計基準の業務となっています。そのため、日本企業では役に立たないなど言われるケースがありますが、資格を取得したときの知識が役に立つため、日本の公認会計士とは違う形で活躍できます。日本での独占業務ができないのは同じ公認会計士としてデメリットですが、知識自体に価値があるため、日本企業で役に立たないといったことは全くありません。
今回はUSCPAを活用して日本で働くことができるのかについて、解説しました。
ご紹介したような監査法人やコンサルティングファーム、外資系経理などでその知識は活用できることがお分かりいただけたのではないでしょうか?USCPAを取得した方もしくは合格を目指す方は、海外志向の方が多いかもしれませんが、日本でも十分に活用できるため幅広い視点でキャリアを歩むのがオススメです。
USCPAの資格を活かしての転職を考えている方は、転職エージェントを利用して効率的に転職活動を進めるのがオススメです。転職エージェントは求人のご案内や書類添削、面接対策などをサポートしてくれます。
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