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公認会計士の就職先はどこ?人気の就職先から就職の流れまで徹底解説!

HUPRO 編集部
公認会計士の就職先はどこ?人気の就職先から就職の流れまで徹底解説!

難関国家資格の一つである公認会計士。
その関門を突破した先の就職先として、監査法人をイメージされる方は多いですが、実は公認会計士試験合格者には様々な進路が用意されています。
今回は、公認会計士の就職先ごとのでの活躍の仕方や就職の流れについて徹底的に解説していきます。

公認会計士の就職先

公認会計士の主な就職先として、以下が挙げられます。

監査法人

公認会計士試験に合格した人の9割が就職するといわれているのが監査法人です。

監査法人とは、その名の通り、監査業務を主たる業務として行う法人を指し、公認会計士が5人以上在籍していることが設立の条件となります。

監査法人で行われる監査業務とは、企業の財務諸表や様々な事象について誤りや違法性がないことをチェックし、証明する業務のことです。この監査証明業務は公認会計士の独占業務であり、公正な立場で企業活動を監視する役割を担います。

監査法人の形態としては、Big4と呼ばれる4大監査法人(EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、あらた監査法人)から、中小監査法人など、様々な規模の監査法人が挙げられます。
大手の監査法人の中には、数千名の公認会計士が所属しているところもあり、その組織力の高さを活かして監査業務以外にもコンサルタントなどを行っていることもあります。

上述の通り、公認会計士試験に合格した人の大半が監査法人に就職する理由として、公認会計士登録に必要な実務経験を積むことができるという点が挙げられます。
公認会計士試験に合格後、3年間の実務経験を積むことが登録要件のうちの一つであり、具体的に「業務補助」と「実務従事」を経験する必要があります。
監査法人では、公認会計士の独占業務である監査証明を行っており、この「業務補助」と「実務従事」のどちらの要件も満たすことができるため、試験合格後に就職先として監査法人を選ぶ人が多いといえます。

監査法人については以下の記事で詳しく説明しているのでぜひご参考にしてみてください。
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税理士法人

公認会計士は税理士試験の全科目が免除されるため、税理士として登録して税理士事務所に就職するのも選択肢の一つです。

税理士法人とは、税理士が集まった、税務を専門的に行う組織のことで、業務内容としては、主に個人や企業の税務申告支援や税務コンサルティングが挙げられます。
公認会計士が税理士法人に所属して働く場合、監査は行わず税理士として会計や税務に対するコンサルティングなどを行います。

税理士法人の中には、少数精鋭で運営する法人から、監査法人のグループに属している大手法人まで、幅広い規模の法人があります。

税理士法人に就職することで、税法に関する知識を深めることができるため、会計知識と併せて税務戦略を立案する能力を身に着けることができます。
公認会計士の方の中でも、監査以外のスキルを身に着けたい方や、税務を中心に業務に携わりたい方におすすめの就職先です。

公認会計士事務所

公認会計士事務所では、企業や個人事業主を対象に、日常的な会計業務や財務諸表の作成、また税務申告などの業務を行います。
上述の通り、公認会計士は税理士としての登録も可能なため、公認会計士事務所に就職した公認会計士は、会計・税務どちらもの専門家として、幅広い知識を活かしてクライアントからの相談に寄り添うことができるため、唯一無二の活躍を実現することができます。
なお、公認会計士事務所ごとに、税務・監査どちらの業務を行うかは異なり、監査法人からの依頼をもとに監査業務をサポートするケースや、また税理士登録をして税務業務を中心に行う場合もあります。

会計事務所ごとにその規模は様々で、5人かの少数精鋭経営から、100人を超える大規模な事務所もあります。

また公認会計士の中でも、監査法人で経験を積んだ後、独立して公認会計士事務所を開業する人も多く、そうした将来的に独立を考えている方にお勧めの就職先です。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームとは、企業経営に関する幅広い問題に対して、提案・アドバイスを専門的に行う企業です。
コンサルティングファームの中でも、会計や人事、ITなど業務分野は幅広く、扱う案件や提供するサービスはファームごとに異なります。

その中でも、公認会計士は財務・会計に関する高度な専門知識を活かして、特に会計領域のコンサルティングで活躍することが多く、企業の経営改善やリスク管理、M&Aアドバイザリーなどの業務に携わります。
その中でも、特に財務やM&Aに特化したコンサルティングファームは「FAS(Financial Advisory Service)」と区別され、近年注目を集める就職先の一つです。

コンサルティングファームは他の就職先に比べて、かなりハードワークであることもありますが、給与水準も比較的高く、キャリアを進めていけば年収数千万円も実現することができるため、高い年収を重視する方にはおすすめの就職先です。

一般事業会社

上記の就職先以外にも、事業会社の管理部門や経理職において、企業内会計士として一般企業の中で会計士として働くのも一つの選択肢として挙げられます。

近年、会計実務が高度化し複雑になる中で、企業の財務健全性を維持するために、企業内に公認会計士を置く一般企業も増えてきています。

一般事業会社では、監査法人の業務と異なり、予算の管理や財務分析等も担うなど、企業の内側で会計を考えることが仕事であるため、企業の経営戦略に深く関わる業務に携わることが多いです。
企業の経営に携わりたい人や、幅広い事業内容から興味に合わせて選びたい人、また働き方を重視したい人にも人気の転職先です。

また民間企業だけでなく、金融機関や地方公共団体など官公庁で経理や財務を担当するケースもあります。

公認会計士の就職までの流れ

ここでは、監査法人への就職を例に公認会計士の就職スケジュールを説明していきます。

公認会計士として、上記の監査法人等に就職するためには、まず公認会計士試験に合格することが大前提として必要です。

公認会計士試験には短答式試験と論文式試験があり、およそ1年にわたり行われます。
その両方に合格した時、就職活動の幕が開けます。

論文式試験の合格発表は一般的には11月中旬であり、発表後に監査法人等へエントリーを進めていきます。
監査法人にエントリー後はおよそ1週間後に採用試験を受け、更にその1週間後に内定が出るといったスケジュールになります。

エントリーする監査法人の絞り込み 公認会計士の合否が出る前の夏の説明会でエントリーする監査法人をある程度絞り込んでおき、試験合格後スムーズな就職活動ができるようにしておきましょう。
監査法人にエントリー 説明会を受けて働きたいと思った監査法人にエントリーします。本エントリーの前にプレエントリーが必要な監査法人もありますので、必要に応じてプレエントリーをしましょう。
Web適性テスト受検 Web適性テストが採用フローに盛り込まれている場合は受検します。見繕った回答をすると不採用になることもあるので、ありのままで回答しましょう。
面接を受ける 対面もしくはオンラインで志望動機などの質問に回答します。面接のポイントについては後述します。
内定通知を受ける エントリーしてから2週間程度で試験が終わり、監査法人に求められる人材と判断された場合は、内定通知を受けます。
内定承諾をする 内定承諾期間が設けられているので、内定を受けた監査法人の中で自分が行きたいところへ、内定承諾を出しましょう。

就職先別公認会計士の年収

上述の通り、公認会計士が活躍できるフィールドは監査法人に限らず、様々な選択肢があり、また就職先により年収にも違いが生じます。

しかし、一般的にどの就職先においても公認会計士の年収は日本の平均年収より高い傾向にあります。

例えば、大手監査法人で働く場合は、法人の規模や勤続年数、スキルにより異なりますが、監査法人の役職ごとの平均的な年収は以下の通りです。

スタッフ(1~4年目)…約400~600万円
シニアスタッフ(5~8年目)…約700~800万円
マネージャー(9~14年目)…約800~1,000万円
パートナー(15年目~)…約1,500~2,500万円

中小監査法人であれば、大手監査法人より多少下がり、600~700万円が平均年収で、高くて800万円といったイメージになります。
コンサルティングファームについては、実力次第で年収1,000万円以上を実現できますが、成果主義を導入している企業が多いため、実力に応じて年収が上下する場合があります。
また、独立・開業をすることで、さらに高い年収を実現することができます。
自分で案件を取ってきて、経営も行わなければいけないという点で業務量や負担はかなり増えますが、その分年収ややりがいについては得られるものが大きいといえます。

公認会計士の年収についてもっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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公認会計士資格があっても就職できない場合はある?

公認会計士は合格率10%前後の難関国家資格にもかかわらず、就職できない資格といわれることがあります。

その理由として、過去にリーマンショックの影響を受けた監査法人で大規模なリストラが行われたため、公認会計士業界で就職難となっていた時期があったためです。

さらに、それよりも昔はバブル崩壊により超高倍率の状況に陥ったことや、また政策の一環として合格者を増やした結果、就職できない合格者が多くうまれたこともあります。

このような時期の「公認会計士は就職難である」というイメージが今でも根付いてしまっていることが、就職できない資格といわれる理由であるといえます。

公認会計士業界は景気や時代によって左右されることはあるものの、それはどこの業界においてもいえることです。

現在においては、公認会計士に対する需要と供給のバランスが安定している状態なので、公認会計士の就職難は解消されているといって良いでしょう。

公認会計士の就職に学歴は必要?

公認会計士が就職する際に学歴が影響することはあるのでしょうか?

結論から言うと、基本的には学歴は就職における必須条件ではないといえます。

公認会計士合格者の学歴別合格率を見ると、大卒または大学在学中の合格者が多数を占めますが、受験資格にも学歴が必要ないように、高卒の合格者もいます。
また、公認会計士資格を持っているだけで、かなりの学力があるとみなす監査法人や企業がほとんどであり、さらに最近では会計業界全体がこれまでの実務経験やキャリア、熱意を重視した採用活動を行っている傾向があります。
よって、学歴を問わず、公認会計士としての就職のチャンスは十分にあるものといえるでしょう。

ただし、一部では代表が難関大学OBで卒業生の採用を優先している場合などがありますが、ほぼ考慮しなくて問題ないでしょう。

就職先としてどこが人気?

公認会計士が就職先として検討するのは、やはりBig4監査法人と呼ばれる大手監査法人が多いです。

Big4監査法人とは、
EY(アーンスト・アンド・ヤング)
デロイトトーマツ(デロイトトウシュトーマツ)
KPMG(ケーピーエムジー)
PwC(プライスウォーターハウスクーパース)
の世界的に有名な4大監査法人を指し、国際的な監査、税務、アドバイザリーサービスを提供しています。

日本では、以下の4つの監査法人がそれぞれBIG4と提携関係があり、日本でBIG4といえば基本的には以下の監査法人を指します。

EY EY新日本有限責任監査法人
デロイトトーマツ 有限責任監査法人トーマツ
KPMG 有限責任あずさ監査法人
PwC PwCあらた有限責任監査法人

これらのBig4監査法人は、基本的に大手企業の監査業務を担当していますが、あずさ監査法人が電鉄会社のシェアが多く、監査法人トーマツが金融分野に強いといったように、それぞれの監査法人には得意分野や強い地域といった違いが見られます。

またそれぞれ監査以外の分野でも得意分野があるため、就職先を選ぶ際にはそれぞれの監査法人の強みや得意分野と自分の目指すキャリアとのマッチングを意識する必要があります。

就職後の公認会計士のキャリアの進め方

公認会計士のキャリアの進め方として、最初の段階では監査法人に就職して経験を積むことが基本戦略として挙げられます。

その後は、これまで積み上げてきた実務経験や将来描きたいキャリアプランに応じて転職先を決めることになるでしょう。

主な転職の選択肢としては、上述のコンサルティングファーム一般事業会社の経理職、会計事務所金融機関が挙げられます。さらにベンチャー・スタートアップ企業のCFOや、またファイナンスの知見をつけるという観点からM&Aに携わることができるFASなども検討することができ、様々な選択肢がある点が公認会計士のキャリアパスの最大の魅力であるといえます。

自分の実力に応じた評価を受けたいなどの希望がある場合は、コンサルティングファームや会計事務所に転職したり、また日常的なワークライフバランスを維持したい場合は一般事業会社への転職がおすすめです。

もし、監査法人の中で公認会計士として働き続けるのであれば、昇給を続けてパートナーを目指したり、また大手監査法人に異動することで年収アップを実現することもキャリアの進め方の一つです。

それぞれ今後のキャリア構築において実現したいことや、自分が転職先において何を望むのかにより、選ぶ選択肢は変わってきます。
公認会計士は自由にキャリアを形成しやすい職業のため、幅広い求人情報を得ながら、将来的なキャリアプランを選択していってください。

また、公認会計士のキャリアの進め方については以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参考にしてみてください。
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公認会計士として最高のスタートを切るために

公認会計士試験といえば、最難関試験の一つであり、簡単に合格できるものではありません。

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上述のように、公認会計士の合格者に対しては、監査法人はもちろん、コンサルティングファームや一般事業会社の経理など、常に求人が発生していますが、就職・転職活動にあたって、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。
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まとめ

公認会計士試験の合格者のキャリアとして、監査法人からスタートさせるのが一般的ですが、その他にも一般事業会社やコンサルティングファームなど様々な選択肢があることを解説してきました。

選んだ職場により、年収や働き方もそれぞれ変わってくるため、就職先を選ぶ際には事前の職場研究が重要だといえます。

このコラムが、測り知れない努力によって取得できた公認会計士の資格が最大限活かされる職場を見つける一助になっていれば幸いです。

この記事を書いたライター

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