令和7年(2025年)の公認会計士試験日程(予定)が公開されました。三大国家資格として名高い公認会計士試験の日程について、気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2025年の公認会計士試験の日程はもちろん、過去の合格率や合格後の流れ、今後のキャリアについても解説していきます。
公認会計士試験の短答式・論文式試験は、例年以下の通りの日程で行われます。
試験 | 願書受付期間 | 試験日程 | 合格発表 |
---|---|---|---|
第Ⅰ回短答式試験 | 8月下旬~9月中旬 | 12月上旬 | 翌年1月中旬 |
第Ⅱ回短答式試験 | 2月上旬~下旬 | 5月下旬 | 6月下旬 |
論文式試験 | - | 8月中旬~下旬(3日間) | 11月中旬 |
短答式試験は毎年12月・5月の年2回実施され、論文式試験は8月中旬に年1回実施されます。
令和6・7年(2024/2025年)の試験日・出願期限は、以下の通りです。
令和6年(2024年)の公認会計士試験については、論文式試験が8月に実施される予定です。
試験 | 願書受付期間 | 試験日程 | 合格発表 |
---|---|---|---|
第Ⅰ回短答式試験 | (インターネット出願) 令和5年8月25日~令和5年9月14日 (書面による出願) 令和5年8月25日~令和5年9月8日 |
令和5年12月10日 | 令和6年1月19日 |
第Ⅱ回短答式試験 | (インターネット出願) 令和6年2月5日~令和6年2月26日 (書面による出願) 令和6年2月5日~令和6年2月16日 |
令和6年5月26日 | 令和6年6月21日 |
論文式試験 | - | 令和6年8月16日~8月18日 | 令和6年11月15日(予定) |
翌年の令和7年(2025年)の公認会計士試験の実施スケジュール予定は以下の通りです。
試験 | 願書受付期間 | 試験日程 | 合格発表 |
---|---|---|---|
第Ⅰ回短答式試験 | (インターネット出願) 令和6年8月23日~令和6年9月12日 |
令和6年12月8日 | 令和7年1月17日 |
第Ⅱ回短答式試験 | (インターネット出願) 令和7年2月3日~令和7年2月25日 |
令和7年5月25日 | 令和7年6月20日 |
論文式試験 | - | 令和7年8月22日~8月24日 | 令和7年11月21日 |
※金融庁の公認会計士・監査審査会サイトより、開催日程を確認して記載しています。
公認会計士試験の出願について、短答式試験は試験日の約3か月半前から受験願書の受付が始まります。
ここで重要なのが、短答式試験免除で論文式試験のみ受験する場合も、第Ⅱ回の短答式試験に出願する必要があるということです。
この出願の際に、「短答式試験全科目免除」欄に、短答式試験に合格した年と合格通知書番号を入力しなければいけません。
論文式試験には受験願書の受付がありません。短答式試験合格者もしくは免除者に受験票が送付されますが、過去の短答式試験合格者が必ずしも論文式試験を受験するとは限らないため、便宜的に第Ⅱ回の短答式試験への出願という手順を踏む必要があります。
また願書の受付方法については、インターネット出願と、書面による出願の2つの方式があり、インターネット出願の方が受付期限が1週間ほど長くとられています。
短答式試験は、第Ⅰ回・第Ⅱ回ともに試験の約1ヶ月半後に合格発表が行われます。
また、第Ⅱ回短答式試験の約3ヶ月後に論文式試験が実施され、約3ヶ月後に合格発表が行われます。
試験場については、試験実施の約1か月前に公認会計士・監査審査会ウェブサイトで公表されます。
公認会計士試験は全国で行われるわけではなく、試験地が限られており、都道府県でいうと、東京都、大阪府、北海道、宮城県、愛知県、石川県、広島県、香川県、熊本県、福岡県、沖縄県、その他公認会計士・監査審査会の指定する場所で行われます。
なお、試験地を選択することはできますが、出願時に試験場を選択することはできません。
公認会計士試験には、基本的な問題を幅広く出題するマーク式の短答式試験と、思考力・応用力などを審査する記述式の論文式試験があります。
それぞれの試験科目は以下の通りです。
財務会計論、管理会計論、監査論、企業法
必須科目:会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法
選択科目:経営学、経済学、民法、統計学から1科目を選択
短答式は4科目に対して、論文式は9科目のうち必須科目5科目、選択科目1科目を受験する必要があります。
中でも、公認会計士は会計の資格であるため、試験においても会計が重要な科目となっております。
短答式試験においては、財務会計論が他の科目に比べ、試験時間も点数配分も2倍となっており、2時間200点と設定されています。
また論文式試験においても、会計学が300点を占めており、全体で会計学の配分が大きいため、会計学に対する戦略が欠かせないといえます。
また点数については、短答式試験は総点数の70%が基準点といわれています。しかし、1科目でも40%に満たないと不合格になる場合もあるため、まんべんなく点数を獲ることが重要です。
さらに短答式試験については、一度合格すると2年間の免除期間があり、論文試験から受験が可能です。そのほか、一定要件を満たすと科目の免除もあります。
論文式試験については、52%が基準点であるといわれています。
また、それぞれ科目合格制度もあり、試験に不合格の場合でも、一部科目合格制度により合格した論文科目については、以降2年間免除されます。
2年間の有効期間の間にすべての科目に合格すれば、公認会計士試験の合格となります。
次に、試験当日の時間割について紹介します。
こちらは、令和7年の予定はまだ出ていないため、令和6年の時間割を参考にしています。
試験 | 着席時刻 | 試験時間 | 試験科目 |
---|---|---|---|
第Ⅰ回短答式試験 | 9:10 11:10 13:40 15:40 |
9:30~10:30(60分) 11:30~12:30(60分) 14:00~15:00(60分) 16:00~18:00(120分) |
企業法 管理会計論 監査論 財務会計論 |
第Ⅱ回短答式試験 | 9:10 11:10 13:40 15:40 |
9:30~10:30(60分) 11:30~12:30(60分) 14:00~15:00(60分) 16:00~18:00(120分) |
企業法 管理会計論 監査論 財務会計論 |
論文式試験 | 10:10 14:10 10:10 14:10 10:10 14:10 |
10:30~12:30(120分) 14:30~16:30(120分) 10:30~12:30(120分) 14:30~17:30(180分) 10:30~12:30(120分) 14:30~16:30(120分) |
監査論 租税法 会計学 会計学 企業法 選択科目 |
公認会計士試験は、その難易度が大きな特徴であり、司法試験・医師国家試験と並ぶ三大国家資格といわれています。
その理由としては、科目数と勉強時間、合格率が挙げられます。
公認会計士試験は短答式と論文式両方に合格する必要があり、上述の通りそれぞれ科目数も多いです。短答式はマークシート方式ですが、論文式は筆記であるため、単に試験範囲を暗記すればいいというわけでもなく、基礎知識の理解と応用が求められます。
さらに、試験当日も短答式試験は1日に4科目、さらに論文式試験はそれぞれ午前と午後に1科目ずつ3日間行われ、かなりハードな試験であるといえます。
公認会計士試験・司法試験・医師国家試験を含む各資格取得に対する合格率と勉強時間は以下の通りです。
資格の種類 | 合格率 | 勉強時間 |
---|---|---|
公認会計士 | 7.7% | 4000時間 |
医師免許 | 91.7% | 5000時間 |
弁護士 | 45.5% | 6000~8000時間 |
簿記2級 | 20.9% | 300~400時間 |
税理士 | 19.5% | 3000~4000時間 |
合格までの平均勉強時間については、「約4000 時間」となります。
2年間かけて合格を目指すとなると、1日平均5時間程勉強をする必要があります。
上記表より、他の資格と比較しても合格率が非常に低く、また同じ会計の分野にかかわる税理士よりも難関であるといえます。
直近5年間の公認会計士試験の合格率について、以下でご紹介します。
令和元年 (2019年) |
令和2年 (2020年) |
令和3年 (2021年) |
令和4年 (2022年) |
令和5年 (2023年) |
|
---|---|---|---|---|---|
願書提出者数 | 12,532人 | 13,231人 | 14,192人 | 18,789人 | 20,317人 |
短答式試験受験者数 | 10,563人 | 11,598人 | 12,260人 | 16,701人 | 18,228人 |
短答式試験合格者数 | 1,806人 | 1,861人 | 2,060人 | 1,979人 | 2,103人 |
論文式試験受験者数 | 3,792人 | 3,719人 | 3,992人 | 4,067人 | 4,192人 |
最終合格者数 | 1,337人 | 1,335人 | 1,360人 | 1,456人 | 1,544人 |
合格率 | 10.7% | 10.1% | 9.6% | 7.7% | 7.6% |
受験者数と最終合格者数は毎年増加傾向にある一方、最終合格率は10%から7%と減少傾向となっています。
論文式試験については、34~36%というように安定した合格率で推移していますが、短答式試験については、第Ⅰ回・第Ⅱ回ともに減少傾向であり、それぞれ約5%と3%の減少がみられます。
こうした点から、近年の受験者増加傾向を踏まえて、以前に比べると短答式試験の難易度が高まっており、それに伴い最終合格率が減少傾向にあることが推察されます。
・関連記事:【公認会計士試験の難易度はどれくらい?最新データ含めて解説!】
また公認会計士の特徴として、受験資格の制限がない点も挙げることができます。
公認会計士試験は三大資格の中で唯一、受験に国籍や年齢などの条件がないため、だれでも受験することができます。
加えて、医学部やロースクールなど学歴の条件もないため、資格の専門学校へ通うほか、独学でも受験することが可能です。
・関連記事:【公認会計士試験に独学で合格するのは無謀?オススメの勉強法は?解説します!】
晴れて公認会計士試験に合格した後でも、すぐに公認会計士を名乗れるわけではありません。
公認会計士として登録するためには、実務経験と実務補習、修了考査の要件を満たす必要があり、以下のステップを踏むことが一般的です。
【短答式試験→論文式試験→就職活動→実務経験→実務補習・修了考査→登録】
論文式試験に合格後は、3年間の実務経験を積む必要があり、一般的には監査法人に就職して実務経験を身につけるケースが多いです。
監査法人への就職は、一般的に論文式試験合格者を対象にしており、採用スケジュールが一般企業とは異なります。
論文式試験の合格発表が11月中旬にあるため、近くから採用活動が始まり、2週間程度で内定者が決まります。
合格発表の当日から、説明会の予約やエントリーシートの提出が始まり、12月初旬には内定が出るケースが多く、短期決戦で集中的な就職活動が行われます。
監査法人などに就職した後に、3年間以上の実務経験を積む必要があります。
実務経験は、以下業務補助と実務従事の2つの手段にわけることができます。
業務補助とは、監査証明業務の補助を行い、公認会計士としての実践的かつ専門的な知識や技術を身につけることを指します。
この業務補助を修了するためには、基本的に1年に2つ以上の法人に対する監査証明業務の補助を行う必要があります。
実務従事とは、財務に関する監査、分析などの実務を行い、公認会計士としての独立した業務遂行能力を育成することを指します。
この実務従事の対象となる業務内容については、公認会計士法施行令第2条で具体的に挙げられていますが、これは一律で判断されるものではなく、法令で定められた業務を継続して行っていたかについて個別に判断されます。
またこれらの実務経験の時期については、公認会計士試験の前から積み始めることも可能ですが、多くの人は試験合格後に監査法人などで実務経験を積むことが一般的です。
論文式試験に合格後は、3年間の実務経験を積みながら、並行して修了考査に向けて3年間の実務補習を受ける必要があります。
実務補習とは、会計教育研修機構の実施する実務講習を受ける実務研修です。
修業年限の3年以内に規定単位を取得すると「修了考査」を受けることができます。
東京や東海、近畿、九州の補習所や支所で、会計・監査・税務・経営・法規などの講義を受け、また6回の課題研究や10回の考査にも臨む必要があります。
一般的には、監査法人に勤めながら実務補習機構に通い講習を受ける人が多く、通常の講義は平日夜間や土日日中に開かれるほか、加えて宿泊研修やeラーニング講義、ディスカッションにも取り組みます。
実務補習を終えると、日本公認会計士協会修了考査運営委員会が実施する修了考査を受験し、合格する必要があります。
試験科目としては、「監査」「会計」「税務」「経営・IT」「法規・職業倫理」の5科目があり、12月に2日間にわたって行われます。
修了考査の合格率に関して、令和5年度(2023年)の修了考査では76.4%、合格者数については1,495名で前年度を大きく上回る結果となっています。
修了考査に合格後、日本公認会計士協会に開業登録申請書を提出し、審査をパスすることで公認会計士名簿に登録されます。登録申請には必要な書類も多く、不備があるとさらに時間がかかってしまうので、入念に準備をして申請しましょう。
上述の通り、公認会計士登録には3年以上の実務経験を積む必要があり、一般的には監査法人に就職して実務経験を身につけるケースが多いです。そのため、公認会計士としてのキャリアを考えた際、就活での監査法人選びは非常に重要であるといえます。
しかし監査法人への就職は、論文式試験の合格発表に合わせて2~3週間と短く、短期間での就職活動が決め手になります。
短い就活期間の中で良いスタートダッシュをきめて、希望の監査法人に入所するために、人材エージェントを活用するのも一手です。
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短期決戦の就活になりますが、志望動機を固め、面接準備をしっかりと行い、良いスタートダッシュを決めましょう。
難関の国家試験をクリアした後も、実務経験や修了考査などの過程を経なければいけないため、公認会計士になる道のりはとても長いものだといえます。
しかし、合格者の市場価値は非常に高く、会計・監査の専門家として、監査法人以外にも様々な職場で働くことができ、資格取得の際に培った知識を活かして活躍することができます。
ここでは、公認会計士としての就職先を紹介します。
上述の通り、実務経験を積むことができる場所として、公認会計士としての約9割が監査法人に就職するといわれ、最も代表的な就職先といえます。公認会計士の専門業務である監査業務を中心に、会計分野における専門性の高い業務ができる職場です。
公認会計士は一般企業の管理部門で企業内会計士として働く選択肢もあります。
企業の財務諸表作成や税務申告が主な仕事で、税制や会計基準が複雑化するのに対応し、企業の財務健全性を維持するためのアドバイスを提供します。
働き方を重視したい人や幅広い事業内容から興味あるジャンルを選びたい人に人気の転職先です。
公認会計士は税理士試験の全科目が免除されるため、税理士としての登録も可能です。会計事務所に就職した公認会計士は、クライアントからの税務相談に対するコンサルティング業務を行いながら、会計監査の面で問題が無いかのチェックも行えるため、唯一無二の活躍をすることができるのです。
公認会計士は財務および会計に関する高度な専門知識を持っており、コンサルティングファームにおけるクライアントに対するアドバイスや戦略策定に貴重な役割を果たします。他の就職先に比べ比較的給与水準も高く、キャリアを積んでいけば、年収数千万も期待できるでしょう。
企業や事務所に所属せず、公認会計士として独立するのも選択肢の一つです。公認会計士事務所として開業し、監査業務を請け負ったり、税理士としての登録して税務コンサルを行うのがよくある独立のケースです。
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・関連記事「M&Aにおける公認会計士の役割は大きい?」(https://hupro-job.com/articles/3882)
このように公認会計士の合格者に対しては、監査法人はもちろん、コンサルティングファームや一般事業会社の経理など、常に求人が発生していますが、就職・転職活動にあたって、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。
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