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公認会計士登録に必要な実務経験とは?アルバイトや非常勤でも可能?

HUPRO 編集部
公認会計士登録に必要な実務経験とは?アルバイトや非常勤でも可能?

公認会計士登録には、公認会計士試験に合格したのちに、実務経験を積む必要があります。アルバイトとして働いても実務経験として扱われるのでしょうか?監査法人以外どのような場所で経験を積めるのでしょうか?今回は、業務補助や実務従事といった業務内容と併せて、どこで経験を積めるのかについて解説します。

公認会計士になるために必要な実務経験について

公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格したのちに、登録要件を満たす必要があります。
その登録要件の一つとして、実務経験があり、業務補助または実務従事の2つの手段にわけることができます。
これらの業務補助または実務従事を行い、業務補助等証明書を受け取り、業務補助等報告書と共に金融庁に提出することで登録要件を満たすことになります。

以下で、業務補助および実務従事について詳細を解説します。

業務補助

業務補助とは、監査証明業務の補助を行い、公認会計士としての実践的かつ専門的な知識や技術を身につけることを指します。
この業務補助を修了するためには、基本的に1年に2つ以上の法人に対する監査証明業務の補助を行う必要があります。
ただし、監査証明業務の対象となる法人が以下の場合は、特例で1年につき1つ以上の監査証明業務で要件を満たすことが可能です。

・金融商品取引法により、監査法人または公認会計士の監査証明を受けることが定められている法人
・会社法により、会計監査人設置会社と定められている法人(資本金額が1億円を超える株式会社)

また、監査法人が行う監査証明業務に係る業務補助であれば、法定監査に限らず任意監査の場合でも、業務補助として認められます。

実務従事

実務従事とは、財務に関する監査、分析などの実務を行い、公認会計士としての独立した業務遂行能力を育成することを指します。
この実務従事の対象となる業務内容については、公認会計士法施行令第2条で具体的に挙げられていますが、これは一律で判断されるものではなく、法令で定められた業務を継続して行っていたかについて個別に判断されます。

実務従事として認められる具体的な業務内容としては、公認会計士法施行令第2条で以下のように示されています。

①公共機関における会計に関する検査や監査、国税に関する調査もしくは検査の事務
②金融機関等における貸付や債務の保証など、これらに準ずる資金の運用に関する事務
③上記以外の法人における原価計算など、その他財務分析に関する事務

実務経験の期間

公認会計士の登録のために必要な実務経験の期間は、3年以上とされています。
2023年の法改正により、必要年数が2年以上から3年以上に変更されました。

具体的に認定に必要な勤務日数に関しては、業務補助と実務従事で変動します。

業務補助

1週間当たりの日数等の定めはなく、監査法人などの代表者が認めるなら良いとされています。

実務従事

「常勤で3年」が必要な期間の目安とされています。

また「業務補助」と「実務従事」のどちらも経験している場合は、それぞれの経験年数の通算も可能です。
(例)実務従事2年+業務補助1年=通算3年

実務経験はアルバイト・非常勤でも認められる?

公認会計士登録のための実務経験の認定について、正社員ではないアルバイトや非常勤、パート社員でも認められます。
勤務形態に関係なく、該当の業務を実施していれば認定の要件を満たしますが、
それぞれアルバイト・非常勤でも実務経験として認められる条件があるため注意が必要です。

アルバイト・非常勤でも実務経験として認められる条件

業務補助

業務補助に関しては、常勤と同じく監査法人などの代表者から認定を受け、証明書を受け取ることが必要となります。
2年以上の期間で、定められた数の監査証明業務に携わり、監査業務の一連の流れや手続きを習得したことを証明する業務補助等証明書の発行を受け、業務補助等報告書と共に金融庁に提出することで登録要件を満たすことになります。

実務従事

実務従事に関しては、業務補助等証明書及び報告書に加えて、以下の資料も提出する必要があります。

・従事した法人等の概要が分かる資料
・直接担当していたことが確認できる資料
・労働時間数が確認できる書類(短時間労働者のみ)

また実務従事に関しては、常勤を前提とした「3年」の必要労働時間を勘案した適当な期間の勤務をすることで要件を満たすことが可能です。
常勤者よりも勤務時間が少ない場合、常勤社員の勤務日数と比較して期間が考慮されます。例えば、勤務日数が常勤の半分だった場合、実務経験の期間も半分とみなされることになります。

(例)
常勤の場合:1日8時間×週5回、3年で実務経験と認められる
非常勤の場合:1日4時間×週5回、6年で実務経験と認められる

実務経験はどこで積める?

では、上記で説明した実務経験はどこで積むことができるのでしょうか?

一般的に、公認会計士試験に合格した多くの人は、監査法人で実務経験を積んでいます。
その理由としては、監査法人に就職することで「業務補助」と「実務従事」の両方を経験することができるためです。

監査法人とは、企業などの財務書類の監査または証明を組織的に行うことを目的として、公認会計士によって設立された法人です。
監査法人では、公認会計士の独占業務である監査証明を行っているため、「業務補助」と「実務従事」の要件を満たすことができます。

監査法人以外で経験を積めるところ

監査法人以外にも、会計事務所や一般企業の経理、金融機関や保険会社、コンサルティングファームなどでも実務経験の対象となります。
**ただし、それぞれ一定の要件があり、これらの要件を満たしていない場合には、3年間働いたとしても実務経験として認められない場合があるので注意が必要です。
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会計事務所・税理士法人

会計事務所・税理士法人の場合には、一般的な会計監査、または資本金が5億円以上の法人の原価計算や財務分析に関する事務を行う場合に実務従事として認められます。
いずれにおいても、単純な経理事務や記帳業務、税務業務などは実務従事として認められない点に注意が必要です。

一般企業の経理部門

一般企業の経理部門でも実務従事において実務経験を積むことができます。
ただし、ここでも所属会社が資本金が5億円以上の企業である必要があり、もしくは資本金5億円以上の法人や連結子会社を対象とした業務である場合に実務従事として認められます。
業務内容としては、決算業務や予算に関する業務、また株式公開準備業務等の事務業務に従事する必要があり、ここでも会計事務所と同じく専門的な知識が不要とみなされる通常の経理業務などでは要件を満たしません。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームでも、財務コンサルティングや経営コンサルティングの分野で実務経験を積むことができます。
ただし、会計事務所や一般企業の経理部門と同じく、資本金5億円以上の法人の原価計算や財務分析に関する事務を行う場合に実務従事として認められます。
また、所属するコンサルティングファームの資本金が5億円未満でも問題はなく、財務分析を実施する法人の資本金が問われます。

銀行・保険会社

銀行や保険会社の場合には、貸付や債務保証などの資金運用に関する業務を行う場合に実務従事として認められます。
具体的な業務内容としては、銀行における法人融資業務、また保険会社においては資産運用のための財務内容調査や投融資審査などが挙げられます。
ただし、実務経験として認められるのはこれらの業務に限定されているため、配属部署によっては実務経験の要件を満たすことができません。そのため、就職や配属の際には、業務内容をよく確認する必要があります。

国または地方公共団体

国または地方公共団体の期間においても、実務従事に該当する業務があります。
実務従事として認められる業務内容としては、税務調査や監査に関連する業務が挙げられますが、法人の税務申告については要件を満たすことができないため注意が必要です。

またこれらの要件を満たしたうえでも、監査法人以外での業務が実務従事として認められるかは、一律でなく個別に判断される点で注意が必要です。

会計士試験合格者向けの求人例

株式会社ヒュープロでは、公認会計士をはじめとした士業と管理部門に特化した転職エージェント「ヒュープロ」を提供しております。
ここでは、ヒュープロで取り扱っている公認会計士試験合格者向けの一部の求人をご紹介します。

おすすめ求人①

【監査アシスタント】立ち上げ間もない事務所で成長できる!人事評価制度も整備されており、モチベーション高く働ける監査法人

仕事内容

・主な業務
ー法定監査(金商法、会社法)
ーIPO支援業務
・他業務
ー財務調査業務
ー企業再編の支援業務
ー事業計画の策定支援業務
ー内部統制の構築支援業務
※全体の業務の9割は監査業務です。

必要な経験・能力

ー公認会計士短答式試験合格者
ー公認会計士

想定年収

240〜500万円

おすすめ求人②

【公認会計士】監査未経験でも活躍できるBIG4監査法人

仕事内容

金融商品取引法・会社法監査・株式公開支援業務などの会計監査業務に携わっていただきます。
・会計監査(金融商品取引法・会社法監査など)
・株式公開支援業務

必要な経験・能力

<いずれか>に当てはまる方
・公認会計士短答式合格の方
・公認会計士資格をお持ちの方
・公認会計士論文式試験全科目合格の方

想定年収

450〜970万円\

おすすめ求人③

【監査スタッフ】常勤の会計士求む!監査業務に携わるうえでこれ以上ない環境!フルフレックス、フルリモート勤務可能!上場準備企業のIPOに圧倒的な強みを持つ監査法人

仕事内容

会計監査業務全般
・法定監査(金融商品取引法監査、会社法監査等)
・任意監査 他
・株式公開コンサルティング
・内部統制コンサルティング
・IFRS(国際財務報告基準)導入支援など

必要な経験・能力

・公認会計士
・公認会計士論文式試験合格者

想定年収

500〜1,200万円

公認会計士の実務経験を積める職場で働くには

ここまで、公認会計士の実務経験を積める場所として、監査法人会計事務所コンサルティングファームなどを紹介しました。

これらの場所で働くために、会計業界に特化した専門のエージェントを活用することも、就職活動を効率的に進めて、実務経験を積むための一手といえます。

就職・転職活動にあたって、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。そこで活用すべきなのが人材エージェントです。希望の条件やご自身の経歴などを伝えることで効率的に求人を提供され、日程調整もエージェントが実施してくれます。また書類添削や面接対策といった選考準備に対しても、専任アドバイザーによるサポートが充実しています。
さらに、業界特化型エージェントにおいては、公認会計士をはじめとした士業バックグランドを持つ人材の転職支援実績を多く有しているため、企業として一定の選考に係るナレッジや企業とのパイプラインを有しており、転職に関するリアルな情報提供が可能です。

業界特化型のエージェントでは、公認会計士に合格され、今後会計士としてのキャリアを歩まれる方向けにも求人をご用意しておりますので、ぜひ検討してはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

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