課税対象として紛らわしいものの一つに切手があります。本記事では、郵便切手がいつ非課税でいつ課税の対象となるのかについてご紹介していきます。
切手と郵送にかかる消費税は「切手の購入は非課税」「郵送は課税」の2つに分類されます。つまり、切手の購入時には非課税ですが、実際に使用した時には課税されるということです。と、言われてもよくわからないですね。この後、詳しく解説します。
まず、切手の場合と郵送の場合では、領収書が以下のように違います。
切手の購入は非課税なので、82円切手の領収書には「課税計0円(内消費税0円) 非課税計82円」と書かれます。
しかし、切手を貼らずに郵便局に郵便物を持ち込むと、領収書には「課税計82円(内消費税6円) 非課税計0円」と書かれます。
切手を貼った郵便物をポスト投函すると、その際に郵便配達になるので課税されます。
二重課税を防ぐためです。切手の購入時に消費税を徴収してしまうと、郵送時に更に課税されて二重課税になってしまいます。その為、切手の購入時には消費税がかからないようにしています。
例えば、82円切手に消費税を課して切手を販売すると「本体代金76円、消費税6円」となり、ポストに投函するときには先ほどの「消費税6円」にも課税されてしまいます。
税金に税金を課す二重課税は原則として行わないことになっているので、その二重課税を防ぐために、切手は非課税になっています。
切手の仕訳を行う際に一般的によく使用する勘定科目は「通信費」と「貯蔵品」です。
切手購入時の仕訳を行う際の勘定科目は「通信費」として計上するのが一般的で、「荷造運賃」は今回の切手など郵便関連の勘定科目として一般的には使用しません。しかし、会社の事業方針などによってはこちらを使用しているところもあります。
他にも切手と似ている収入印紙の勘定科目として使用する「租税公課」がありますが、こちらは国や市区町村などへの税金の支払い、役所などから徴収される負担金の勘定科目として使用するものであるため、今回の切手の勘定科目としては使いません。
決算期末時の棚卸しの仕訳を行う際の勘定科目は「貯蔵品」として計上するのが一般的で、「通信費」を「貯蔵品」に振り替えます。
郵便切手を購入した時には、消費税は非課税として処理して、郵便切手を配達代金として郵便物に貼って使用した時に、初めて消費税を負担したという処理をするのが正しいということになります。
しかし、購入時には非課税になると言っても、使用する時には課税になるわけですから、そこまで厳密に処理するのは実務的ではありません。
そこで、切手を購入した時に消費税を負担したものとして処理する方法も継続適用を条件に認められています。
郵便切手と同じように商品券も購入する時には消費税が非課税となっています。商品券は、取引先に贈答するために購入するのが一般的です。贈答時には、「不課税」扱いとなり消費税はかかりません。つまり、
商品券購入時→非課税
商品券贈答時→不課税
となり、どちらも消費税は課税されません。そのため商品券は、郵便切手と違い、購入時に課税仕入れすることはできません。ただし、事業者が自ら使うために継続的に購入するなら、購入の段階で課税仕入れすることも可能です。
贈答した場合など、贈るときには課税されませんが、最終的に商品券等を使用した際には、課税となり、消費税を負担しなければいけません。
そのため、贈られた取引先は、商品券を使ったとき、経理処理では仮払消費税を計上します。
例えば、
額面10,000円の商品券で10,000円分の買い物をしたとき、
それは、本体価格9,091円、消費税909円(消費税10%で計算)の買い物
ということになります。
商品券以外にも、「ビール券」「ギフト券」「商品券」「クオカード」なども同じように非課税になります。
コンビニで切手を買う場合
コンビニや金券ショップなどで切手を買う場合は課税されます。そのため、経理では課税仕入れで処理をします。コンビニなどで切手を買ったら課税されるのは、その切手が郵送に使うかどうかわからないからです。
記念切手などは収集家が金券ショップなどで購入しますが、郵送には使わずに収集する目的の可能性が高いので課税されます。そのため、コンビニや金券ショップで切手販売に課税しても二重課税になる可能性は低くなります。
いかがだったでしょうか?郵便切手の課税について解説しました。
切手購入時には、「非課税」で消費税はかからないが、郵便の時には「課税」となるので消費税がかかります。その理由は、購入時の消費税と郵便時の消費税で二重課税になってしまうので、その二重課税を防ぐためです。しかし、コンビニなどでの購入時には、使用用途が郵便とは限らないため、課税の対象になり消費税がかかります。