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公認会計士はやめとけ?職場環境や仕事内容からリアルを解説!

Hupro Magazine編集部 川辺
公認会計士はやめとけ?職場環境や仕事内容からリアルを解説!

公認会計士を目指すか迷っている方の中には、「公認会計士になるのはやめとけ」という言葉を目にする機会も多いかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか?今回は難関国家資格と呼ばれる公認会計士が「やめとけ」と言われる理由や、リアルな仕事環境や年収、働くメリットなどについて解説します。

なぜ「公認会計士はやめとけ」と言われるのか

会計監査の専門家として知名度の高い公認会計士を目指すにあたって、「やめとけ」という意見が出てくる代表的な理由をいくつか紹介します。

取得難易度が高い

取得難易度の高さは一番よく言われる理由でしょう。実際に、国家資格の中でも医師や弁護士とともに三大難関国家資格と呼ばれ、勉強時間も3,000時間ほどかかると言われています。ただし、いくら3,000時間勉強したからと言って絶対に合格するわけではありません。2023年の公認会計士試験の結果を見ても、願書提出者のうちの合格者の割合を示す最終合格率は7.6%です。

働きながら10年間勉強したり、仕事をせずに集中して勉強した人でも取得できない人が多くいる資格なので、膨大な時間を勉強に費やして何の資格も得られないリスクもあります。
このようなリスクに対して、「やめとけ」と主張する人が一定数いるというわけです。

激務のイメージが強い

公認会計士は監査業務がメインですが、その仕事内容についてはかなり忙しいというイメージが強いようです。監査はクライアント企業にとって非常に重要な業務であるため、責任感や正確さが強く求められます。
そんな監査業務は年次決算後に行うのが一般的ですが、日本の企業の多くが3月決算であるため、4,5月にクライアントからの依頼が殺到します。一つ一つのクライアントに対して、責任も正確性も必要なサービスを提供していることを考えると、どうしてもハードワークというイメージがついて回ってしまうようです。

AIによって奪われる仕事だと思われている

2014年に発表されたオックスフォード大学の論文において、公認会計士の仕事に該当する”Accountants and Auditors” がAIなどに取って代わられる可能性は94%とされたことから、このイメージは広い層に根付きました。データ入力・計算といった機械的な業務もあることから、公認会計士の将来性を危惧して、「やめとけ」という人もいらっしゃいます。

クライアントに感謝されづらいというイメージ

監査業務は、クライアントのミスや不正を未然に防ぐためにチェックをするという役割を果たしますので、「ありがたい」と感謝されることは勿論あるものの、時には嫌われ役に回ることもあります。
当然、監査は企業の成長や存続にあたって必要不可欠な業務であることは間違いないのですが、目の前のクライアントの担当者から謝意を伝えられることが多くはないため、「何のために仕事をしているのだろう…」と思い悩んでしまうイメージがあるようです。

本当に公認会計士はやめておくべきなのか?

「公認会計士はやめとけ」と言われる理由について解説しましたが、本当に合格を目指すべき資格ではないのでしょうか?3つの視点からリアルを見ていきましょう。

公認会計士は激務なのか?

激務について明確な定義は無いので、この質問に関して明確な答えを出せるわけではありません。ただしイメージの通り、3月決算後の数ヶ月は繁忙期であり、残業時間や休日出勤がこの期間に増える傾向であるのは事実です。

その一方で、近年は働き方改革が進んでいることもあり過度な残業や出勤を強いる企業はほとんどありません。また、閑散期と呼ばれる期間もあることを踏まえると、1年平均の残業時間や年間休日は平均的であるといえます。
ですので、多くの方が「激務」と捉えているほどの働き方ではないといえるでしょう。

本当に感謝されづらい仕事なのか?

確かに、企業の担当者から直接感謝を伝えられる機会は少ないかもしれません。
しかし、会社の存続や成長を妨げかねない異常に気付ける唯一の存在として、監査を行う公認会計士への信頼は厚いです。万が一、監査で問題点が見つかった際には、その改善の提案を行うことで企業を危機から救ったことにもなります。
なかなか感謝を伝えられない可能性もありますが、やりがいに感じられる仕事であることは間違いないでしょう。

実際に公認会計士になった人は後悔しているのか?

全くマイナスポイントが無いとは言い切れない公認会計士ですが、なったことを後悔している方はごく一部のようです。むしろ、「なってよかった」と感じる方がほとんどです。
これはやはり、有資格者として働くメリットもたくさんある資格だからでしょう。次の章で、そんな働くメリットも解説しますので、参考にしてみてください!

公認会計士として働くメリット

公認会計士として働くメリットには、主に次の3点があります。

・高年収が実現できる
・専門性の高いスキルを身に付けられる
・幅広いキャリアプランを検討できる

高年収が実現できる

厚生労働省のHPによると公認会計士の平均年収は約746万円で、日本の平均年収である461万円に比べると、300万円ほど高いです。
この数字はあくまで平均の数値であるため、独立開業して間もなかったリ、定年を超え正規雇用でない方などは400万円ほどであることも考えられます。一方で、独立して高い実績をあげたり、監査法人でマネージャーなどの役職に就けば1,000万円以上の年収を稼ぐことも十分に可能です。
このような高年収と呼ばれるような金額を実現できるのは、公認会計士のニーズの高さの表れといえるでしょう。

出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET)

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専門性の高いスキルを身に付けられる

公認会計士は独占業務である監査業務はもちろん、コンサルティング業務や企業の財務、税理士登録して税務業務など、幅広くかつ専門的な業務を行うことができます。
資格取得の難易度が高い分、上記のような業務経験を積むことで、自身の大幅なスキルアップも期待できるのです。

幅広いキャリアプランを検討できる

公認会計士は専門的な分、働ける職場が限られていると思われがちですが、幅広い職場からのニーズがあります。なので、自身の希望に合わせて働く場所を選択できるのもメリットといえます。具体的な就業先については後述します。

公認会計士に向いている人の特徴

公認会計士に向いている人の特徴としては、以下が挙げられます。

・勉強意欲が高い人
・会計の知識を幅広くつけたい人
・安定的に高年収を実現したい人

それぞれ見ていきましょう。

勉強意欲が高い人

ご紹介したように公認会計士試験の難易度は非常に高く、合格まで複数年かかるケースがほとんどです。そのため、目標達成意欲が高く、合格まで勉強を続けられる人に向いていると言えます。

会計の知識を幅広く身につけたい人

公認会計士試験は財務会計や管理会計・監査・企業法など、他の会計系の資格に比べて幅広い範囲の知識を習得しなければなりません。そのため、1つのことを深く学びたいというよりは、幅広い会計知識をつけたいという人に向いています。

安定的に高年収を実現したい人

公認会計士は独立開業によるリスクはあるものの、監査法人などで働けば安定的かつ高い水準の年収を稼ぎやすいといえます。特にBig4監査法人についてはクライアントに上場企業が多いこともあり、平均年収が1,000万円を超えるなど、高収入となる傾向にあります。

公認会計士に向いていない人の特徴

とはいえ、必ずしも全ての人に公認会計士をオススメできるわけではありません。本章で公認会計士に向いていない人の特徴も見ていきましょう。

・ワークライフバランスを重視したい人
・数字が苦手な人
・継続した勉強が苦手な人

ワークライフバランスを重視したい人

先述した通り、過度な残業など「激務」と呼ばれるほどの環境ではないものの、特に監査法人では繁忙期に業務が集中する傾向にありますので、ワークライフバランスが常に保たれているとはいえません。そのため、ワークライフバランスを重視したい人は公認会計士を活かした仕事には向いていないでしょう。

数字が苦手な人

複雑な計算スキルは必要ではないものの、数字を扱うことが仕事の大半ですので、数字に抵抗がある場合は向いているとは言えません。
そもそも公認会計士試験についても数値の理解は欠かせませんので、合格するのは難しいかもしれません。

継続した勉強が苦手な人

向いている人の反対とも言えますが、「大学まで勉強を続けたのにまた勉強をしなければならないのか…」と考える方もいらっしゃるでしょう。どんな仕事でも全く勉強しないということは無いものの、合格するまでも合格後も常に勉強を続けていなければならない公認会計士にそのような方には向いていないでしょう。

公認会計士のニーズが高い職場

それでは、公認会計士の代表的な就業先をご紹介していきます。

監査法人

監査法人とは公認会計士法に基づき、会計監査を行う法人のことです。
公認会計士の約9割ほどが監査法人に就職すると言われており、最も代表的な就職先と言えます。試験合格後に実務を積むために監査法人に就職し、そのままそこでキャリアを積んでいく方も多いようです。
クライアントの企業の監査業務などが主な業務内容で、試験勉強の際に習得した知識を最も活かせる職場なのが、人気の理由です。
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一般企業の管理部門

企業の財務諸表作成や税務申告が主な仕事で、税制や会計基準が複雑化するのに対応し、企業の財務健全性を維持するためのアドバイスを提供します。

M&A仲介・M&Aアドバイザリー

M&AアドバイザリーやM&A仲介会社は、M&Aの売り手企業や買い手企業に対してM&A業務のサポートを行います。M&A業界は公認会計士や資格取得を目指す方にあまり馴染みがないかもしれませんが、会計や監査の専門的な知識を必要とする業務も多く、ニーズの高い業界なのです。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。
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税理士事務所・税理士法人

公認会計士は税理士試験の全科目が免除されるため、税理士としての登録も可能です。会計事務所に就職した公認会計士は、クライアントからの税務相談に対するコンサルティング業務を行いながら、会計監査の面で問題が無いかのチェックも行えるため、唯一無二の活躍をすることができるのです。

独立するという選択肢も

企業や事務所に所属せず、公認会計士として独立するのも選択肢の一つです。公認会計士事務所として開業し、監査業務を請け負ったり、税理士としての登録して税務コンサルを行うのがよくある独立のケースです。公認会計士の独立について、詳しくは以下の関連記事にてご紹介しております。
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公認会計士が就職を成功させるカギ

転職市場における公認会計士の市場価値は非常に高い状況ではありますが、転職活動はスピード勝負です。特に監査法人は公認会計士試験の合格発表後、一斉に採用活動をスタートします。
スピード感を持ちながらも、希望の就職先に入るための準備はしっかりしたいという方は、是非転職エージェントをご活用ください。当社ヒュープロは士業管理部門やM&A業界の求人に特化した転職エージェントであるため、公認会計士の就職や転職の弊社ならではのサポートが可能です。

まとめ│よくある質問

今回は「公認会計士はやめとけ」と言われる理由や、その実情について解説しました。必ずしもメリットだけではないものの、決して「やめとけ」と言われるほどのデメリットがあるわけではありません。資格取得の難易度が非常に高い分、取れればご紹介したようなメリットを享受することができるので、興味のある方は目指してみてはいかがでしょうか。

最後に公認会計士の取得を検討されている方から伺うことの多い質問についてまとめますので、併せてご参照ください。

公認会計士になるまでの流れは?

公認会計士になるまでの流れは、以下の通りです。

・公認会計士試験に合格する
・3年間の実務経験を積む
・公認会計士として登録する

公認会計士試験に数年かかることに加え、3年間の実務経験を積まなければ登録へは進めません。合格前に実務経験を積んでいない場合は、公認会計士になるまでに一定の年数がかかることに留意しておきましょう。

公認会計士になるまでの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

公認会計士以外でおすすめの資格は?

公認会計士は国家資格の中でも難易度が高いため、相対的に見ると易しく転職などでも活かせる、税理士社労士についてもオススメの資格です。独占業務があったり、独立が可能な点などは、公認会計士と共通しています。
ただ、それぞれ習得できる知識や活かせる職場は異なりますので、それらを知った上でどの資格を選ぶのか決めましょう。

税理士と公認会計士の違いは?

上記の中でも税理士と公認会計士はどちらも会計系の国家資格ということもあり、よく混同されることがあります。ただ、試験難易度はもちろん、平均年収活かせる就職先独占業務の内容など、多くの相違点がありますこれらの違いについては以下の記事に詳しく紹介されていますので、併せてご覧ください。

この記事を書いたライター

株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のディレクション、セミナーの運営を担当。年間500本以上の記事を監修しています。アドバイザーとして多くのご登録者様から伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
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