FASは企業の財務に関するサポートやアドバイスを指します。FAS業界は転職先や就職先として人気の業界なのでその分、書類選考や面接で必ず重要視される志望動機の書き方には細心の注意を払わなければなりません。今回はそんなFAS業界でオススメの志望動機の考え方について、業界特化エージェントが解説します!
FAS業界への志望動機について解説する前に、まずはFAS業界の転職市場の動向を見ていきましょう。
FAS業界は、その業務の多くを占めるM&A業務のニーズが高まっている関係で、成長中の市場です。以前は業務経験者の採用がメインだったFAS業界も、この成長フェーズにおいては人手が不足していき、現在は未経験者の採用も積極的に行っています。ただし業務の経験が無くても、金融機関出身者や法人営業で優秀な成績を収めたトップセールスからの転職者が有利な業界となっています。
FAS業界は転職市場でも新卒の就職市場でも人気の業界です。高年収が稼げることや、実力主義で成長できるといったイメージの認知度が高いのが人気の理由です。
未経験者からの人気が高く、応募する人も多いため、選考倍率はかなり高い状態で推移しています。それだけに書類選考や面接には最大限の対策をしておく必要があります。その選考の中で、通過の可否に大きく関わるのが志望動機です。ですのでFAS業界を志望するのであれば、他の業界を目指す人以上に志望動機に拘らなければならないのです。
FAS業界を目指す方たちはどんな理由で希望しているのでしょうか?弊社の転職エージェント「ヒュープロ」のご登録者様から実際に伺うことの多い、リアルなFAS業界への転職希望理由を3つ紹介します。こちらでご紹介する例につきましては、実際にそのまま志望動機に書いてはならないものも含まれますので、ご留意ください。
FAS業界を目指す方の転職希望理由として最も多いのが、年収をアップさせたいというものです。
「今の職場での評価に満足できない」、「家庭の事情でより多くの年収を稼ぐ必要が出てきた」など年収アップを希望する理由は様々ですが、年収は生活を左右するだけに転職希望者の多くが気にするポイントであり、そこを重視する方も多いのです。
実際、M&A業務に関わる職種は高年収になる傾向が強く、FAS業界も同様の傾向となっています。基本給がそこまで高くなかったとしても、担当したM&Aの件数に応じて給与が上乗せされていくインセンティブ制度を取り入れている企業が多いため、実績次第では高年収が実現できます。
いまご紹介したインセンティブ制度も含め、FAS業界は営業成績によって評価が変わる実力主義です。これによって、年齢や勤続年数に関わらず年収や役職を上げていくことができます。自己成長をしなければ生き残っていけないので、必然的に成長環境で働くことになるのです。
そのような環境で、バリバリ働いてキャリアアップをしていきたいという理由で転職したいという方は、特に20代の若手などで多い傾向にあります。
転職希望者の中には、これまでのご自身のキャリアに自信を持っていない方も多いです。そんな方のFAS業界への転職理由として多いのが、「専門的な知識をつけて、手に職をつけたい」というものです。
FASは業務の特性上、財務やM&Aにおける一連の流れに必要な知識・スキルを使う機会が多いです。それらの知識は専門的ではあるものの、身に着けている人の転職市場での価値は高くなっています。つまりFAS業界でのキャリアにおいて、今後のキャリアを考えても有効な知識やスキルを習得できるのです。そのようなメリットに惹かれ、未経験からFASを志す方もいらっしゃいます。
では、本題の志望動機の考え方について解説していきます。各々の応募先への志望動機を考えるにあたって、次の3つのステップで考えることをオススメします。
それぞれについて、詳しく紹介していきます。
まずはFAS業界を希望する理由を洗い出します。ここについては、ある程度イメージがついており、先ほどご紹介したよくある転職希望理由のいずれかに該当するという方が多いのではないでしょうか。ただし先述した通り、そのまま書くと企業側にマイナスなイメージを与えかねないものもあるので注意が必要です。
例えば、「高年収が実現できる」というのは、直接的な表現は避けた方が良いでしょう。年収さえ稼げればどの業界でもいいのではないか、と考える採用担当が多く、年収の高い他の業界と志望度が分散しているとか、入社してもらってもすぐ退職してしまうのではないかという懸念が出てくる可能性があります。その影響で、面接でそれらをリカバリーする機会も無く、書類選考段階で不合格になってしまうこともあるので注意が必要です。高年収がもらえるのはそれだけクライアントから見合った報酬をもらえるということになりますので、
「クライアントに寄り添ったサポートを行い、感謝される仕事がしたい」など、業務に絡めた言い方をすると良いでしょう。
「成長環境で働ける」や、「専門的な知識が習得できる」についてはそのままの表現で大方問題ないでしょう。ただし、「専門的な知識が習得できる」の場合は、早期離職のリスクを企業側に感じさせないために「スキルを習得するとその後のキャリアに役立つ」という部分は書かないようにしましょう。
次になぜその企業先に応募したのかという理由も落とし込みましょう。FAS業界の求人は沢山ある中でなぜその企業を選んだのかは、書類選考でも面接でもほぼ必ず選考基準に入っています。
志望動機の完成度が低かったり他の企業でも通用するような内容だと、志望度が低いもしくはもし入社してもすぐ辞めてしまうかもしれないという懸念に繋がってしまいますので注意が必要です。
特にFAS業界は行っている業務内容や事業が似ているため、企業ごとの志望動機を作る難易度が高い業界といえます。企業情報や求人を仔細に確認し、相手に熱意が伝わるような内容を作りましょう。
最後にその応募先において自分自身がどのような役割を果たせるのかを考えましょう。こちらはいわゆる自己PRのようなものですが、今までのキャリアや実績をなんでも書けばいいというものではなく、あくまでFAS業界の仕事、さらにその応募先企業で活かせるとアピールできるものでなくてはなりません。
ただし直接的に関係なくても、結果を出すためにPDCAを回した経験や、業務効率化をしたという経験があれば記載しておきましょう。そのようなプロセスにおける論理的思考力はFASの業務において重要とされているので、適性があると判断されやすくなります。
FASへの志望動機の書き方を調べると、例文や他の転職者の回答例を見る機会も多いかもしれませんが、それらを参考にするのはあまりオススメしません。なぜなら志望動機は自分自身の本心や実際の経験に基づいてなるべくリアルに書く必要があるからです。
模範例を参考にしてしまうと、どうしてもそれに引っ張られて独自性が薄れたり、本当に書きたいことと乖離することがあります。もちろん、先述したように赤裸々に書き過ぎないように気を付ける必要はありますが、自分の言葉で伝えられるような志望動機にはしていきましょう。
上記3ステップでFAS業界への志望動機を書くのに加えて、FAS業界に活かせる資格や経験、志向性があれば漏れなく書かなければなりません。それぞれ具体的に紹介します。
FAS業界は専門的な業務も多く、資格が必要そうなイメージがあるようですが、業務を行うにあたって必須の資格はありません。ただし、活かせる資格はある程度存在します。以下で紹介しておりますので、持っている場合は記載しましょう。繰り返しにはなりますが、これらの資格は必須ではありませんので、転職活動をするにあたって事前に取得する必要はありません。
税理士や公認会計士は合格率が低い難関国家資格に当たりますが、その分、活躍の幅を広げることができます。海外に展開しているクライアントを持つ大手の企業などではTOEICの点数で一定を超えているのが必須という募集をしている企業があるので、応募先によっては書かなければなりません。
どの資格もただ資格記入欄に記載するだけでなく、それを活かして応募先企業でどのような役割を果たしたいかまで考えられるとベストです。
FAS業務の経験がある場合は転職市場での価値が高いので、しっかりとアピールするようにしましょう。FAS業界の場合は、経験年数よりも実績が評価されますので、具体的な成果を書くのがオススメです。
また、業務未経験の場合でも以下のような経験があると、書類通過率が高くなる傾向にありますので、こちらも年数と併せて経験した業務内容や習得したスキルを記載しましょう。
仕事以外でもこれまでの経験から以下のような志向性をアピールできるようなエピソードがあれば、自己PR欄に記載しましょう。
FAS業界は、ある程度のハードワークや勉強を続けることを求められる一方で、高年収や自己成長を実現できる上、サポートするクライアントからこの上ない感謝をされる仕事です。そんな仕事への適性があるかは採用側も注意深く見ていますので、良い結果に繋げるためにも抜かりなく記載しましょう。
ここまでをご覧いただき、ある程度FAS業界への志望動機の書き方についてイメージを沸かせて頂けたのではないでしょうか。最後に書くべきでないポイントについて紹介しますので、ここも意識しながら志望動機をブラッシュアップしていきましょう。
前職の退職理由や転職を検討している理由については、面接で必ず聞かれるポイントですが、「今の職場では○○ができなかったが、貴社ではそれができるから志望したい」と志望動機にも書く方がいらっしゃいます。
これ自体がタブーなわけではありませんが、前職や現職にあまりにもマイナスな感情を抱いている印象を採用側に与えてしまうと、転職先にも何かしらのデメリットを見つけてすぐまた転職してしまうのではないかという懸念を与えてしまいます。100%ポジティブな転職理由など基本的にはありませんが、なるべく前向きな転職であることを伝えるようにしましょう。
FAS業界は魅力が多い業界ではありますが、その魅力の一部であれば他の業界でも実現可能です。ですので、業界への志望動機が具体性がなくぼんやりしたものだと、「これって○○業界でも実現できるんじゃない?」などと突っ込まれる可能性があります。もちろん企業ごとの志望動機もそうですが、なぜFAS業界で働きたいのかも、注意して考えましょう。
ここまでFAS業界への志望動機の書き方について解説していきましたが、そうはいっても上手く書けない人や、書けたけどいいのか悪いのか分からない人も多いのではないでしょうか。そんな時は、就職エージェントや転職エージェントに添削の依頼や相談をするのがオススメです。弊社ヒュープロでは新卒・中途ともに選考や面接のサポートをさせて頂いておりますので、ご利用いただくメリットをご紹介していきます。
ヒュープロはこれまで多くのご登録者様の就職や転職を支援してきた実績がありますので、そこで蓄積されたデータから多角的な視点で書類通過率を高めるための志望動機の添削ができます。今回ご紹介した書き方以外にもイメージを言語化する方法などの細かい部分も含め数多くのノウハウを有しているので、個別に最適なアドバイスができるのです。
先ほど紹介した企業ごとの志望動機については、重要ではあるものの企業研究にかなりの時間を費やす必要があります。ヒュープロは求人掲載企業との関係も深く、詳細な企業情報を持ち合わせていますので、わざわざ調べる手間が省けるほか、一般的には得られないようなリアルな情報も提供できます。
今回はFAS業界への志望動機の書き方を解説させて頂きました。
それぞれM&A業界で働きたい理由はあると思いますが、それを如何に伝えるかによって選考の通過率は変わります。採用する企業側に「欲しい!」と思わせるために、業界や企業へ応募した理由、そしてその企業でどのような役割を果たせるのか、を伝えるのがポイントです。ただし、全て一人で行う必要は全くありません。就職・転職エージェントを活用して、効率的に内定を勝ち取りましょう!