「M&A業界はほぼ休みなく働いているらしい」、「M&A業界に転職したいが、かなり忙しいイメージが強いので躊躇してしまう」など、M&A業界が激務というイメージはかなり根強いのではないでしょうか?本記事ではそんなM&A業界が激務と言われる理由やその実情、激務と言われながらも人気な理由について解説します。
まずは、M&A業界がなぜ激務と言われるのかについて解説していきます。
M&A業界が激務と言われる理由の中で最もよく聞かれるのが、成果を出し続けていないとリストラされるといった強い成果主義があるというイメージです。M&A業界のほとんどが成果主義で評価を行っているのは事実です。年収に関しても、インセンティブ制度という営業成績に応じて査定を変えていくシステムを多くの企業が採用しています。これにより、成果を出すために休日や寝る間も惜しんで仕事をしなければならないという印象が、激務のイメージに結びついているようです。
M&A業界はM&Aをしたい企業(買い手企業)、もしくはM&Aによって自社を譲渡したい企業(売り手企業)からの依頼を受け、クライアントのM&A完了までのサポートを行うのが主な業務です。依頼を受けてからM&Aが完了するまでの期間は大体8ヶ月程度、場合によっては1年ほどかかります。ただ時間がかかるだけでなく、その業務量についても多く、専門性が高い業務もあります。
このような業務量やかかる時間が、どうして多忙な印象を与えるようです。
M&A業務においては専門性が高いものも多く、習得するには知識をつけることが欠かせません。また、社長など企業のトップクラスの経営陣がクライアントですので、信頼関係を構築するには、経済情勢やM&A業界のトレンドなどを最新の状態に常にアップデートしておく必要があります。こういった時間も日々の業務をするのとは別で確保しなければならないというのが、激務のイメージになる理由の一つです。
ご紹介した理由で激務のイメージが強いM&A業界ですが、その実態はどうなのでしょうか?
M&A業界の残業時間は企業によって異なりはしますが、平均で月40時間程度です。厚生労働省が2023年に発表した「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」によると、労働者の月平均残業時間は13.8時間でしたので、それと比較するとかなり多いといえます。
また、複数の案件を同時に担当している場合は80~90時間になる月もあるため、残業時間については激務のイメージとそこまで相違がないといえます。
出典:毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報/厚生労働省
弊社ヒュープロでご案内させて頂いている求人ではほとんどの企業が完全週休二日制で土日祝日が休みとなっており、有給休暇も年間10日は最低でも付与されるのが大多数です。
2024年は土日祝日が118日なので、年間休日118日ということになりますが、これは平均的な休日日数であると言えるでしょう。
そして大事なのが、休日に仕事をしているかどうかですが、基本的には休日に仕事はしていないようです。クライアント企業の経営陣も、基本的には土日祝日休みなので、やり取りをする機会がほぼないことが理由です。
ただし、スキル習得や最新の経済や業界の確認などを行う自学の時間に休日を充てる人は一定数いるのが、リアルな状況です。どうしても平日はクライアントとのやり取りなどの業務に追われ、まとめて学習できる時間を取るというのは難しいようです。この時間を自己研鑽の時間と捉えることができればそこまで負担に感じないかもしれませんが、休日は完全にオフ、という働き方ではないのは事実です。
残業時間や休日の過ごし方をみて、働きやすい環境だと感じた人はいないと思います。ただ、休日を仕事にしか使えなかったり、体調不良になるほどの激務ではないといえます。確かにある一定の体力やメンタルは必要ですが、大きな懸念や嫌悪感を持つほどのものではないのです。
激務なイメージがあり、実際にある程度多忙なM&A業界ですが、転職市場の中では人気の転職先です。ここでは、その人気の理由を深堀りします。
M&A業界は高年収を目指せる業界としての認知度が高く、それが人気を集める大きな理由となっています。なぜ高年収なのか、どのくらいの金額なのかについては、以下の関連記事にて詳しく紹介しております。
〈関連記事〉
先ほど見たようにインセンティブ制度を取り入れている企業が多いので、所属年数や年齢にかかわらず、成果を上げた人の評価が上がります。こういった面で、自分の可能性を試したい人や、正当な評価の下で働きたい人から、人気を集めています。
M&Aは売り手企業にとっても買い手企業に企業にとっても大きな影響を与えるので、当然責任も大きいです。大きな仕事を任されるという責任感や、失敗できないというプレッシャーと戦うことにもなります。一方で成功させた時には大きな達成感を味わえたり、クライアントの経営陣から感謝されるのは、他では経験できない仕事の醍醐味と言えるでしょう。
激務のイメージを持たれながらも人気を集めているM&A業界にはどんな人が向いているのでしょうか?
程度の多少はあれど、どうしてもハードワークが必要なシーンはあるので、精神的にも体力的にもタフな人が向いています。業務量が多いだけでなく、成果主義の中で結果を求められ続ける仕事なので、プレッシャーに強く、高いパフォーマンスを出すことに集中できる人の適性があると言えるのです。
M&A業界で働くと専門的で幅広い知識をつけることができます。その知識は業界内はもちろん、他の業界でも市場価値の高いものとなります。また、企業の経営や管理に関わる知識が身につくので、将来的に起業したい人にも向いています。
M&A業界では、短期的な成約はほどんどなく、初回訪問から成約まで平均して約8か月程度かかる長期的なビジネスになります。
また、1案件当たりに動く金額は数億円~数十億円とかなり大きな金額になるため、若手のうちから一人の裁量権が大きく、億単位の案件に携わることができます。それだけに達成感も非常に大きい仕事です。
今回は激務と言われているM&A業界の実態について紹介していきました。イメージ通り、ある程度のハードワークを求められることもありますが、働き方改革が進んでいる今、度を超えた働き方をさせる企業はほとんどなく、M&A業界もその流れで残業時間の削減や、リモートワークなど多様な働き方を選べる企業も出てきています。
ハードワークでも転職先として人気を集めている業界なのは、年収面ややりがいなどについて魅力的な側面が多いことによるものです。
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